14歳、藤井聡四段 vs 76歳、加藤九段がいよいよ対局。それぞれの意気込みを聞いてみた(本人コメントあり)

14歳、藤井聡四段 vs 76歳、加藤九段がいよいよ対局。それぞれの意気込みを聞いてみた(本人コメントあり)

ライター: 相崎修司  更新: 2016年12月23日

12月24日(土)に第30期竜王戦ランキング戦6組で藤井聡太四段(14歳)と加藤一二三九段(76歳)の対局が行われます。藤井四段は、14歳2ヶ月での四段昇段を決め、史上最年少棋士。一方の加藤九段は、現役最高齢棋士で、藤井四段に破られるまで史上最年少棋士の記録(14歳7ヶ月)を保持していました。二人の年齢差は、62歳で注目の対局です。両対局者に、今回の対局や対戦相手について事前取材をしました。

加藤九段「藤井四段と似たようなタイプとして、二上達也さん、内藤國雄さん、谷川さんの顔が浮かびました」

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 ――加藤九段の最年少四段昇段記録を、62年ぶりに更新したのが、藤井新四段です。藤井新四段のデビュー戦が、なんと加藤九段との一戦になりました。

「ええ、新しい中学生棋士が誕生して、私も取材を受けました。その中で『記録を更新されて悔しくないですか?』と聞かれることがありますが、そういう気持ちは全くありません。新しいプロ棋士の誕生はめでたい話ですし、それが史上最年少棋士ともなれば、なおさらです。これからの将棋界を担う素晴らしい人材が現れたのは、実に喜ばしいことだと思います

 ――中学生棋士と戦うということに関して、いかがでしょうか。

「これまで、私と藤井さんの他に、谷川浩司さん、羽生善治さん、渡辺明さんという3名の中学生棋士がいまして、皆さんと対局しました。谷川さんとの初対局はあちらのデビュー戦、渡辺さんとの初手合いも、彼がデビューしてからまだ1年に満たない頃だったので、まだ負けるわけにはいかないな、と。将棋はどちらも私が勝ちました」

 ――羽生三冠との初手合いは?

「これは羽生さんの▲5二銀という一着が有名なNHK杯戦の一局でして、当時の羽生さんはタイトル獲得こそまだですが、既に多くの実績を挙げていたので、強敵という意識がありました」

 ――藤井新四段の印象を教えてください。

加藤「詰将棋を解くのが速く、詰将棋作家としても有名と聞いています。似たようなタイプとして、二上達也さん、内藤國雄さん、谷川さんの顔が浮かびました。そのことから考えても、寄せが速く、正確な読みを武器としていると想像できます」

 ――今回の対戦に関してですが、これで加藤九段は19世紀生まれの棋士、20世紀生まれの棋士、21世紀生まれの棋士と公式戦で戦うという空前絶後の偉業を達成します。

「私が戦った19世紀生まれの棋士は村上真一八段と野村慶虎七段の2名ですが、初の中学生棋士誕生も含めて、当時はほとんどマスコミに報道されなかったと記憶しています。今回、このような大記録を達成できたのは、健康な体で現役を長く続けられたからに他なりません。実にありがたいことだと思っています。そして藤井さんとの対戦が実現したことは話題となって、多くのマスコミが来るとも聞いています」

 ――あらためて、対戦への意気込みをお願いします。

藤井さんは矢倉が得意と聞いているので、相矢倉になるとみています。その中で、お互いの新研究が出るのではないでしょうか。竜王戦という大きな舞台で、注目を集める一局を指せるのは実にありがたく、全力を尽くしたいと思います」

 ――どうもありがとうございました。

藤井四段「本当に偉大な先生という印象です」

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 ――藤井四段のデビュー戦は、現役最年長の大豪、加藤九段です。加藤九段についてどのような印象をお持ちでしょうか。

「名人などのタイトルを獲られた実績もさることながら、76歳になられた今も将棋への情熱を強く持ち続けていらっしゃる、本当に偉大な先生という印象です」

 ――藤井四段が、棋士・加藤一二三の存在を初めて知ったのは、いつで、どのような状況においてだったのでしょうか。

「小学生低学年の時に、『将棋世界』を読み始めてからだと思います」

 ――デビュー戦が、加藤九段に決まった時の気持ちを教えてください。また、デビュー戦へ臨む意気込みもお願いします。

「偉大な先輩である加藤九段とデビュー戦で対局できるのは光栄です。最善を尽くして、いい将棋を指したいです」

 ――どうもありがとうございました。

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2024年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、棋王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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