右四間飛車戦法で矢倉を攻略!銀を4五に出すことを優先しよう【矢倉の崩し方 vol.10】

右四間飛車戦法で矢倉を攻略!銀を4五に出すことを優先しよう【矢倉の崩し方 vol.10】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年07月08日

同じ形が続いて恐縮ですが、今回のコラムも前回の第1図からの攻め方のご紹介となります。

【第1図】

前回はここから、▲3三桂成(第2図)と銀を取っていき、△同桂、△同金寄、△同金上、△同玉はいずれも非常に気持ちよく攻め切れましたが、△同角と取り返されるとなかなか抵抗力がありました。

【第2図は▲3三桂成まで】

そこからすぐに▲4五歩と攻めずに、▲7七角や▲6六歩など、陣形の整備をしても銀桂交換で十分ですが、局面が一段落してしまいます。後手陣は薄く、まとめるのが大変ですが、先手も駒組みに戻るとなると、またそこから手数がかかってしまいます。例えば矢倉囲いに組もう、となると▲7七銀、▲6六歩、▲7九角、▲6七金右、▲6八角、▲7九玉、▲8八玉とさらに7手を費やすことになります。

今回は囲い崩しがテーマですので、できれば銀桂交換だけで満足せずに、一気に崩す順があればそちらでいきたいところです。

そこで、今回は別の攻め方を考えていきます。「駒得は裏切らない」という言葉もあるように、▲3三桂成と銀に飛びつきたくなる気持ちは非常にわかります。しかし、3三の銀は後でも取れますので、その気持ちをぐっとこらえることが大切です。銀を取りたい気持ちを断ち切って、第1図から▲4五歩(第3図)と突っかけていきます。

【第3図は▲4五歩まで】

放置しておけば、今度こそ▲3三桂成と銀を取り、どう取り返されても▲4四歩の取り込みが大きく、十分です。また、単に▲4四歩と取り込んでも相当な厳しさということは以前にご紹介しましたよね。

よって、△4五同歩と取ってきますが。そこで▲3三桂成と取ってしまうと、△同角で最初に▲3三桂成と銀を取る攻め方に合流してしまいます。ではどうするかといいますと、▲4五同銀と進軍し、△4四歩のときに▲3三桂成(第4図)と取るのがベストタイミングです。

【第4図は▲3三桂成まで】

△3三同桂は▲4四銀△同金▲同飛、△3三同金寄も▲4四銀、△3三同金上は▲4四銀△同金直▲同角△同金▲同飛。いずれも前回のコラムでご紹介した攻め方と合流します。△3三同玉には▲4四銀△同金▲同角で、これは終了形です。

残るは△3三同角ですが、▲4四銀△同金▲同角△同角▲同飛(第5図)として、歩切れの後手は受けにくくなります。

【第5図は▲4四同飛まで】

△5五角は▲4一飛成と成り込めますし、△4三銀は▲4九飛で次の▲4四歩が厳しく残って、これも成功です。▲3三桂成は後回しにして、先に銀を4五に出すことが今回のポイントでした。

次回は、また別の形から攻める右四間飛車をご紹介していきます。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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