将棋コラム

長岡五段 VS 上村四段。飛車取りを無視した「▲3五歩」。飯島七段も驚いた、数万局に1局の珍手順とは?【プロの技】

長岡五段 VS 上村四段。飛車取りを無視した「▲3五歩」。飯島七段も驚いた、数万局に1局の珍手順とは?【プロの技】

更新: 2017年01月17日

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11月24日に指された第75期順位戦C級2組7回戦の▲長岡裕也五段-△上村亘四段戦は、珍局であるとともに終盤にドラマがありました。

対局は上村四段の横歩取り3三角戦法に、長岡五段が▲6八玉と上がる手法で対抗しました。佐々木勇気五段が指し始めたことから「勇気流」と呼ぶ人もいます。

中盤の第1図で驚嘆の手順が出ました。先手は▲2四飛△2三歩▲2六飛と飛車を逃げたいのですが、△6四歩で「桂の高跳び、歩のえじき」になります。

第1図は32手目△3三歩まで
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困ったようですが、長岡五段の指した▲4五桂△6二銀▲3五歩! がすごい。飛車を取ってみろ! という、思いもよらない数万局に1局の珍手順といえるでしょう。しかも、▲3五歩に△3四歩と飛車を取ると、▲1一角成で▲8三香や▲2一馬が生じて後手大変です。上村四段が▲3五歩に△2二歩から受けに回ると、長岡五段は3四飛を2四~2六~5六と転換して玉頭を狙いました。▲3五歩は飛車の転換を見た深謀遠慮でした。

飯島七段「普通では▲3五歩の発想は浮かびません。感心しました」

第2図は124手目△3五馬まで
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▲4五桂と桂を打った手に7九にいた馬を3五に引いて5三を受けた第2図は、上村四段の受けが功を奏して後手勝勢です。双方一分将棋が続いて、日付が変わろうとしていました。その中で指された▲3六金が勝負手。△同馬なら▲5三桂成で王手角取りですが、△7一馬や△1七馬と逃げていれば後手勝勢でした。

ところが、実戦は▲3六金に△4五馬▲同金上△8三香▲6二桂成△同玉▲2六角で王手竜取りがかかって急転直下の大逆転。一気に先手勝勢となりました。わずか数手で逆転してしまうところに将棋の怖さがあります。

飯島七段「王手竜取りで勝負ありました。△3五馬では△7八馬と金を取っていても後手の勝ちでしたし、△8三香では△4一玉として▲6二桂成△4五角▲同金△5三銀(参考図)なら、まだ難しい勝負でした。深夜の勝負は何が起こるかわかりませんね」

参考図は△5三銀まで
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飯島栄治

監修飯島栄治七段

棋士・七段
1979年9月東京都生まれ。桜井昇八段門下。2000 年プロ棋士となる。居飛車党で、攻めの棋風。飯島流引き角戦法で第37回升田幸三賞を受賞。 著書に『研究で勝つ!相横歩取りのすべて』『横歩取りハメ手裏定跡』(マイナビ出版)などがある。
君島俊介

ライター君島俊介

2006年6月からネット中継のスタッフとして携わる。2016年現在は順位戦・棋王戦・棋聖戦などで観戦記を執筆。将棋連盟ライブ中継で棋譜中継を楽しむ日々。

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