女性に将棋を広めるには?全国将棋サミット2017レポート(後編)

女性に将棋を広めるには?全国将棋サミット2017レポート(後編)

ライター: 山口絵美菜女流1級  更新: 2017年09月17日

真夏の倉敷を舞台に行われた「全国将棋サミット」。第一部・第二部をご紹介した前編はお読みいただきましたか?今回は後編「第三部;パネルディスカッション」の模様をお届けします!

将棋文化の継承と普及に関する事業を通じて地域の発展を目指す自治体が一堂に会する「全国将棋サミット」。開催地によってさまざまなプログラムが組まれます。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

第三部は「女性への将棋普及」をテーマにした「パネルディスカッション」。清水市代常務理事、伊東香織倉敷市長、諏訪景子普及指導員がパネリスト、村田智穂女流二段がコーディネーター、私も若手女流棋士代表パネリストとして登壇しました。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

はじめのテーマは「女性への将棋普及について」。藤井聡太四段の29連勝の新記録により、男女問わず将棋への関心が高まっている中、女性に対し、将棋を普及していくにはどうしていけばよいか、教え方の工夫や取り組みについて各パネリストがさまざまな視点で提言を行いました。

伊東倉敷市長は大山康晴十五世名人が女性に対する将棋普及を重要視されていたことや現在の女流棋士制度の発足にも深くかかわっておられたことに触れたうえで、女性への将棋普及の熱意が開花し実を結んだのが倉敷藤花戦の開催であり、岡山出身の女性が倉敷藤花のタイトルを目標として女流棋士を目指す日が将来実現すればと話されました。

それを受けクイーン倉敷藤花の称号を持つ清水市代常務理事は倉敷への思いについて述べたうえで、依然として男性が数多くを占める将棋界の現状を「チャンスに変える」、アイディアとして「身近な女性の方に将棋を教えてみてください」と会場に向け投げ掛け、普及指導員として将棋教室を主宰するほか観戦記者や将棋ライターの顔も持つ諏訪指導員は「将棋が好き=指すのが好き、棋力向上を目指している」と当然のように見られる現状に着目し、「将棋を好き」という間口を広くすることについて意見を出されました。

私は「将棋と出逢い続けること」が大事ではと前置きし、小学生の頃、弟の付き添いで参加した倉敷子供王将戦(名称は当時)で清水倉敷藤花(当時)に特別にサインをもらったことで将棋を続ける気持ちが変わらなかったので、女流棋士という立場になった今、自分自身が「出逢い」を生み出せるように活動していきたいこと、そして将棋と「出逢った」女性が学べる場を持てるように女性将棋教室を開講していることをお話しさせていただきました。

続いてのテーマは「女性が将棋イベントに参加しやすくなるには」。清水常務理事は藤井四段ブームにより「将棋女子」が急増中であることから「女性向けグッズ」に着目し、「将棋を指さなくても使えるアイテム」として藤井四段のジグソーパズルやクリアファイルをご紹介。棋士ごとのグッズをもっと企画していくというアイディアをお話しする中でディスカッションに聞き入っていた会場の佐藤天彦名人に「CDを出してみるのはいかがでしょう?」と打診する場面も。

私は「切り口を増やすこと」として「将棋×漫画」「将棋×ご飯」といった「コラボレーション」をすることで敷居を下げてみることを提案しました。「観る将棋ファン(観る将)」「撮る将棋ファン(撮る将)」といったファンのあり方が多様化し、将棋を好きなら当然指す、強くなることを目指すという考え方が変わりつつあることとに加えて「3月のライオン」や「将棋めし」といった「将棋漫画」がアニメ化や実写映画化され注目を集めている現在では、「将棋以外の切り口」を入り口に将棋に興味をもってくださった方々に目を向けることで裾野が広がるのではと意見させていただきました。

諏訪指導員は将棋イベントに参加した際のご自身の体験を交えて
(1)イベント会場の設備(女性トイレなど)
(2)女性スタッフの有無
(3)女性料金の設定
について提言されました。

イベント会場に設置されている女性トイレの数が少ない場合や女性スタッフがいないイベントなどは「居場所がない」という印象を受けやすく、同性のスタッフがいた方が何かしらの問題が発生したときに安心感があるとのこと。「賛否は別れるかもしれませんが」と前置きした上で、同じサービスを受けるにも関わらず女性料金が設定してあると少し気兼ねしてしまうので、金銭的な面等で男女等しく扱う部分があってもよいのではとお話しされました。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

パネルディスカッションをもって閉会した「全国将棋サミット」。一般の方も無料で参加することができたため、会場には多くの将棋愛好家の方が足をお運びくださり、将棋サミット記念イベントであるステージ対局指導対局もお楽しみいただきました。

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

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撮影:日本将棋連盟普及部、山口絵美菜

今年4回目を迎えた「全国将棋サミット」、来年は兵庫県姫路市での開催です。全国各地にある「将棋の街」。地域性あふれる取り組みや新たな試みから目が離せません。「将棋の街」がますます増えていきますように、皆さんの街と将棋のご縁を探してみてはいかがでしょう?

山口絵美菜女流1級

ライター山口絵美菜女流1級

1994年5月生まれ、宮崎県出身の女流棋士。2017年に京都大学文学部を卒業し、在学中に研究した『将棋の「読み」と熟達度』を足掛かりに、将棋の上達法を模索している。
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。

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