急戦矢倉をマスターしよう【矢倉囲いの崩し方】

急戦矢倉をマスターしよう【矢倉囲いの崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年09月22日

ここまで、急戦矢倉での指し方をご紹介してきましたが、今回で急戦矢倉のコラムは最終回となります。それでは第1図をご覧ください。

【第1図】

前々回のコラムの宿題として出した局面で、前回のコラムで正解は▲2四歩だったのでは、という声も聞こえてきそうですが、最後にもう一つの攻め方をご紹介して終わりにしたいと思います。

まずは、前回の復習です。第1図から、▲2四歩△同歩▲4四角△同金▲2四飛(第2図)で十字飛車が決まって先手よし。

【第2図は▲2四飛まで】

これが前回の結論でした。それでは、もう一つの有力な攻め方をご紹介していきます。初手は▲2四歩で同じです。△2四同歩のときに、前回は▲4四角と切りましたが、今回は単に▲2四同飛(第3図)と走ります。

【第3図は▲2四同飛まで】

一見、△2三歩で受け止められてるようにも見えます。しかしよく見てください。▲4四飛と銀を取れば、△同金▲同角(第4図)と進んで飛車と金銀の二枚換えとなって先手よしです。

【第4図は▲4四同角まで】

第4図からも1一の香取りが受けにくいですし、▲3三歩や▲5三桂成など、ほかにも厳しい攻めがいろいろ残っていることを確認してみてください。△4九飛と打たれても、▲5九金と引いておけば右側にいる金銀三枚がバリケードとなって非常に堅く、飛車を打ち込まれても怖くはありませんね。

ですが、やはり飛車はできるだけ渡したくないという方もいることと思います。そんな方には、前回ご紹介いたしました、▲2四歩△同歩に▲4四角△同金▲2四飛と先に角を切って飛車を残す攻め方をオススメします。

それでは第3図に戻りまして、ここから△2二角と受ける手はどうでしょう? これには▲2三歩(第5図)が痛打となります。

【第5図は▲2三歩まで】

△3一角では角を上がった意味がなくなりますので、▲4四角でよいですし、△3三角には▲同桂成△同銀▲2九飛と角桂交換となってこれも大成功です。また、前回同様に、▲2三歩では▲3三歩も痛打となります。△3三同桂には▲4四角でよいですし、一発▲2三歩△3一角を入れてから▲4四角でもよしです。ですが、この場合は、△4五桂と取られる手も生じてきますので、▲2三歩のほうがわかりやすいでしょう。

以上、15回にわたって急戦矢倉での指し方をご紹介してきましたがいかがだったでしょうか? 棒銀や右四間飛車は狙いが単純でわかりやすかったと思いますが、急戦矢倉は指し方が複雑になってきて、少し難しく感じた方も多いことと思います。なかなか指しこなすことは大変ですが、ぜひ実戦で試して徐々にコツをつかんでいってください。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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