二枚飛車を生かして穴熊を攻略!ポイントは歩の使い方【穴熊の崩し方 vol.14】

二枚飛車を生かして穴熊を攻略!ポイントは歩の使い方【穴熊の崩し方 vol.14】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年05月13日

今回のコラムは、前回からの続きで、二枚飛車を生かした攻め方の続きから見ていきます。まずは第1図をご覧ください。

【第1図】

前回のコラムでは、ここで▲6二歩と垂らす手が好手で、△同金上は▲8一飛成までの詰み、△同金寄は▲7一飛成△同銀▲同飛成でよし、と解説いたしましたが、今回は6七に先手方の歩がいるために、▲6二歩は二歩で打つことができません。ただし、今回は持ち歩が2枚ありますので、それを生かして攻めていきたいところです。

まずは▲7四歩と考えてみましょう。△同歩に▲7三歩のたたきが狙いです。△同銀、△同金、△6二金寄の応手はいずれも▲7一飛成から金銀2枚をはがして成功ですね。しかし、△7三同桂と取られるとどうでしょう。勢い、▲7一飛成と切り込んでいきますが、もし△同金と取ってもらえれば▲7二金が強烈ですが、△同銀▲6二金に△8二玉と頑張られると、▲7二金は△同玉で後続がありません。

▲7一金△同金▲9一銀は△同玉と取ってもらえれば、▲7一飛成△8一金▲8二金までの詰みですが、△7二玉とかわされると持ち駒がもうないので、迫る手がありません。よって、今回は▲7四歩ではうまくいかないことがわかりました。

では、もう1つ隣に▲8四歩(第2図)と打ってみましょうか。

【第2図は▲8四歩まで】

放置すれば▲8三歩成△同銀▲7一飛成△同金▲同飛成ですし、△8四同歩も▲8三歩(第3図)と打てば、△同銀、△同金のいずれも、▲7一飛成から後手陣は崩壊します。

【第3図は▲8三歩まで】

今回のケースは7三でなく、8三へ歩をたたく手を狙うのが急所でした。

さて、続いては第4図です。

【第4図】

今度は7二の金がなくなり、代わりに6二に銀が守りについています。さて、この場合はどこが急所でしょうか。

まずは▲5三歩と垂らしてみます。次に▲5二歩成となれば、▲6二とと銀を取る手が△同金には▲8一飛成までの詰みがあるため、非常に厳しいですが、△5一歩と受けられると続く手がありません。

では、第4図から▲7一飛成はどうでしょうか。△同銀左に▲6一金と打てば△7二銀には▲6二金で銀取りが受けにくく、銀の弱点をついたうまい攻めに思えますが、▲6一金のとき△4四角と受けられると▲7一金は△同銀で意外と耐えてますし、ひねって▲6二歩としても△同角▲同金△同銀▲7二角△7一金でうまくいきません。

それでは第4図をもう一度ながめてみましょう。もし7一の金がいなければ▲8一飛成までの詰みですね。ではどうすれば7一の金を動かすことができるか。そのことを考えれば答えにたどり着くはずです。そうです。▲7二歩(第5図)のたたきが激痛の一手になります。

【第5図は▲7二歩まで】

△7二同金はもちろん▲8一飛成までの詰みがありますし、次に▲7一歩成と金を取れば、△同銀左▲同飛成△同銀▲同飛成とあっという間に金銀を一掃することができます。第5図では△5一歩と受けるくらいですが、▲7一歩成と金をはがし、△同銀右に▲6一金としておいて攻めが調子よく続いていきます。

2枚の大駒で穴熊をにらみ、歩などの駒を金銀の頭にたたいていく攻めは、非常に厳しい場合が多いですので、前回のコラムと合わせてもう一度読み直していただくと、実戦で役に立つことも多いと思います。

穴熊の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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