フルセットの激闘、藤井が制し棋王防衛 ~棋王戦コナミグループ杯振り返り~

 藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦した第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負。前期タイトル戦初登場だった増田は2年連続の挑戦だ。

第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局

 第1局は愛媛県松山市「道後温泉ふなや」にて。後手の増田は角道を開けず、相掛かりとなり中盤の長い将棋へ。

【第1図は▲5六金まで】

 駒得に成功した後手が抜け出すチャンスを迎えた。△1七桂成が軽手。先手陣はスカスカなため飛車は渡せないが、▲同飛は△2八角成だ。実戦は▲1七同桂に△3七角成で角を逃げながら馬にすることに成功。以下▲2五歩△4四飛▲4五歩△3四飛▲3五銀に△同飛▲同歩△7六歩と決めにいった。後手はこの瞬間安全なため、このままラッシュを掛けて寄せ切っている。前期は3連敗だった増田がタイトル戦初白星をあげた。


写真:翔

第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第2局

 第2局は石川県金沢市「北國新聞会館」にて。矢倉の出だしから、互いに中住まいに構えてバランスを取る将棋に。軽快にポイントをあげた増田がペースをつかむが、藤井も簡単には崩れない。

【第2図は▲6六同歩まで】

 後手玉は孤立しているが、広く寄せにくい。△6四桂▲6七銀△4四桂▲4五銀打△5五玉が力強い受け。以下▲5六銀上△同桂右▲同銀△同桂▲6七桂△6四玉▲5六飛と攻めるが、△4四金が味良く後手玉は寄らない。以下は反撃に移って素早く寄せ切った。受けの妙技を見せた藤井が1勝1敗に追い付く。


写真:胡桃

第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局

 第3局は新潟県新潟市「新潟グランドホテル」にて。角換わりから後手の増田が意欲的な作戦を見せるが、藤井がうまく対応して徐々にペースをつかんでいき、そのまま終盤戦に入った。

【第3図は△4二同玉まで】

 実戦はここで▲2二角△3二金▲3四桂△5二玉▲7四桂と迫ったが、この手が詰めろにならない。以下△8七歩成▲同金△8九銀▲9七玉△8六銀▲同金△7七香成から、増田が正確に寄せ切った。図では▲3四桂△同金▲2二角と迫れば、後手玉は受けが難しかったようだ。藤井が珍しい逆転負けで、増田が2勝1敗と初タイトルに迫る。


写真:銀杏

第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局

 第4局は栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」にて。相掛かりから先後同型の中住まいになり、互いに自陣角を放って戦いが始まる。

【第4図は▲6四角打まで】

 難解な戦いが続いていたが、少し前に藤井が抜け出している。受け方が色々あって悩ましいが、△4一金が落ち着いた対応。▲7三角成△同金▲同角成に△8五角が切り返し。▲6七桂△8九竜▲8六歩と粘りに出るが、△7七歩成▲8五歩に△4五桂が詰めろ逃れの詰めろでピッタリ。先手の持駒は豊富だが、わずかに届かない。藤井がカド番をしのいで決着は最終局へもつれ込んだ。


写真:玉響

第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第5局

 第5局は鳥取県鳥取市「有隣荘」にて。振り駒で先手となったのは藤井。増田は端の駆け引きを入れてから一手損角換わりを選び、藤井は早繰り銀で攻めを目指す。増田は9筋から反撃したものの、藤井が落ち着いた対応からペースをつかんだ。

【第5図は△8四歩まで】

 後手は桂を捕獲することができたが、この瞬間は駒が渋滞している。▲3四歩△2二銀▲2四銀が確実な前進。8筋で使ったため、2三に受ける歩がない。△8五歩と開き直るが、▲3三歩成△同桂▲3四歩で先手の攻めの方が厳しいのは明らかだ。この後も着実に差を広げて先手快勝。藤井が3勝2敗で防衛を果たした。


写真:武蔵

 一時期はこの棋王戦だけでなく、王将戦でも1勝3敗と追い詰められていた藤井。失冠の危機にあったが、怒涛の5連勝で六冠を死守した。棋王は4連覇で、来期の防衛戦は永世棋王の掛かったシリーズとなる。増田は藤井を追い詰め、1年前からの成長を見せたが惜しくも届かなかった。

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