初段がすすめる、将棋ウォーズでもっと勝ちたいあなたが読むべき5冊!

初段がすすめる、将棋ウォーズでもっと勝ちたいあなたが読むべき5冊!

ライター: 直江雨続  更新: 2016年09月14日

もっと将棋が強くなりたい人、駒落ちでの指導対局に勝ちたい人、将棋の戦法に詳しくなりたい人、中盤でどう指せばいいかわからなくなってしまう人。

そうです。このページを見ているあなたです。

そろそろ将棋初心者は卒業したけど、初段になるのはまだまだ先かな、と思っているあなた。プロが指す手の意味がわかれば、きっともっと楽しいんだろうな、と思いながら中継ブログのおやつの写真を見ているあなた。ライバルに勝ちたいあなた。

そんなあなたにおすすめのいい本がありますよ!

楽しく読める! 振り飛車の序盤戦術がわかる!

◆将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編 上野裕和

この本は、将棋を指すのが好きでプロと同じような最新の序盤を自分でもやってみたい方は必読の一冊。そして、「将棋は指さないけど、見るのは好き」という観る将棋ファンにもおすすめなんです。

「最新の序盤戦術をある程度理解して、プロの将棋をより深く楽しんでいただく」ためにと、著者の上野裕和五段が様々な工夫をしてこの本を書いています。 

さぁ、この本を読んで、プロの序盤の面白さを知りましょう。まずはアマチュアにも人気の高い振り飛車編です。

第1部ではこの本を理解するための序盤の基礎知識を解説しています。
居飛車と振り飛車の基本的な考え方、囲いの種類など、10級くらいの棋力の方が読んでも「これならわかる!」という親切設計。

第2部では、居飛車対振り飛車の歴史を振り返っています。
ここ30年で「振り飛車対居飛車」がどんな戦いをしてきたか。有名棋士が多数登場し、まるで歴史小説のように楽しく読むことができます。時代とともに変わっていく棋士の意識やIT技術の向上が将棋界にもたらした影響により、古い考え方や思い込みが駆逐され、新しい考え方によって序盤が進化していく...。私はこの第2部が特に好きで、引き込まれるように一気に読んでしまいました。

第3部では現在流行している振り飛車の各戦法を紹介しています。
『ゴキゲン中飛車』、『石田流』、『先手中飛車』、『角交換四間飛車』
について、それぞれの戦法の歴史、そして今まさにプロの間で指されている最新形がわかります。

この本を読むと将棋のネット中継をさらに深く理解できるようになります。理解できると、どんどん面白くなってきます。実際にプロが指す序盤戦術の意味やその一手の背景までわかれば、棋力アップにもつながることは疑いありません。

画期的な棋書! 居飛車5大戦法がこの一冊でわかる!

◆将棋・序盤完全ガイド 相居飛車編 上野裕和

この本は先に紹介した『将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編』の続刊となっています。

ぜひこの本も読んでください。なぜなら今のタイトル戦では相居飛車の将棋が指されることが圧倒的に多いため、居飛車の戦法を理解することで、中継をさらに楽しく見ることができるようになるからです。

観る将棋ファンには観戦のお供に、指す将棋ファンには戦法の基本を覚えるために、この本はとても役立ちます!

この本も対となる「振り飛車編」と同様に三部構成となっています。第1部では相居飛車の序盤の基礎知識や、相居飛車を理解する上でのポイントを解説しています。

第2部では相居飛車の歴史を紹介しています。
昭和50年代から現代に至るまでの相居飛車の歴史は、物語としても非常に面白く、夢中で読み進めることができます。観る将棋ファンとしての基礎知識の根幹がこの本を読むだけで身につきます。

第3部では相居飛車の5大戦法を解説しています。
5大戦法とは『矢倉』『角換わり』『一手損角換わり』『相掛かり』『横歩取り』です。タイトル戦でも頻繁に登場する相居飛車のこれらの戦法の序盤戦術が、それぞれの歴史と、最新形についてわかりやすく紹介されており、気になる戦法がある人ならここだけ読んでも十分役に立ちます。

これが、さばき! 駒を上手に使うためのトレーニング!

◆将棋・ひと目のさばき 

初心者と有段者の将棋の違いって何でしょう?

いろいろいな意見があると思いますが、『駒を上手に使えるか』が大きなポイントになってくると思います。

大事な戦力である自分の駒を上手に働かせて戦うために、この本で勉強してはいかがでしょうか。この本は次の一手形式の問題が200問収録されています。

本を開くと左側の1ページに問題が1問載っていて、次のページの右側に答えと解説が書いてあります。問題を見て、どう指すかを考えて、ページをめくって答えを確認。

おすすめは、ちょっと考えてわからないときはもう、答えを見てしまうこと。そうしてどんどん進んでいき、200問全部終わったらまた最初の問題から解いていく。繰り返し問題を解いていくと、さばきのテクニックが身につきますよ。

第1章は「基本のさばき」が64問。
駒を上手に使うための基本の手筋が満載です。

第2章以降は戦型別のさばき。
『石田流』『ゴキゲン中飛車』『四間飛車対急戦』『矢倉』という、人気戦法の定跡形、もしくはその類似系からの出題です。戦法独特のさばき方が身につく良問ばかり。
自分の得意戦法がある方は、まずはそこから問題を解いてもいいかもしれません。

序盤戦や中盤戦でどうしても自分の駒が戦いに取り残されたり、押さえ込まれたりするという悩みを抱えている方は多いと思います。この本で軽いさばきを身につけて、悩みも解消しちゃいましょう。

指導対局はデート! 憧れの棋士と駒落ちで戦うために

◆駒落ちのはなし 先崎学

将棋というゲームは運の要素が少なく、実力差があればほとんど強いほうが勝ちます。

でも、それじゃ負けてばかりの側は面白くありませんよね。そこで駒落ち、すなわち、強いほうがハンディキャップをつけるために、駒を落とす(最初から駒が少ない状態で対局する)ことで、勝敗のバランスを取ることになります。プロ棋士に指導対局をお願いすると、基本的には駒落ちでの対局となります。

私はプロ棋士の指導対局を受けるのが大好きで、そのため自分で指す時はほとんどが駒落ちの将棋なんです。「好きな棋士がいるから」という理由で将棋に興味を持ったという人は多いと思います。

いつかは憧れのあの棋士の指導対局を受けてみたい。

そのために将棋のルールは覚えたけれども、駒落ちってなにをどうしたらいいの?そんなあなたにこの一冊。もちろん、すでにたくさん指導対局経験があるけど、なかなか六枚落ちを卒業できないという方にも本書はおすすめです。

この本では初心者が最初に経験するであろう八枚落ちでの指し方から始まり、六枚落ち、四枚落ち、二枚落ちの有力な定跡を先崎九段が軽妙な語り口で解説してくれます。この本を読んで覚えた定跡で、ぜひプロ棋士に挑んでみてください!

憧れの棋士に駒落ちで勝利し、一生懸命考えて指した手を褒めてもらえた時の喜びは、何ものにも勝るほどの幸福感を与えてくれるものです。

なお、本書のもう一つのターゲットは、将棋を教える側の人です。つまり、駒を落として上手(うわて)を持って指す時の心構えについても、とても参考になると思います。

先崎九段は本書で言います。

もし、あなたの身近な人が、今から将棋を覚えたい、もしくは駒の動かし方を知って指してみたいと言い出したらどうするだろうか。決していけないのは、その時いきなり平手で指してこっぱみじんにしてしまうことである。相手が女性ならばこれはもう犯罪と言ってもいい。しかも勝った後「もっと勉強して出直して来な」などという輩は死刑をもって処されるであろう。

入門者にとって辛い世界はいずれ衰退していきます。

本書を読んで、初心者は上達を、強い人は将棋ファンをひとりでも増やすことを目的に、これから駒落ち将棋を楽しんでいこうではありませんか。

強くなるには3手詰 それは絶対の真理

◆【新版】3手詰ハンドブック 浦野真彦

「どうしたら将棋が強くなりますか?」

プロ棋士にその質問を投げると「詰将棋を毎日解くといいよ」という答えが返ってきます。そもそもプロ棋士だってみんな毎日詰将棋を解いて、トレーニングしているんです。中級者が初段を目指すためにも、詰将棋は避けて通れません。では、どんな詰将棋の本がおすすめなのでしょうか?迷ったなら人気があってたくさん売れているこの本を買いましょう!浦野真彦八段のハンドブックシリーズは詰将棋本の定番的存在のロングセラーです。

特にこの『【新版】3手詰ハンドブック』では実戦で現れやすい詰みの形が200題収録されています。この本に出てくる詰将棋を全部覚えてしまえば、実際の対局の時に相手の王様を詰ます時の形がほとんど網羅できているはずです。「あ、この詰まし方、3手詰ハンドブックで見たことある!」なんてことが、実戦でも頻繁に出てくることでしょう。

浦野八段もまえがきでこう書いています。

詰将棋はもちろん、実戦で玉を詰まそうと思ったら、玉をつかまえるコツである詰手筋を知る必要があります。「逃げ道に捨てよ」や「危険地帯に誘え」など、基本的な詰手筋のほとんどは、3手一組、つまり3手詰だと言っても過言ではありません。それより長い5手、7手の詰みは、その多くが3手詰の組み合わせ。まずは数多くの3手詰に取り組み、詰手筋をマスターすることが、終盤力アップにつながるのです。

浦野先生のこの言葉を信じて、無理に長い詰将棋を解くのではなく、3手詰をたくさん解くという練習方法をやってみてください。すると、いつの間にか5手詰や7手詰も、こんなふうに詰ますのかな?という読みができるようになってきますよ!

いかがでしょうか。

あなたが読んでみたくなる本はこの中にありましたか?どんな目的のために将棋が強くなりたいかによって、自ずと手に取る本も変わってくるでしょう。

  • プロの将棋をもっと楽しみたいから?
  • ライバルに勝ちたいから?
  • 憧れの先生と指導対局したいから?
  • 終盤力を鍛えたいから?

どれも素敵な目的です。そして将棋が強くなることで、将棋には無限の楽しみ方があるということも分かってくるはずです。「指すのが好きだったけど、プロの将棋を観るのも楽しくなってきた」とか。「観る将だったけど、指導対局を受けてみたらすごく面白かった」とか。将棋の楽しみ方は人それぞれ。でも、せっかくなら欲張ってあれこれ試してみてはいかが?

今回紹介した本があなたの将棋をさらに楽しくしてくれる素敵なガイドブックになりますように。

直江雨続

ライター直江雨続

フォトグラファー/ライター。
2007年ごろよりカメラを片手に将棋イベントに参加してきた『撮る将棋ファン』。
この10年間で撮った棋士の写真は20万枚以上。
将棋を楽しみ、棋士を応援し、将棋ファンの輪を広げることが何よりの喜び。
『将棋対局 ~女流棋士の知と美~』や女子アマ団体戦『ショウギナデシコ』で公式カメラマンを務める。

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