攻撃力抜群の「石田流」でライバルに差をつけよう!持久戦の対応もこれでバッチリ【はじめての戦法入門-第11回】

攻撃力抜群の「石田流」でライバルに差をつけよう!持久戦の対応もこれでバッチリ【はじめての戦法入門-第11回】

ライター: 高野秀行六段  更新: 2017年05月18日

皆さん、こんにちは。高野秀行です。人気抜群、「石田流」編も4回目となりました。だんだんとポイントはつかめてきましたか?前回は居飛車の△6四歩~△6三銀から△7二飛と速攻を仕掛けに対処しました。今回はその形から持久戦へと駒組みが進んだ戦いについて見ていただきたいと思います。

まずは基本図となっている第1図からの手順をご覧ください。

【第1図】

もうおなじみとなった、石田流の基本図です

第1図からの指し手
△6四歩▲3九玉△6三銀▲5八金左△5二金右▲9六歩△3三角▲7七桂△2二玉▲6八銀△3二銀(第2図)

【第2図は△3二銀まで】

居飛車は△3三角から玉を囲ってきました。穴熊は手数がかかるので、△3二銀と美濃囲いで自陣を安定させます

居飛車は前回同様△6四歩~△6三銀と組んできました。▲9六歩に△7二飛ではなく、△3三角から玉を囲うのが、居飛車として有力な作戦です。

振り飛車は▲7七桂~▲6八銀と「石田流」の本組みを目指します。居飛車はここが作戦の分岐点。できれば穴熊に囲いたいところですが、手数がかかります。△5四歩~△5三銀と形は違いますが、第9回の講座で見事に攻略されてしまいました。そこで△3二銀と美濃囲いで陣形を安定させました。

第2図からの指し手
▲6七銀△1四歩▲1六歩△2四歩▲5六銀△2三銀▲9七角△3二金(第3図)

【第3図は△3二金まで】

石田流の基本形、7六飛、7七桂、9七桂に5六銀を足すのが、6三銀型攻略の第一歩。この形を覚えてください

▲6七銀に居飛車は1筋の交換を入れてから△2四歩と突いてきました。振り飛車の狙いの一つに▲5六銀~▲4五銀(参考1図)があります。その攻め筋を△2四歩~△2三銀で事前に受けようというものです。

【参考1図は▲4五銀まで】

チャンスがあれば、▲5六銀?▲4五銀と角頭を攻めるのも石田流の狙い筋

▲9七角の局面で「石田流」の攻撃態勢が完成しました。6三銀型には7六飛、7七桂、9七角の基本形(第9回参照)に5六銀を足すと覚えてください。△3二金(第3図)と居飛車が銀冠を作って、さぁここから戦いです。

第3図からの指し手
▲6五歩△同歩▲同銀△6四歩▲7四歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△7三歩▲7六飛(第4図)

【第4図は▲7六飛まで】

▲7四同銀から銀交換をし、悠々▲7六飛と引き上げます。銀が「さばけた」格好で、十分にポイントを挙げています

前述しましたが、「石田流」の攻撃態勢が整いました。▲2八玉と囲いに手を掛ける手もありますが、ここは▲6五歩から仕掛けましょう。

△6五同歩に▲同銀と銀を進めましたが、▲同桂も有力です。△6四歩なら▲7三桂成△同桂▲7四歩で攻めが決まります。しかし、△8四飛が手強い受け。以下▲7四歩△同歩▲5三桂成△9九角成(※△同金は、▲3三角成△同桂▲6二角の飛車金の両取り)▲5二成桂△同銀(参考2図)で調子良く攻めたようですが、金と桂香の交換に、後手は馬ができています。見た目よりも成果が挙がっていません。

【参考2図は△5二同銀まで】

次に△7五香などがあり、金は取りましたが、形勢良しとはいえません。なので、▲6五同銀がお勧め

そこで私は▲6五同銀をお勧めします。

△6四歩と受けてきましたが、銀を引かずに▲7四歩。△同歩に対する局面もポイントの一つで、▲6四銀は△同銀▲同角△6二飛▲9一角成△6九飛成(参考3図)と飛車が成られてしまいます。

【参考3図は△6九飛成まで】

次に△6七歩が厳しい攻め。先に飛車を成られては、いけません

▲7四同銀が正解で、銀を交換し、慌てず▲7六飛と引いておきましょう。

第4図からの指し手
△6三金▲6五歩△同歩▲6四歩△6二金▲7一銀△7二飛▲6二銀成△同飛▲6五桂△9九角成▲5三桂成(第5図)

【第5図は▲5三桂成まで】

▲7四同銀から銀交換をし、悠々▲7六飛と引き上げます。銀が「さばけた」格好で、十分にポイントを挙げています

銀が「さばけた」格好の振り飛車。その銀で▲4一銀の割り打ちが楽しみです。その手と▲6四角を防いで△6三金と上がりましたが、▲6五歩~▲6四歩が厳しい攻め。△6二金に今後は▲7一銀とこちらで割り打ちができました。銀を交換しているため、攻め手には困らないのです。

金銀交換から▲6五桂、そして▲5三桂成と気持ちの良い攻めが続きます。第5図からは△8二飛と逃げるぐらいですが、▲6三歩成とし、以下▲5二とから着実な攻めが約束されており、振り飛車はっきり優勢です。

では今回のポイントです。

1.6三銀型に対しては7六飛、7七桂、9七角の「石田流」基本形に5六銀を足します(第3図)。これで攻撃態勢が整いました!
2.▲6五歩から仕掛けます。△同歩に▲同桂もありますが、▲同銀がお勧め。
3.△7四同歩には▲同銀。銀を交換し、▲7六飛と引き上げます。銀が「さばけた」格好です。ゆっくりとしているように見えますが、攻め手には困りません。

6三銀型も5六銀~6五歩の仕掛けが決まり、攻略することができました。実戦の対局ごとに、細かな形の違いはあるかと思いますが、今回のポイントを押さえていれば、まず間違いはありません。 「攻撃力」抜群の「石田流」でライバルに差をつけましょう!

「四間飛車」「ゴキゲン中飛車」「石田流」と「振り飛車」の作戦をご紹介してきた本講座。次回からは「居飛車編」に移ろうかと思ったのですが、最後に一つだけぜひ見ていただきたい作戦があります。

私が最も美しいと思う振り飛車。次回は「コーヤン流三間飛車」をご覧いただきます。

はじめての戦法入門

高野秀行六段

ライター高野秀行六段

1972年6月横浜市生まれ。1984年に6級で中原誠十六世名人に入門。1998年4月に四段。棋風は居飛車本格派。趣味はゴルフ。将棋教室で多くの子供たちに将棋を教えている。

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