福間、清麗防衛で六冠堅持 ~清麗戦振り返り~

 福間香奈清麗に渡部愛女流四段が挑戦した大成建設杯第7期清麗戦五番勝負。渡部は2021年の第1期白玲戦以来のタイトル戦登場だ。

大成建設杯第7期清麗戦挑戦者決定戦

 挑戦者決定戦は渡部と加藤桃子女流四段の顔合わせに。相掛かりから先手の攻めに、後手も反撃して手を作っていった。

【第1図は▲6五歩まで】

 ここで△2三角が狙いすました遠見の角。先手陣の急所に利かしている。以下も戦いが続いたが、この角の利きを生かして先手玉を寄せ切った。
 清麗戦は第1期から予選を全勝した棋士が挑戦者になれないジンクスが続いているが、今期も再挑戦トーナメントからの勝ち上がりである渡部が全勝の加藤を破り、挑戦者となった。


写真:琵琶

大成建設杯第7期清麗戦五番勝負第1局

 第1局は東京都千代田区「ホテルニューオータニ」にて。後手の福間が端の位を取って四間飛車に。対する渡部はバランス型の中住まいに構えた。

【第2図は▲7三金まで】

 先手も必死に食い下がっているが、ここで△5七香が決め手となった。▲同玉と取るくらいだが、そこで△7三角と手を戻す。玉を5七に呼んだ効果で、▲同桂成なら△6五桂から先手玉が詰む。とは言え取り返せないようでは勝負ありで、福間が開幕戦を制した。


写真:文

大成建設杯第7期清麗戦五番勝負第2局

 第2局は福岡県福岡市「ホテルオークラ福岡」にて。福間の先手中飛車に、渡部は急戦で対抗する。玉頭戦でうまく駒をさばいて切り込んだ福間が勝勢を築いた。

【第3図は△1六歩まで】

 1筋を取り込まれたところだが、▲1三歩が返し技。△同飛なら▲3二銀が入る。実戦は△同桂としたが、▲3三金△2四玉▲1四金まで後手投了。以下は△同玉▲1六香から即詰みだ。福間が快勝で2連勝とした。


写真:飛龍

大成建設杯第7期清麗戦五番勝負第3局

 第3局は神奈川県箱根町「山のホテル」にて。福間のゴキゲン中飛車に渡部は左美濃から持久戦を目指した。中盤のさばき合いで福間がリードを奪うが、渡部も陣形差を生かして勝負に出る。

【第4図は▲3一飛まで】

 この▲3一飛では▲3二飛の方が先手としてはまさったようだ。ここで△5八銀が厳しい攻めで、持駒の乏しい先手は受けにくい。▲6八金引には△6七歩があるし、このまま金を取らせては△5七馬の開き王手の筋がある。▲3九歩△2八飛成▲5六金の勝負手をひねり出したが、△6七銀成が落ち着いた対応で、やはり後手優勢は揺るがない。以下も先手の反撃を見切って、福間が寄せ切っている。


写真:玉響

 福間は3連勝で防衛を果たし、通算6期目の清麗獲得。タイトル通算獲得を65期とし、六冠を堅持して次の白玲戦七番勝負で女流七冠を目指すこととなった。

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