将棋コラム

渡辺明棋王VS千田翔太六段。渡辺勝てば永世棋王に。棋王戦五番勝負の展望は?(対局者コメントあり)

渡辺明棋王VS千田翔太六段。渡辺勝てば永世棋王に。棋王戦五番勝負の展望は?(対局者コメントあり)

更新: 2017年02月04日

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第42期棋王戦五番勝負の挑戦者はタイトル戦初出場の千田翔太六段に決まった。デビュー後、初参加の第55期王位戦で挑戦者決定戦へ進出し、次代の気鋭として名乗りを上げる。昨年はNHK杯戦、上州YAMADAチャレンジ杯、叡王戦でそれぞれ準優勝。ナンバーワンへの栄冠まで、あと一歩のところで及ばなかったが、満を持しての初タイトル戦で、トップへ挑む。

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第41期棋王戦五番勝負第4局(棋王戦中継plusより)撮影:八雲

待ち受ける渡辺明棋王は昨年末の竜王戦七番勝負をフルセットで制している。引き続いてのタイトル戦だが、百戦錬磨のチャンプに抜かりはないだろう。本シリーズの渡辺は棋王を防衛すると連続5期の規定で、永世棋王の資格を得る。渡辺にとっては2008年の永世竜王に続く2つ目の永世称号がかかっている。過去、永世称号を複数獲得したのは7つ獲得した(名誉NHK杯を含む)羽生善治三冠と、5つ獲得の大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人の3名しかいない。時代を築いた超一流棋士の仲間入りを渡辺棋王が果たせるかどうかも注目だ。

両者は第1局が公式戦初手合い(タイトル戦が初手合いというのは1995年の第66期棋聖戦、羽生善治棋聖―三浦弘行五段[段位は当時]までさかのぼる)ということもあり、展開は予想しにくい。基本的には両者ともに居飛車党だが、渡辺棋王は裏芸として振り飛車を採用することもあるし、コンピュータ将棋に造詣のある千田六段はその影響か、初手▲4八銀や▲5八玉といった変則的な序盤戦術を見せることもある。いずれにしろ、最初から最後まで目の離せない好カードと言えるだろう。

五番勝負を直前に控えた両対局者にコメントをとった。まずは、千田六段のコメントからご覧いただきたい。

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第42期棋王戦挑戦者決定二番勝負第1局。撮影:常盤秀樹

 ――千田六段にとって、初のタイトル戦ですが、開幕に向けての準備などはいかがでしょうか。

「和服は用意したのですが、緊張するタイプなので前夜祭などで行うスピーチが心配ですね。最近、体調を崩していたので、対局までにベストに戻せればと思います」

 ――3年前の王位戦では、初参加ながら挑戦者決定戦へ進出しました。その時は惜しくも挑戦権を逃しましたが、それ以来のタイトルへのチャンスです。

「当時はまだ弱かったのでフロックだったのかと思います。昨年は複数の棋戦で決勝まで行けたので、実力がついてきたのかな、と」

 ――決勝トーナメントを振り返って、印象に残る将棋などがありましたらお願いします。

「佐々木勇気五段との勝者組決勝、挑戦者決定戦の連戦ですね。佐々木さんとは同い年ということもあり、意識する相手です」

 ――千田六段は将棋ソフトに造詣が深く、普段の勉強法にも取り入れていると聞きました。

「今は、自分の大局観をソフトに近づけられるようにと考えています。この手がソフトだと何点になるのか、自らの想定がソフトの評価値と比較してどうかということを考えます」

 ――渡辺明棋王の将棋をどのようにみていますか。

「いろいろな戦法を指され、その経験を生かしている印象を受けます。こちらも相手に対応するということが最善なのかどうか。当然ながら簡単な相手ではありませんので、対応するというよりは自らが最善手を指せるようにと思います」

 ――ファンの皆様へ一言、お願いします。

「私にとっては初のタイトル戦ですが、相手には永世称号が懸かっています。永世シリーズにふさわしいシリーズになるように頑張ります」

一方、千田六段の挑戦を受けて立つ渡辺棋王のコメントは、以下のとおりだ。

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第41期棋王戦五番勝負第4局(棋王戦中継plusより)撮影:八雲

 ――竜王戦が終わってから、休む間もなくの棋王戦開始ですが、タイトル戦へ臨むにあたっての準備・コンディションなどについて教えてください。

「対局は続いていましたし、コンディションは特に問題ありません」

 ――本シリーズには永世棋王が懸かっていますが、その点に思うことはありますか。

「永世棋王は連続5期のみで、最初で最後のチャンスになると思うので、頑張りたいです」

 ――永世称号がかかるタイトル戦というのは二度目になりますが、前回の竜王戦と比べて、異なる部分、類似した部分というのは、それぞれどのようにお考えですか。

「やはり、おそらく二度目のチャンスがない、という点になります」

 ――今回の棋王戦は千田六段と佐々木勇気五段という若手俊英の争う挑戦者決定戦となりました。若手がここまで勝ち上がってきたことに関して、ご自身が初のタイトル戦へ挑んだ当時と比較してみても、いかがでしょうか。

自分が19 歳で初めてタイトル戦に出た時、羽生さんは32歳でした。今の自分が32歳でこれだけ年が離れた挑戦者を迎えるのは初めてのことです。いつの間にか逆の立場になったか、という思いです」

 ――あらためて、千田将棋をどのように見ますか。

「千田六段は序盤から独特な指し回しが目を引きますね」

 ――今シリーズの注目点など、将棋ファンに向けての言葉をお願いします。

「戦型選択の点から注目してもらえればと思いますし、タイトル戦にふさわしい将棋を見せられるようにやりたいと思っています」

渡辺棋王は、今回自分よりも10歳年下の挑戦者を相手に、どういった将棋を指すかが注目される。そして挑戦者の千田六段が初めてのタイトル戦で百戦錬磨の渡辺棋王を相手に臆することなく対局に挑むことができるか、採択する戦法の駆け引きとともに注目したいシリーズだ。

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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