桂馬と角で相手陣の急所を突く。急戦矢倉の指し方を紹介

桂馬と角で相手陣の急所を突く。急戦矢倉の指し方を紹介

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年09月01日

今回のコラムも、急戦矢倉での攻め方を引き続きご紹介していきます。これまでは激しく攻め立てる順を見ていきましたが、今回からはじっくり攻めていく指し方をご紹介していきます。第1図は、前回と同じ形です。

【第1図】

ここから、▲5五歩△同歩▲4五歩△同歩▲2四歩△同歩▲3五歩△同歩▲5五銀から攻め込んでいった順などをご紹介しました。今回は、▲5五歩△同歩▲4五歩△同歩▲2四歩△同歩までは同じですが、そこで▲4五桂(第2図)と跳ねていく指し方を見ていきましょう。

【第2図は▲4五桂まで】

銀の逃げ方は3通りありますが、まずは△2二銀と逃げられたらどうでしょう?次に△4四歩の桂殺しがあります。ですが、いちばんはじめに入れておいた、5筋の突き捨てを生かして▲5五銀(第3図)と出れば、△4四歩には▲同銀△同金▲同角でよいですし、このままでも▲4四歩と大きな拠点を打ち込んだり、▲4四銀とぶつけて攻め込んだりすることができます。

【第3図は▲5五銀まで】

第2図で△4二銀と引いても、▲5五銀と出ればほぼ同様です。これはいままでのコラムをずっと読まれてきた方なら、解説の必要はないと思います。

よって、第2図では、△4四銀とかわしてきます。▲2四飛と走るのは、△2三歩▲2九飛△4五銀と桂を取りきられてしまいます。4五の桂取りを受けるか、取るヒマを与えずに一気に攻め込んでいくかですが、まずは、▲5五銀と過激にぶつけてみましょうか。△4五銀と桂を取られる手が見えますが、▲4六歩(第4図)と打てば、△5四銀には▲同銀△同銀のとき、8八の角筋が一気に通りますので、▲1一角成と香を取りながら角を成り込んで大成功です。

【第4図は▲4六歩まで】

では、第4図で△5四歩はどうでしょう?▲4五歩△5五歩の銀の取り合いは、▲5五同角に△3三銀と受けられると、4五に拠点はできますが、桂損が大きく成功とは言い難い局面です。しかし、△5四歩には冷静に▲6六銀(第5図)と引いておけば、銀の引き場所に自ら歩を打ってしまっているために、4五の銀の行き場所がありません。

【第5図は▲6六銀まで】

指すとすれば△6四角でしょう。ここで銀が取れると喜んで、あわてて▲4五歩と銀を取ってしまうと、6四角の利きが通って△2八角成と飛車を取られて必敗形になってしまいます。△6四角には、慌てずに▲5五歩と打って角筋を止めておけば、4五の銀を助ける術は後手にありませんし、銀桂交換の駒得となって先手成功となります。

では、第2図からの△4四銀に▲5五銀とぶつければ、先手よしなのでしょうか? 次回では、本当に先手よしなのかを、もう少し詳しく見ていきます。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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