右四間飛車戦法で矢倉を攻略!△2四銀と逃げなかった時はどう攻める?【矢倉の崩し方 vol.9】

右四間飛車戦法で矢倉を攻略!△2四銀と逃げなかった時はどう攻める?【矢倉の崩し方 vol.9】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年07月02日

今回のコラムも、前回の矢倉囲いに対する右四間飛車戦法の攻め方の続きとなります。それでは第1図です。

【第1図】

前回のコラムではここから△2四銀と逃げたときの攻め方をご紹介いたしました。今回は銀を逃げなかった場合の攻め方をご紹介いたします。 前回のコラムでは、この局面は後手番でしたが、△2四銀以外の手を指したということにいたしまして、第1図は先手の手番ということで進めていきます。

まずは、喜んで▲3三桂成と銀をはがします。△同桂、△同金寄、△同金上、△同角、△同玉と五通り成桂の取り方がありますが、いちばんありがたいのはもちろん△同玉で、▲4五歩(第2図)が厳しい攻めとなります。△同歩はもちろん▲3三角成ですし、このままでは▲4四歩△5三金▲4三歩成でこれも終了形になります。

【第2図は▲4五歩まで】

△同玉という取り方は、どのような場合でも玉が露出してしまうのでないと言っていいでしょう。例外的に、上部が開拓されているときは玉で取ることもありますが、基本的にはまずありえない取り方となります。

では、いちばん安い駒の桂で△3三同桂と取ってみましょう。これにも構わず▲4五歩△同歩▲同銀(第3図)と進軍していきます。

【第3図は▲4五同銀まで】

桂の利きがあるところに、銀を進出するのは非常に抵抗があると思います。しかし、この場合は△4五同桂には▲2二角成と玉を取れるため、後手は銀を取ることができません。かといって、次に▲4四歩と打たれては、△5三金▲3四銀で次の▲4三歩成が厳しいです。△4四歩と打つことになりますが、▲同銀△同金に▲同角でも、▲同飛△4三銀▲4九飛としておいても後手は歩切れで傷を消すことができず、大成功です。

では、△3三同金寄は? これも▲4五歩△同歩▲同銀とすれば、4四の利きが三対一となっており、後手は防ぎきることができません。

そこで、上部に厚くなるように△3三同金上と取ってみましょう。これには単純に、▲4五歩△同歩▲同銀△4四歩▲同銀△同金直▲同角△同金▲同飛と強引に押していって大成功です。もう一つ、ご紹介したい筋のよい攻め方もあります。▲4五歩△同歩に▲3五歩(第4図)がその攻め方です。

【第4図は▲3五歩まで】

△3五同歩に▲4五銀と進め、△4四歩のときに▲3四歩と打てるのが突き捨ての効果です。△同金右には、▲同銀△同金に▲4三銀が決まります。△4五歩には▲3三歩成と金をはがすことができて、これも成功です。

さて、残るは△3三同角で、これがいちばん抵抗力があります。また、▲4五歩△同歩▲同銀で結局、後手は4四の利きが足りないのですが、△8八角成▲同金に△3七角と反撃することができます。この反撃が非常にやっかいで、放置しては△4八角成▲同金に、△2九飛の王手や、△4六飛の金銀両取りがあるのでなんとかしなければなりません。▲7七角と王手に打ち、△5五歩▲4四歩△3三金寄に攻め続けたい気持ちをぐっとこらえて、▲4九飛(第5図)と引きます。

【第5図は▲4九飛まで】

△4六桂には▲4八金△2八角成▲4七銀と受けておいて大丈夫です。ですが、次に▲5五角として4六の桂を狙っても△5八桂成が妙手で▲同金に△5五馬と角を素抜かれてしまいます。4六の桂がなかなか取りきれず、8八金の形も悪いですし、次回は第1図に戻ってもう少し工夫した攻め方をご紹介いたします。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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