棋士の素顔や哲学を知りたければこの一冊。「将棋棋士の名言100-勝負師たちの覚悟・戦略・思考-」のご紹介

棋士の素顔や哲学を知りたければこの一冊。「将棋棋士の名言100-勝負師たちの覚悟・戦略・思考-」のご紹介

ライター: 松谷一慶  更新: 2017年04月04日

将棋の本、と聞いてみなさんはどういった内容を思い浮かべるでしょうか。四間飛車や棒銀の戦法定跡書や、昨年秋に映画化された「聖の青春」のような将棋小説を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

このコラムで紹介する「将棋棋士の名言100-勝負師たちの覚悟・戦略・思考-」(後藤元気著・出版芸術社刊)はそのどちらでもありません。羽生善治三冠、渡辺明竜王、加藤一二三九段ら、プロ棋士の言葉がまとめられている名言本です。

厳選された100の名言から、それぞれの棋士の素顔や勝負哲学を知ることができる充実の内容となっています。

深い名言がたくさん詳しく紹介されている

この本では、棋士がインタビューや対談で語った言葉や、棋士の著書などからピックアップされた名言が、下記の5つの項目に分けて紹介されています。

1.覚悟(棋士として自分らしくあるための言葉)

 棒銀が弱いんじゃない。自分が弱いんです。 加藤一二三九段

2.戦略(長い棋士人生を生き抜くための言葉)

 前進できぬ駒はない。 中原誠十六世名人

3.宿敵(競い合い、認め合う言葉)

 人と比べると錯覚することがあるから。 木村一基八段

4.思考(棋士の頭の中の先の先、奥の奥にある言葉)

 読み切っていれば怖くない。 羽生善治三冠

5.棋士の素顔(盤を離れたひとりの人間としての言葉)

 僕は不自由な駒がかわいい。 升田幸三実力制第四代名人

棋士の名言が羅列されているだけではなく、その言葉がどういう状況で話されたのか、どういう意味を持つのかが、実際のエピソードを交えて解説されているので、より深く理解することができます。

名言以外の情報も盛りだくさん

この本のオススメのポイントは名言だけじゃありません。本の中に登場する棋士について、生年月日から経歴、将棋に関するエピソードまで知ることができる棋士紹介ページがあるほか、章と章の間では「藤井システム」や「ゴキゲン中飛車」などの将棋用語の解説がされていてとてもわかりやすいです。さらに巻末には将棋界の主な出来事をまとめた年表も載っており、将棋界のことを知ることもできます。

棋士という勝負の世界で戦い続けた人が、どういう言葉を残し、そしてその言葉にどういう意味を込めたのか、この本を通してぜひ堪能してください。将棋に詳しい人だけでなく、あまり将棋のことを知らない人にとっても、胸に響く言葉がたくさん見つけられること間違いなしの一冊です。

松谷一慶

ライター松谷一慶

2013年より世界一周に出発し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南米、北米を経て、2016年春に帰国。これまでに訪れた国は約100ヵ国。 自然と音楽とお酒とお祭りとトライアスロンとバンジージャンプと甘いものとキリンとぶり大根とが好き。将棋は祖父と何度が指したことがあるくらいだったが、最近また覚えはじめる。

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