佐藤名人 VS 佐々木五段。ついに出揃ったベスト4、棋王戦挑戦者決定トーナメントの展望を読み解く(佐々木五段のコメントあり)

佐藤名人 VS 佐々木五段。ついに出揃ったベスト4、棋王戦挑戦者決定トーナメントの展望を読み解く(佐々木五段のコメントあり)

ライター: 渡部壮大  更新: 2016年11月23日

佐藤天彦名人―佐々木勇気五段戦は11月25日に行われる。佐藤天彦名人は前期の挑戦者。1勝3敗で敗れたものの、内容は大接戦。第4局は名局賞も受賞した。第1図は投了図だが、大激戦の跡がうかがえる。

【第1図は125手目▲8五同桂まで】

棋王戦で敗れたが、3度目のタイトル戦登場となった今期の名人戦は4勝1敗で初のタイトル獲得。次は二冠を、という思いはあるだろう。王座戦では挑戦者決定戦で敗れており、初防衛戦前の挑戦へ最後のチャンスだ。

俊英が名人に挑戦

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佐々木勇気五段は初のベスト4。今期は予選からの勝ち上がりで、挑戦者決定トーナメントに入って羽生善治三冠、深浦康市九段、阿部健治郎七段を下した。10月末時点での今期勝率は8割を超える。好調の要因を聞いてみると「来年には永瀬さんは何かしらタイトル取っているだろうなと思い日々過ごしています。正直しんどいので、もう少し違うことでも考えて過ごした方がいいですかね」と返ってきた。ライバルの永瀬拓矢六段の活躍(今期棋聖戦で初のタイトル戦登場)に刺激を受けているようだ。

羽生との初手合となったのが今期棋王戦での対局。印象に残った局面を尋ねると第2図を挙げた。

【第2図は62手目△6五桂まで】

手が広く悩みそうな局面だ。以下▲3五歩△7七桂成▲同桂△5五飛▲5六桂△3五角▲1五香△同香▲3三歩と攻め、先手が押し切った。

羽生三冠と盤を挟んだ記憶が薄れないうちにまた特別対局室に戻ってきたいです

ライバルを意識

佐々木に次の佐藤天彦名人戦、そして今期棋王戦への抱負を聞いた。

「佐藤名人の将棋を研究するだけでも 力になると思いますし、いいところを吸収したいです。3年前の永瀬さんが勝ち上がった(挑戦者決定2番勝負)ところまでたどり着けるかどうか。自分の中での目標にしています」

ここでも永瀬六段の名前が挙がった。幼いころからのライバルへの対抗心を隠そうとしない。永瀬六段に続くタイトル戦出場はなるか。

棋王戦の永世称号獲得条件は連続5期のみと、非常にハードルが高い。これまでのところ、資格保持者は羽生善治三冠(12連覇)のみだ。渡辺明棋王は現在4連覇中で、今期は2人目の永世棋王が懸かる。ここで負けるとまた0からのやり直しとなるので、永世棋王へは非常に重要な五番勝負となる。その一戦へ挑戦者として名乗りを挙げるのは誰になるか。目が離せない。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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