5七銀左型急戦矢倉を覚えよう!ポイントは▲2四歩の打ち捨て

5七銀左型急戦矢倉を覚えよう!ポイントは▲2四歩の打ち捨て

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年09月19日

今回のコラムでも、5七銀左型急戦矢倉での指し方をご紹介していきます。まずは、第1図です。

【第1図】

前回のコラムで宿題にさせていただいた局面ですが、考えていただけましたか?それでは、正解は...と言いたいところですが、順を追って有力手を見ていきましょう。

まずは、平凡な手として、桂にひもを付けながら銀を進出させる▲4六銀が考えられます。▲3五銀△同銀▲1一角成を狙った手で、これも3筋の突き捨てを生かした攻め方と言えます。△5五歩には、▲同歩と取っておき、▲5四歩の伸ばしを狙う手もありますし、激しく▲5五同銀△同銀▲同歩と進める手もあります。△4四歩には、▲5四歩△同金▲3三歩と攻め込んで絶好調です。しかし、▲4六銀のときに△6四角(第2図)と上がられるとどうでしょうか。

【第2図は△6四角まで】

4六の銀取りですが、▲5五歩は△同歩で角筋が止まってしまいます。▲5七銀上とするのも、△3六歩と伸ばされる手が嫌みです。これも構わず▲3五銀△同銀▲1一角成として攻め込めばいい。そう思えそうなところですが、△4七歩(第3図)の反撃もなかなかの厳しさです。

【第3図は△4七歩まで】

▲4七同銀は△4六歩▲3八銀△4七銀とどんどん攻め込まれますし、▲5七銀とかわしても△3八銀と飛車をいじめられる手が厳しく、成功とはいえないところです。よって、▲4六銀は△6四角と強く迎撃されるとなかなかうまくいきません。

では、第1図に戻ります。前回のコラムで、▲4四角と切っても△同金で次の攻めがないし...。の一文を覚えてる方はいらっしゃいますか? 実はこれもヒントの一つでした。この一文を書いたときの局面は、3筋の突き捨ては入っていない状態でしたが、第1図を見ながらこの一文を読むとなんとなく攻めの形が見えてきませんか?そうです。▲2四歩△同歩と打ち捨ててから▲4四角と切り、△同金に▲2四飛(第4図)と走れば見事に「十字飛車」が決まります。

【第4図は▲2四飛まで】

最後に出しましたヒントの「3四の歩を進めさせた」の効果が出てますね。後手の歩が3四にいる状態でしたら、4四の金取りにはなりませんので、△2三歩で何事もなく受けられますが、第4図で△2三歩はもちろん▲4四飛と金を取って大成功です。では金取りを受けよう、と△4五金と桂を取りながら逃げても、今度は▲2一飛成とこちらも桂を取りながら飛車を成り込むことができます。

これにてよし、で終わりたいところですが、実は金取りと桂取りの両方をいっぺんに受ける手もあります。第4図から、△2二角と上がれば、2一の桂取りと4四の金取りをいっぺんに防ぐことはできます。両方受けられましたが、落胆することはありません。▲3三歩(第5図)が用意の一手で、これで後手はどうしても駒損を免れることができません。

【第5図は▲3三歩まで】

△3三同桂は角筋が止まるので▲4四飛と金を取れますし、かといってこのままでも▲3二歩成と金を取ることができます。また、▲3三歩に代えて▲2三歩も痛打です。△3一角は▲4四飛ですし、△3三角も▲同桂成と角を取ることができます。よって、前回のコラムで出題した宿題の正解は▲2四歩です。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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