王位戦七番勝負は藤井聡太王位が4勝2敗で防衛。6連覇で、渡辺明九段と並ぶ通算31期目のタイトル獲得となりました。また、女流棋界では中七海女流三段がタイトル戦初登場を決めています。
伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦七番勝負第6局
【第1図は△6三銀まで】
第1図は伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦七番勝負第6局(▲藤井聡太王位△永瀬拓矢九段)。▲5五歩に対し、後手が△6三銀と埋めたところです。次に△5四歩▲同歩△同銀と反発されると、5筋に掛けた2手を逆用されてしまいます。▲5六銀が「位を取ったら位の確保」で、これなら△5四歩から5筋を交換されても、▲5五歩で位を維持できます。以下も熱戦が続きましたが、最後は藤井王位が終盤で競り勝ち、防衛を果たしました。
写真:文
ヒューリック杯第5期白玲戦七番勝負第2局
【第2図は△3八銀まで】
第2図はヒューリック杯第5期白玲戦七番勝負第2局(▲福間香奈女流六冠△西山朋佳白玲)。いよいよ終盤戦に入る局面です。飛車を逃げずに▲3三と△4九銀不成▲4五馬が「終盤は駒の損得より速度」の踏み込み。以下△3三金に▲7二馬△同玉▲5五桂と、駒損をいとわずに後手玉へ迫っていきます。結果的にはこの攻めで先手が流れを引き寄せて、攻め合いを制しました。これで七番勝負は1勝1敗です。
写真:飛龍
リコー杯第15期女流王座戦挑戦者決定戦
【第3図は▲6七同金まで】
第3図はリコー杯第15期女流王座戦挑戦者決定戦(▲中七海女流三段△西山朋佳女流二冠)。先手が押している将棋でしたが、後手も食いついて混戦になりつつあります。△1二角が「遠見の角に好手あり」でした。先手玉が角のラインに入っているため「角筋は受けにくし」でもあります。次に△5七とがあるため▲6八金打と埋めましたが、△3四角右で後手の大駒も働いてきました。勢いある攻めで逆転勝ちを収めて、西山女流二冠が挑戦者になっています。
写真:八雲
霧島酒造杯第47期女流王将戦挑戦者決定戦
【第4図は▲5五角まで】
第4図は霧島酒造杯第47期女流王将戦挑戦者決定戦(▲福間香奈女流六冠△中七海女流三段)。中盤戦ですが、△5二飛▲8八角△5六飛が「飛車は十字に使え」の軽快な動き。次に△3五歩からの飛車交換と、△7六飛の揺さぶりを見せて後手ペースの戦いになりました。以下は▲6六歩△3五歩▲4七銀上△5五飛と落ち着いた指し手を重ねて、後手が確実にリードを拡大していき、快勝となりました。中女流三段はデビューから一年で、早速のタイトル戦登場です。
第84期順位戦A級
【第5図は▲5七同金直まで】
第5図は第84期順位戦A級(▲中村太地八段△近藤誠也八段)。手厚く攻めて、後手が勝利に近付いています。△5九銀が「要の金を狙え」の寄せの基本。7七の地点が薄くなるので、金はかわせません。実戦は▲5八金引に△6八銀成▲同金△5七銀が決め手で、先手玉を寄せ切りました。A級初年度の近藤八段が3連勝と好スタートを切っています。
写真:睡蓮