福間がダブル防衛 11月下旬の注目対局を格言で振り返る

 福間香奈女流六冠が倉敷藤花、女流王座と立て続けに防衛に成功。六冠を堅持しました。そして羽生善治九段は史上初の1600勝を達成しています。

リコー杯第15期女流王座戦五番勝負第3局

【第1図は△5六桂まで】

 第1図はリコー杯第15期女流王座戦五番勝負第3局(▲福間香奈女流王座△西山朋佳女流二冠)。挑戦者が意表の居飛車を採用した本局。先手優勢の終盤戦で、どう決めるか。▲4六桂が「桂は控えて打て」の厳しい攻め。分かっていても次の▲3四桂が受けにくく、後手は攻め合うしかありません。△4八桂成▲同金△5七香成▲同金△4五桂と勝負手を繰り出しますが、▲3四桂から先手が一手勝ちを収めました。これで福間女流王座は3連勝とし、女流王座防衛を果たしました。


写真:胡桃

大山名人杯第33期倉敷藤花戦三番勝負第3局

【第2図は△8三金まで】

 第2図は大山名人杯第33期倉敷藤花戦三番勝負第3局(▲福間香奈倉敷藤花△伊藤沙恵女流四段)。攻め合いに入った中盤戦で、どこに目を向けるかという局面。▲5九飛が「飛車は十字に使え」で、8筋への転換を目指した好着想。△8七歩成▲同金△4六歩としましたが、▲2七歩△2二飛▲4六角△2四角▲7六金で、▲8九飛から▲8四歩が受けにくい形になりました。実戦もその順を実現させて先手の快勝。福間倉敷藤花が2勝1敗で防衛を果たしています。


写真:翔

第46回将棋日本シリーズJTプロ公式戦決勝

【第3図は▲5九角まで】

 第3図は第46回将棋日本シリーズJTプロ公式戦決勝(▲永瀬拓矢九段△藤井聡太竜王・名人)。先手が攻勢を取っていますが、後手も持ち歩が多く主張があります。どう3筋を処置するかですが、△3五歩が「大駒は近付けて受けよ」の好手。▲同飛なら△4四金とかわす受けが利きます。実戦は▲4三銀不成△同銀▲4四歩△同銀▲4三金と絡みましたが、△5三銀右と引き付ける味が良く後手良しがはっきりしてきました。以下は手堅く押し切って、藤井竜王名人が3回目の優勝を果たしています。


写真:牛蒡

ALSOK杯第75期王将戦挑戦者決定リーグ

【第4図は△2七歩成まで】

 第4図はALSOK杯第75期王将戦挑戦者決定リーグ(▲永瀬拓矢九段△菅井竜也八段)。先手が勝ちへと近付いている終盤戦。▲8五桂△8二玉▲6二金が「寄せは俗手で」の確実な寄せ。△同金は▲同竜が一間竜の形になります。実戦は△8四角と受けましたが、▲7二金△同玉で薄くし、▲1一成銀と香を拾った手が▲7三香を狙い、好調な寄せを続けて先手が押し切りました。勝った永瀬九段は5連勝で挑戦権獲得。続く最終戦も勝ち、全勝で2年連続の王将戦七番勝負登場です。


写真:八雲

第19回朝日杯将棋オープン戦二次予選

【第5図は▲6七角まで】

 第5図は第19回朝日杯将棋オープン戦二次予選(▲千田翔太八段△羽生善治九段)。後手が堅陣を生かして攻め掛かり、先手は自陣角で耐えようとしています。じっと△5三銀が「遊び駒は活用せよ」の好手。▲3四歩に△4四銀▲3三歩成△同銀引で、桂は取られましたが堅さをキープし、飛車の可動域も広がりました。以下▲5九金に△5六歩▲同角△5二飛から、攻め続けた後手が制しています。勝った羽生九段は本戦進出を決めるとともに、通算1600勝目となりました。


写真:常盤秀樹

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