二段目に垂らすのがコツ。と金を作って穴熊を攻略する方法とは?【穴熊の崩し方 vol.4】

二段目に垂らすのがコツ。と金を作って穴熊を攻略する方法とは?【穴熊の崩し方 vol.4】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年03月20日

今回のコラムでは、と金を作って穴熊を攻略する指し方をご紹介いたします。まずは第1図をご覧ください。

【第1図】

強力な竜が穴熊陣をにらんでいますが、すぐに▲7一竜としても、△同銀▲6一金に△8二銀や△8二玉であっという間に攻めが切れてしまいます。と金を作るといっても、▲5三歩や▲4三歩では穴熊から遠く、この場合は不正解な攻め方となります。 ここは、▲6二歩(第2図)と垂らすのがいちばん厳しい攻め方で、次の▲6一歩成を後手は受けることができません。

【第2図は▲6二歩まで】

次に、▲6一歩成△7二金▲6二と△7三金▲7一と(第3図)と攻めるのが一例で、後手の金は逃げましたが、次の▲8一との詰みを防ぐには、第3図から△7一同銀と取るしかなく、▲同竜で次の▲8二銀までの詰みを受けることができず、必至が掛かります。

【第3図は▲7一とまで】

後手としては、▲6一歩成のときに△同金▲同竜△7一歩が最善の頑張りとなります。これでしばらくは耐えれますが、歩で7一の金をはがすことができ、大成功といえます。△7一歩からの攻め方ですが、▲6二金と貼りつき、次に▲7一金を狙うのが確実な攻めとなります。

第1図から▲6三歩でもいいんじゃないの、と思われる方もいるかもしれません。次に▲6二歩成とできれば、後手の7一金は逃げることができず。確実に金をはがすことができます。しかし、△6一歩と受けられると、次の攻めがなく、失敗となります。

と金は一段目より二段目、二段目よりは三段目のほうが働きはよいことが多いですが、と金作りを狙う位置が下がれば、相手も受けやすくなるということがよくあります。 第1図の場合は6二へ垂らせば、もし後手の持ち駒に銀や角があれば7二へ打って受けることができますが、あいにく後手の持ち駒は歩しかありません。

しかし、垂らすのが6三ですと、6一に歩を打って6二の地点を受けることができます。また、今度は駒があれば、例えば7二に金を打ったり、△7三角と竜取りをかけながら受けたりと、さまざまな受け方ができるようになります。穴熊相手にと金攻めをするときは、7一の金を狙うことが多いので、と金作りを受けにくい、二段目に垂らすのが確実なケースが多いでしょう。続いては第4図です。

【第4図】

第1図の後手陣に7二へ金が足されています。この場合はどう攻めるのがよいでしょうか。今度は▲6二歩と打っても、△同金寄と取られて効果はありません。この場合は▲5三歩(第5図)と垂らすのが正しい攻め方となります。

【第5図は▲5三歩まで】

先ほどは5三へ垂らすのは遅いと書きましたが、今回は6筋に垂らす手が成立しないので、少し遅くても5三へ垂らすのが正解となります。そして、▲5二歩成~▲6一と、となれば、7一の金をはがすことができます。

また、第4図では、▲5四歩と垂らしても、と金は確実にできますが、▲5三歩成とした後に、次に迫る手がなく、結局▲5二と~▲6一と、と攻めることになりますので、5四よりは5三へ垂らすほうがよい攻めとなります。

次回のコラムでは、大駒をたたき切って攻める指し方をご紹介していきます。

穴熊の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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