福間香奈女流王座に西山朋佳女流二冠が挑戦したリコー杯第15期女流王座戦五番勝負。両者が女流王座戦五番勝負で顔を合わせるのは2年連続5回目だ。
リコー杯第15期女流王座戦五番勝負第1局
第1局は東京都文京区「ホテル椿山荘東京」にて。白玲戦七番勝負が決着した直後の開幕となった。福間が先手で相振り飛車から難しい戦いが続いたが、うまく先手が手をつないでリードを奪った。
【第1図は△8六銀まで】
後手は上部を厚くし、入玉含みの粘りを見せている。先手は大駒をすべて手にしているが、歩がないため寄せ切れないともつれる可能性がある。7七の桂が生きているうちに寄せる▲7五桂が鋭い。△同歩に▲6五角で、△9四玉には▲8一竜があり、△7四銀は▲同角から再度の▲6五角で下段に押し返すことができる。実戦は△7四桂に▲7五歩△同銀▲8二歩△7六歩▲8一歩成で、と金を作って金駒をはがしにいく形を得た。以下は包囲網を確実に築き、後手玉を寄せ切った。まずは福間が開幕戦を制する。
写真:牛蒡
リコー杯第15期女流王座戦五番勝負第2局
第2局は福島県郡山市「郡山ビューホテルアネックス」にて。相振り飛車から早い段階で駒がぶつかる、類型の少ない戦いになった。序盤の応酬でポイントを稼いだ後手がペースをつかむ。
【第2図は▲7四歩まで】
先手が後手の玉頭に嫌みをつけて、アヤを求めている。△6四銀が手堅い応手。▲7三歩成は△同桂で、▲7六飛には△8七飛成がある。実戦は▲8五飛△7四飛▲3六歩△8四歩▲同飛△同飛▲同角△7八飛と進んだ。先手の角を中途半端な位置に追いやり、より得をする形での飛車交換に成功。以下▲2五飛△3一金▲1五飛に△5五角と出て、大駒の働きに差が付いて後手優勢だ。この後も手堅く押し切り、福間が2連勝とした。
写真:八雲
リコー杯第15期女流王座戦五番勝負第3局
第3局は山形県天童市「天童ホテル」にて。福間の先手中飛車に、西山は意表の居飛車で対抗。後手は飛車先交換でポイントをあげて、珍しい展開となった。
【第3図は△3七桂成まで】
大きな駒損になった後手が何とか食い付こうとしている。しかし▲3八香が落ち着いた受けで届かない。△2八銀▲1八玉△3八成桂で打った香は取られるものの、この瞬間が詰めろにならないため、▲4二桂成△同銀▲3四桂と迫って先手の一手勝ちだ。以下は△3七銀成に▲2一角まで後手投了。福間が3連勝で防衛を果たした。
写真:胡桃
福間はライバル対決を2年連続のストレート勝ちで防衛。5連覇、通算9期目の女流王座獲得となった。女流六冠を堅持し、さらにタイトル獲得数を伸ばしている。