将棋コラム

東京武道館での熱き戦い!2000人が集まる将棋イベントをご存知ですか?

東京武道館での熱き戦い!2000人が集まる将棋イベントをご存知ですか?

更新: 2017年05月28日

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内閣総理大臣杯第111回職域団体対抗将棋大会(主催・日本将棋連盟後援・朝日新聞社、東京都教育委員会)が4月9日に、東京都足立区の東京武道館で開催された。 通称「職団戦」と呼ばれるこの大会は春と秋の年2回行われる5人制団体戦で、今回は8クラスに計416チームが参加した。同一企業、団体などでチームを構成しており、第1回は昭和34年と60年近い歴史を持っている。

朝、開会を待つ会場は2,000人を超える選手たちで、仲間を捜すのも一苦労という混雑ぶり。その中を開会を告げる大太鼓の音が響き渡る。 各クラスの選手たちが席に着き、佐藤康光会長の号令で、いっせいに「お願いします」。2階席から見下ろすと広い場内を埋め尽くす対局席という壮観な光景が広がっている。

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開場を待つ選手たち 撮影:中島一

試合はSクラス以外はトーナメント形式で、初戦で負けると慰安戦に回るシステムだ。慰安戦も含めて上位に入賞すると次大会で上のクラスに昇級する一方、慰安戦の初戦で敗退すると降級の対象になる。

楽しむ大会

この大会は超のつく強豪も参加するが、普段は大会に参加することが少ないという人が結構いる。もちろん自分が勝ってチームも勝つのが最高だが、負けてもチームの成績をさかなにした打ち上げが楽しみという人も多い。仲間とだから参加するという、将棋ファン層の裾野を広げる大会なのだ。

会場の一角には、扇子や書籍、ストラップなどのグッズを販売するコーナーがあるが、参加記念にと小物を買っていく人も多いという。

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指導対局コーナーでは、加藤一二三九段が指導を行った 撮影:中島一

午後からは敗退者を対象にした指導対局が始まるが、今回の目玉は加藤一二三九段で、スマホやカメラを向ける人もここが一番多い。加藤九段が場内を歩くと「生ひふみんだ」と声が上がるほど。記念撮影のお願いに加藤九段も快く応じていた。

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記念撮影に応じる加藤九段 撮影:中島一

遠山雄亮五段率いるモバイルチームは日本将棋連盟公式のアプリやAbemaTVの将棋チャンネルを宣伝するブースを開いている。その隣に今回初めて記念撮影コーナーを設置した。大会のパネルやのぼり、扇子や置き駒といったグッズも貸し出して、棋士と無料の記念撮影ができる。中村桃子女流初段と塚田恵梨花女流2級はパネルを持つ、文字通りの「看板娘」で人気を集めていた。手探りの企画だったが、好評だった。これまで楽しむ人たち向けの企画は指導対局ぐらいだったが、こういう方向の企画が充実していけば、ちょっと参加してみようという人(チーム)も増えていくことだろう。

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今回初めての試みの記念撮影コーナーでの様子 撮影:中島一

遠路はるばる

参加者は関東が中心だが、遠距離からの参加も見られる。

Eクラスの福島県庁チームは初出場の前回、Fクラスで優勝して2度目の参加。夜行バスでという強行軍の方もいた。メンバーに代表経験のある方はいないが団体戦の楽しみを感じての出場で今回も同クラスを制し、さらに上を目指したいとのこと。

Dクラス、防衛省自衛隊チームの吉永稔さんは福岡県から2泊3日で参加している。アマ名人戦など多くの大会で豊富な代表歴を持つ実力者だ。メンバーは全国あちこちで、普段はメールやラインでやりとりしているが、「チームがそろうと志気が上がります」。今回は不参加だが、沖縄にも有力選手がいるという。上のクラスにいけばモチベーションが上がり、さらにメンバーも豊富になるのが楽しみだそうだ。こちらもクラス優勝を飾っている。

ほかにもA級には倉敷藤花戦の地元、倉敷市役所チームが出場しているほか、過去には北海道や九州のチームの姿もあった。皆さん遠路はるばるありがとうございます。

女性の活躍

夕方にはチーム数も減り、各クラスの決勝戦がぽつんぽつんと行われている。その中に女性が2人もいるチームがあった。Cクラスの日本生命チームは鎌村ちひろさんと三嶋聖奈さんを擁して決勝戦まで勝ち上がってきた。

鎌村さんは第8期マイナビ女子オープンチャレンジマッチ(アマプロ混合)で全局プロと戦いながら4勝1敗で予選を通過し、話題になった。三嶋さんは普及指導員の資格を持ち、地元和歌山で岩出将棋教室を開いている。チームは決勝で敗れたが、二人とも4勝2敗とチームの昇級に大きく貢献した。お見事でした。

最強レベルの激突

最高クラスのSクラスは今回からシステムが変更された。まず8チームから12チームと枠が増えた。予選も「2ブロックの上位2チームが通過」から、3ブロックの1位と、2位の最高成績チームがトーナメントに進出する方式に。Aクラスとの入れ替えも1から3チームになったことでリーグの活性化が期待できる。

予選を勝ち上がったのはリーグ1位のリコー1、富士通1、リコー2と2位からNEC1。準決勝を勝ち上がったリコー1とNEC1は予選の再戦になった。

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S級決勝戦の模様。リコー(1)とNEC(1)の対決となった 撮影:中島一

メンバー(敬称略)は上からリコーが武田俊平、中川慧梧、細川大市郎、山田雄介、山田洋次。NECは宮原洋介、原司、清水上徹、船橋一訓、加藤幸男。どこの全国大会かと言うくらいの豪華な顔触れがそろっている。現在リコーが2連覇中だがその前はNECが2連覇。前回も両チームが決勝で対戦とまさに最強レベルの決戦になった。

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S級優勝を決めたリコー(1) 撮影:中島一

この激闘を3―2で制したリコーが3連覇を達成した。416チームの頂点に立ったリコーチームのメンバーは表彰式で内閣総理大臣杯や盾、賞状を受け取り、誇らしげな表情だった。

中島一

ライター中島一

1967年生まれ。子どもの頃から将棋好きで、高校、大学と将棋部在籍。元週刊将棋編集部記者。2001年からフリーライターになり、新聞観戦記、将棋雑誌に執筆ほか単行本など。地元では大会の運営にも携わっている。一応現役プレーヤー。 将棋以外の趣味は山歩き。

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