社会人VS学生の団体日本一決定戦。リコー杯アマチュア将棋団体日本選手権(前編)

社会人VS学生の団体日本一決定戦。リコー杯アマチュア将棋団体日本選手権(前編)

ライター: 馬上勇人  更新: 2017年05月20日

第29回リコー杯アマチュア将棋団体日本選手権が、3月18日に神奈川県海老名市のリコーフューチャーハウスで行われ、社会人代表のリコーが学生代表の立命館大学を5勝2敗で破り、18年ぶり7度目の優勝を果たしました。

この模様を2回にわたり、レポートさせていただきます。

リコー杯アマチュア将棋団体日本選手権(以下日本選手権)とは?

日本選手権とは、その年の社会人ナンバーワンチームと学生ナンバーワンチームとの間で、7人制で争われる団体日本一決定戦です。社会人側の代表は春と秋に行われる職域対抗団体戦(職団戦)の総合順位で決定します。学生側は、冬に行われる学生王座戦の優勝校が代表になります。

設立当時は、社会人側が圧倒的に強く、学生側に胸を貸すような雰囲気があったのですが、近年は学生側のレベルが非常に高く、ここ10年の対戦成績は学生側の9勝1敗と逆に社会人側を圧倒しています。

この10年間、社会人側はNEC、富士通、日本レストランシステム、リコーが出場し、学生側は、東京大学、立命館大学、早稲田大学、名城大学が出場しています。個人の実績だけみると、全国優勝を何度も経験しているアマ強豪や元奨励会有段者を多数そろえた社会人側が有利との評判なのですが、学生側の若さと勢いに毎年はね返されていました。

リコー VS 立命館大学

今年の日本選手権は、社会人代表が春、秋の職団戦で優勝したリコー。学生代表は王座戦で優勝した立命館大学です。オーダー交換は当日行われ、以下のようになりました。団体戦の先後は、大将戦の振り駒により、副将戦以下、先後が逆になるように決められています。持ち時間は各75分。切れたら1分将棋となります。

審判長の屋敷伸之九段の合図で対局が開始されました。

大将戦 菊田裕司―長森優作(先手)
副将戦 (先手)山内祥敬―銭本幹生
三将戦 中川慧梧―新貝涼太(先手)
四将戦 (先手)山田雄介―山本将太郎
五将戦 細川大市郎―櫻井飛嘉(先手)
六将戦 (先手)武田俊平―阿部俊貴
七将戦 山田洋次―星田雅弘(先手)

それぞれの選手のプロフィールは以下からご覧ください。
リコーの選手のプロフィール
立命館大学の選手のプロフィール 

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対局風景。写真提供:リコー株式会社

いきなりの大乱戦(七将戦)

開始早々、七将戦が乱戦となります。リコーの山田(洋)さん得意のダイレクト向かい飛車に対して、立命館大学の星田さんは角交換から▲6五角と反撃。この形、一昔前までは△4五桂▲4八銀△5五角で後手の△9九角成が受からず先手のはまり形とされていました。

※この形を避けるために▲9六歩△9四歩の交換をいれて▲9七香を用意する

しかし、△5五角以下、▲9八香△9九角成▲7八銀△4二銀▲8三角成△9八馬▲5六馬△4四歩▲6六馬△3三銀▲4六歩とされた局面は、後手の桂が取り返されるうえ、馬の働きが、圧倒的に先手がよく、後手がかなり苦しい形勢になっています。

後から、似た形を公式戦で指されていた中村太地六段に聞くと、後手の応手に工夫が必要だったとのこと。

ただ、この後、山田(洋)さんは粘り、混戦になっていきます。続きは、後編で。

馬上勇人

ライター馬上勇人

リコー将棋部 五段。第16回全国オール学生将棋選手権で優勝。趣味はフットサルで、将棋連盟フットサル部所属。

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