穴熊を崩す4つの攻め方。端攻め・と金攻め・大駒を切る・7三を狙う【穴熊の崩し方 vol.1】

穴熊を崩す4つの攻め方。端攻め・と金攻め・大駒を切る・7三を狙う【穴熊の崩し方 vol.1】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年03月11日

今回のコラムからは、穴熊に対する攻め方をご紹介していきます。第1図を見ていただければわかるように、穴熊は隅に駒が密集したとても堅い囲いです。

【第1図は▲3八金左まで】

自分で使うと攻めに専念でき、とても強力な囲いですが、穴熊を得意とするライバルがいるときには、この囲いに悩まされている方も多いことでしょう。

美濃囲いのときは、初手から▲6八飛▲4八玉▲3八玉▲2八玉▲3八銀▲5八金左と最短で6手で囲うことができますが、穴熊の場合は▲6八飛▲4八玉▲3八玉▲2八玉▲1八香▲1九玉▲2八銀▲3九金▲5九金▲4九金左▲3八金左の11手と、最短で囲ってもほぼ倍近く手数がかかってしまいます。しかし、手数がかかるぶん、美濃囲いとは段違いな堅さとなります。それではこの囲いの崩し方について見ていきましょう。

まずは第2図のような端攻めです。

【第2図】

穴熊に対して、端攻めは非常に有効な場合が多いです。というのも、7一や7二の金にさわらず、玉を直撃するような感じで攻めていくことができるからです。端は銀、桂、香で守っていますが、金駒(かなごま。金と銀のこと)が銀しか利いていませんので、堅い穴熊の中でも、いちばん薄いところになります。さらに、7一や7二に金がいるのが逆に逃げ道をふさぐようなことにもなり、堅いバリケードを逆用していける場合もあります。

次に、第3図のようなと金攻めです。

【第3図】

穴熊は横からの攻めには非常に強い囲いなので、横から攻める場合はもちろん時間がかかりますが、焦らずと金で攻めれば、密集している分、金の逃げ道がないので確実に守り駒をはがしていくことができます。

次に第4図です。

【第4図】

ここからどう攻めるかといいますと、▲7一角成!△同金▲同飛成!△同銀▲6一金と飛車角をたたき切って攻めていきます。飛車角と金2枚の交換と、考えられないような駒損の攻めですが、終盤戦での穴熊の金銀は、大駒よりも価値が高いことがよくあります。

また、大駒は攻めるには射程が長く非常に強力な駒ですが、守るには周りに動ける箇所が少ないので、受けには適していません。穴熊は、自玉の堅さを頼りに、飛車角をたたき切って豪快な攻めをしてくることが多々ありますが、逆に、穴熊に対しても、飛車角をたたき切る豪快な攻めが有効になることも多々あります。

そして第5図です。

【第5図は▲7三香まで】

金銀二枚でも穴熊は十分堅いですが、タダのところに▲7三香と放り込む攻めが、非常に厳しいです。△同銀は▲7一飛成と金を取れますし、△7三同桂も▲7二銀と打った手が、▲7一飛成△同銀▲8一金までの詰めろになっていて非常に厳しいです。△6二金とかわしても、▲7一香成が▲8一成香までの詰めろとなって、これも厳しく、あっという間に穴熊を崩壊させることができます。

端攻め、と金攻め、大駒を切る攻め、7三に駒を放り込む攻めをご紹介しましたが、他にも攻め方がありますので、次回からは順を追ってご紹介していきます。

穴熊の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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