竜王戦・棋王戦にだけ存在する参加枠。アマチュアがタイトル戦に参加する方法とは?

竜王戦・棋王戦にだけ存在する参加枠。アマチュアがタイトル戦に参加する方法とは?

ライター: 佐藤友康  更新: 2017年01月29日

プロ棋士たちが凌ぎを削るタイトル戦に、あなたも挑戦したいと思いませんか?実は、アマチュアでも参加できる棋戦があります。ということは、勝ち進めればタイトル挑戦も夢じゃない? 今回はそんな、アマチュアでもタイトル戦に出る方法をご紹介します。

華やかなタイトル戦は予選から始まる

名人戦や竜王戦のようなタイトル戦は、タイトル保持者に挑戦者が挑む「挑戦手合い」で行われ、勝者は来期まで「タイトル保持者」として名乗れる、名誉のある棋戦です。タイトル戦は、その棋戦によって形式は違いますが、予選・本戦・挑戦者決定戦・タイトル挑戦と進みます。中継ブログやメディアでの放送で目にするのは、華やかなタイトル挑戦の番勝負や挑戦者決定戦ですが、そのずっと手前の予選には、アマチュアが参加できる枠が用意されているものもあります。予選にできれば、それ以降の条件は他のプロと全く同じですから、勝ち進めばタイトルに挑戦できるチャンスがあるのです。

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アマチュアが参加できる棋戦は竜王戦・棋王戦

七大タイトルのうち、竜王戦と棋王戦はアマチュアの枠が用意されています。竜王戦は5つ、棋王戦は1つと非常に狭き門ですが、逆に言えば毎年必ずこの6枠はアマチュアから参加しているのです。タイトル挑戦・タイトル獲得を夢見ているのであれば、まずはここの予選に参加することを一つの目標にしていきましょう。それでは、予選に参加する場合はどのような形式になるのかをご説明していきます。

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竜王戦は6組からのスタート

竜王戦は、6つの組に分かれてトーナメント形式の予選を行い、各組の上位者によって決勝トーナメントに進むという仕組みです。アマチュア枠は5つありますが、5つとも一番下の6組での参加となります。6組から決勝トーナメントに進めるのは一位だけですから、全勝で勝ち進む必要があります。

竜王戦の決勝トーナメントは変則的で、上位の組ほど勝ち上がりやすく、下位の組ほど勝ち上がりが大変になっています。6組から決勝トーナメントに参加した場合は、さらに5連勝しないと挑戦者決定戦に進めません。

6組で優勝・準優勝の場合は、次期竜王戦には5組で参加できます。これまでの竜王戦参加のアマチュアが5組昇級を果たしたことはありませんが、アマチュアでも勝ち進めれば毎年組を上げていく道も用意されています。プロでは一度負けても各組ごとの昇級者決定戦に出られますが、アマチュアは参加できません。

アマチュアの最高実績は、第4期の天野高志さんで、6組の準決勝まで進みました。あと1勝していれば次期は5組・・・だったのですが、それを阻んだのは2016年の第29期竜王戦挑戦者にもなった、丸山忠久九段です。

棋王戦は予選から

棋王戦は、8つの組に分かれてトーナメント形式の予選を行い、原則的に、各組の予選通過者と予選シード者の計32名によって挑戦者決定トーナメントを行います。棋王戦も、予選を通過できるのは各組1人ですから、挑戦者決定トーナメントへ参加するためには、全勝で勝ち進む必要があります。

アマチュアの最高実績は、第35期の小牧毅さんで、予選の準決勝まで勝ち上がりました。準決勝で、現在A級で活躍中の広瀬章人八段と当たり、敗れてしまいました。

予選に出るまでにも相当の苦労が

竜王戦と棋王戦は予選に参加できるとお伝えしましたが、当然、誰でも参加できるわけではありません。参加するにあたって厳しい条件があります。

竜王戦の参加条件
竜王戦は、アマ竜王戦での上位4名と支部名人がアマチュア枠での参加資格を得ます。アマ竜王戦は、まず都道府県ごとで予選を行い、都道府県の代表56名を選びます。そのメンバーで6月に全国大会を行います。支部名人戦とは、「全国支部将棋対抗戦」の個人戦のことです。将棋連盟の支部会員または個人会員が参加できる大会です。こちらも予選を都道府県ごとに行い、勝ち抜いた代表選手が東西に分かれて大会を行います。東西の個人戦優勝者による決戦を4月から5月にかけて行い、支部名人を決めます。
棋王戦の参加条件
棋王戦は、「アマ名人」だけの参加です。アマ名人戦はアマチュアであればだれでも参加でき、やはり予選を都道府県ごとに行い、勝ち抜いた代表者により全国大会を行います。

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タイトル戦以外の棋戦にも

七大タイトル以外でも、アマチュアの参加できる棋戦がありますので、ご紹介します。

・朝日杯将棋オープン戦
・銀河戦
・新人王戦
・加古川清流戦

特筆すべきは、2015年の加古川清流戦で、なんとアマチュアの稲葉聡さんが優勝しています。プロ公式戦では初の快挙です。稲葉聡さんは、現在A級で活躍中の稲葉陽八段の兄で、これまでも度々プロ棋戦に登場する活躍を見せていました。奨励会に所属していたこともあり、その実力はプロに匹敵するものと言えるでしょう。

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アマチュアの活躍も夢じゃない!

いかがでしたでしょうか。限られたプロだけの世界のように思えても、狭き門ではありますがアマチュアが参加できるものもあります。コンピュータ将棋も発達してきているので、アマチュアでもコンピュータを駆使することで、プロとほぼ同環境と言ってもいいくらいレベルの高い研究ができる環境が整いつつあります。あなたもどんどん棋力を磨いていけば、プロ棋戦への参加、ひいてはタイトル挑戦・獲得も夢ではないかもしれません。

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

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