将棋コラム

稲葉陽八段が佐藤天彦名人への挑戦権を獲得。女流名人戦、200手を超えた死闘の結果は?【2月20日~26日の中継結果まとめ】

稲葉陽八段が佐藤天彦名人への挑戦権を獲得。女流名人戦、200手を超えた死闘の結果は?【2月20日~26日の中継結果まとめ】

更新: 2017年02月27日

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日本将棋連盟モバイルにおける2月20日~26日の中継局の結果をまとめてお伝えします。稲葉八段がA級1期目で名人挑戦を決め、女流名人戦は熱闘のシリーズを制し、里見香女流名人が防衛しました。

トップニュース 

稲葉八段、名人戦七番勝負に登場

○稲葉陽八段-●森内俊之九段

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©名人戦棋譜速報

第75期A級順位戦は25日、最終9回戦が一斉に行われた。7勝1敗で首位を走る稲葉陽八段は、3勝5敗と降級の目を持つ森内俊之九段と対戦。自身が勝つか、6勝2敗で追う羽生善治三冠と広瀬章人八段がそろって敗れれば名人挑戦が決まる。森内九段の先手で横歩取りになり、8四飛型から相中住まいに進んだ。森内九段がと金を寄って金取りをかけると、取れば飛車桂両取りの角打ちがある稲葉八段は金を逃げざるを得ない。と金が追う、金が逃げるの繰り返しで千日手が成立した。指し直し局の▲稲葉八段-△森内九段戦は、森内九段が角道を止めてから飛車先を突き、相居飛車の力戦形に誘導する。森内九段が5筋に位を取ると、稲葉八段は飛車を回って位に反発し、互いにカナ駒を持ち合う。森内九段が1筋を伸ばしたところ、稲葉八段は香を犠牲に後手陣を乱し、堅陣を頼りに一気に攻め勝った。稲葉八段は初のタイトル挑戦を決め、佐藤天彦名人との七番勝負は第1局が4月6日(木)から7日(金)にかけて、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われる。現時点で永世名人の資格を持つ棋士が登場しない七番勝負は佐藤康光名人-丸山忠久八段の第58期以来、17年ぶり。A級1年目から挑戦権を獲得して七番勝負を制した新名人が、同じく1年目のA級を制した挑戦者を迎える構図は、羽生名人-森下卓八段の第53期以来、22年ぶりだ(肩書・段位は当時)。

里見香女流名人、タイトルを死守、8連覇

●上田初美女流三段-○里見香奈女流名人(五冠)

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第43期岡田美術館杯女流名人戦は挑戦者の上田初美女流三段の2連勝の後、里見香奈女流名人(五冠)が2連勝で追い上げ、最終第5局を迎えた。22日、東京・将棋会館での第5局は10時開始。これまでの4局より1時間遅く行われている。先後は改めての振り駒により、上田女流三段の先手に決まった。先手居飛車穴熊、後手ゴキゲン中飛車から、里見香女流名人は左銀を五段目に繰り出す、得意の形で戦う。駒がぶつかると形勢は細かく揺れた。差がついたように見えた局面でも互いに粘り強く指し、決め手を与えない。二転三転の死闘は200手を超え、最後は里見香女流名人が抜け出した。里見香女流名人は女流名人最長連覇記録を8に伸ばす。

順位戦(カッコ内はリーグ順位)

A級

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©名人戦棋譜速報

「将棋界のいちばん長い日」は、最終の4局が一斉に行われた。森内俊之九段-稲葉陽八段戦はトップニュースのとおり、千日手指し直しの末、稲葉八段が勝って佐藤天彦名人への挑戦を決めている。最も早い終局となった▲羽生善治三冠-△屋敷伸之九段戦は、矢倉模様の出だしから力戦形に進む。羽生三冠は居玉のまま早繰り銀から銀交換を果たし、模様がいいと見られていた。だが、屋敷九段は羽生三冠の一段玉に上部から圧力をかけ、先手先手と攻めて、これまで大きく負け越している難敵を下している。この時点で屋敷九段はA級残留を決め、羽生三冠の名人挑戦はなくなった。次に終局したのが▲広瀬章人八段-△佐藤康光九段戦。佐藤康九段が一手損角換わりを採用し、広瀬八段は棒銀に構える。佐藤康九段は8四歩・9五歩の形を作ってから腰掛け銀にし、積極的に駒を進めて馬を作る成果を挙げた。馬の力で飛車を封じ込めると、手にした桂香を巧みに使って攻め倒している。佐藤康九段は3勝目を挙げて残留に望みをつなげ、敗れた広瀬八段は名人挑戦の目がなくなった。この時点で稲葉八段の名人挑戦が決まっている。▲渡辺明竜王-△行方尚史八段戦は角換わり相腰掛け銀から、後手の行方八段が先攻した。渡辺明竜王も機を見て反撃し、難解な攻め合いで形勢は揺れる。最後は行方八段がチャンスを逃すと、渡辺明竜王は巧みな手順で自玉の詰めろを外して勝利を収めた。千日手指し直し局の▲稲葉八段-△森内九段戦が最後まで残る。その結果により、今期の降級は森内九段に決まった。リーグ成績は以下のとおり。

【8勝1敗】稲葉八段(1)=名人挑戦
【6勝3敗】羽生三冠(2)、渡辺明竜王(3)、広瀬八段(4)
【4勝5敗】行方八段(5)、屋敷九段(6)、深浦康市九段(7)
【3勝6敗】佐藤康九段(8)、森内九段(9)=降級
【1勝3敗】三浦弘行九段(来期は11位)

王位戦

挑戦者決定リーグ

○佐々木勇気五段-●豊島将之七段

紅組に先立って白組が進行中。▲佐々木勇気五段-△豊島将之七段戦は、横歩取りで▲3四飛△3三角に▲6八玉と進む。30手を過ぎたところで激しい流れとなり、佐々木勇五段が先手先手と攻める展開でペースをつかむとそのまま押し切った。

王位戦挑戦者決定リーグ

王座戦

二次予選

●三浦弘行九段-○先崎学九段
○丸山忠久九段-●行方尚史八段
○広瀬章人八段-●飯島栄治七段
●山本真也六段-○斎藤慎太郎六段
○畠山鎮七段-●谷川浩司九段
○菅井竜也七段-●千田翔太六段

各ブロックが進行中。▲三浦弘行九段-△先崎学九段戦は角換わり相腰掛け銀で、△6五銀のぶつけから戦いに入っていく。盤面を広く使った攻め合いになり、一手争いの熱戦を先崎九段が制した。▲丸山忠久九段-△行方尚史八段戦も角換わり相腰掛け銀に進み、行方八段が盤上に角を放って局面を動かす。丸山九段は千日手の選択を見送って行方八段にペースを譲るも、終盤で体を入れ替えると最後は長手数の即詰みに討ち取った。▲広瀬章人八段-△飯島栄治七段戦は相掛かりから、広瀬八段が▲7六歩と突かずに角を7九~5七と好位置に運ぶ。さらに角を巧みに使って飯島七段の駒の活用を牽制すると、攻めを余す展開から素早く反撃を決めた。▲山本真也六段-△斎藤慎太郎六段戦は、山本六段が序盤早々から構想力の問われる力戦形に持ち込んで先攻する。難しい戦いから終盤は形勢が二転三転するなか、最後は斎藤六段が入玉を決め、双方一分将棋となった熱戦を制した。▲畠山鎮七段-△谷川浩司九段戦は角換わり相腰掛け銀で、両者の右金が5筋に上がるクラシックな形に進む。畠山鎮七段が先攻して激しい攻め合いになるも、谷川九段に誤算があったか、夕食休憩が明けて40分ほどで畠山鎮七段が押し切った。▲菅井竜也七段-△千田翔太六段戦は、菅井七段が初手▲7八飛から角交換して向かい飛車に振り直し、千田六段は片銀冠に右銀を加えて対抗。双方が盤上に角を放つ展開から菅井七段が歩得を重ねてポイントを稼ぎ、15時過ぎという早い時間帯に圧倒している。

王座戦二次予選

棋王戦

第43期予選

●村田顕弘五段-○桐山清澄九段
○佐々木大地四段段-●藤井猛九段
○阿部隆八段-●増田裕司六段
●真田圭一八段-○三枚堂達也四段

第42期五番勝負と並行して各ブロックが進行中。▲村田顕弘五段-△桐山清澄九段戦は村田顕五段の三間飛車で、早々の角交換から馬を作り合う乱戦に進む。いち早く金銀を盛り上げる形を作った桐山九段が、作戦勝ちからつけ入る隙を与えずに快勝した。対局3日前にフリークラス脱出を決めた佐々木大地四段は、藤井猛九段の後手四間飛車に▲7七桂から8九玉型で対抗。飛車を浮いて玉頭に転回し、6筋から戦いを起こすと一方的に攻め倒している。▲阿部隆八段-△増田裕司六段戦は急戦矢倉から千日手になった。指し直し局は横歩取りに進み、後手の阿部隆八段が機敏に戦機をとらえてポイントを挙げ、優位を拡大して押し切っている。▲真田圭一八段-△三枚堂達也四段戦は横歩取りから互いに浮き飛車とし、真田八段は中住まいに構え、三枚堂四段は片美濃に組む。巧みな手順で玉頭を攻めた三枚堂四段が、真田八段の反撃をかわして制勝した。

棋王戦予選

王将戦

第67期一次予選

●森信雄七段-○中田功七段

第66期七番勝負と並行して各ブロックが進行中。▲森信雄七段-△中田功七段戦は中田功七段の三間飛車に対し、森信七段は居飛車穴熊に囲う。開戦して森信七段が優位に進めるも、力をためた手が甘く、手番を得た中田功七段が攻め勝った。

王将戦一次予選

棋聖戦

二次予選

○森内俊之九段-●阿部光瑠六段
○木村一基八段-●青嶋未来五段
○山崎隆之八段-●久保利明九段

各ブロックが佳境を迎えている。▲森内俊之九段-△阿部光瑠六段戦は横歩取りで、▲3四飛に阿部光六段が△4一玉の変化を採用。森内九段は歩得を主張として阿部光六段の動きを誘い、余す展開から鋭く反撃を決めて勝った。▲木村一基八段-△青嶋未来五段戦は相掛かりから互いに玉を6筋に構え、青嶋五段は4筋に飛車を成り、木村八段は斜め棒銀から馬を作る。中盤の攻防で木村八段が抜け出し、最後は攻めを切らして青嶋五段を投了に追い込んだ。▲山崎隆之八段-△久保利明九段戦は、久保九段が4手目△3三角で角交換を誘って中飛車に構える。山崎八段は▲2四歩~▲3四飛の横歩取りを実現させ、攻める展開に持ち込んで押し切った。森内九段、木村八段、山崎八段は決勝トーナメントに進出。残る二次予選は3月1日(水)に行われる「9」ブロックの決勝、北浜健介八段-斎藤慎太郎六段戦のみとなった。

棋聖戦二次予選

岡田美術館杯女流名人戦

第44期予選

●貞升南女流初段-○カロリーナ・ステチェンスカ女流3級

第43期五番勝負と並行して始まっており、各ブロックが進行中。▲貞升南女流初段-△カロリーナ・ステチェンスカ女流3級戦はカロリーナ女流3級のゴキゲン中飛車に対し、貞升女流初段は4七銀・5八飛・6六銀の形から5筋を反発する。4、5筋でもみ合う展開から貞升女流初段に有望な変化があるも逃し、カロリーナ女流3級が攻め勝った。

岡田美術館杯女流名人戦予選

トピック

20日、カロリーナ・ステチェンスカ女流3級が第44期岡田美術館杯女流名人戦予選に勝ち、(女流1級の昇級規定を満たす)予選決勝進出を果たして女流2級に昇級しました。女流棋士番号は59となり、男女を通じて初の外国人棋士となります。同日に石本さくら女流2級(女流棋士番号57)も同じ規定を満たして女流1級に昇級、この日は今月12日の例会でC1に昇級した藤井奈々研修会員も、資格申請をして女流3級になりました。また、今月は1日付で頼本奈菜女流2級が誕生し、女流棋士番号58を獲得(女流1級昇級規定の戦績が有効で、資格申請によって女流2級スタート)、女流棋界に続々と新しい勢力が加わっています。(飛龍記者)

*写真は、女流名人戦中継ブログ名人戦棋譜速報より引用。

日本将棋連盟モバイル編集局

ライター日本将棋連盟モバイル編集局

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