7月上旬の注目対局を格言で振り返る

 二日制では3タイトル連続で藤井─永瀬戦となりましたが、今回はどのような結果になるでしょうか。王座戦では伊藤匠叡王が、白玲戦では福間香奈女流六冠が挑戦権を獲得し、どちらもゴールデンカードになりました。

伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦七番勝負第1局

【第1図は△6七歩成まで】

 第1図は伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦七番勝負第1局(▲藤井聡太王位△永瀬拓矢九段)。開幕戦から千日手となった本局。△6七歩成は「金は斜めに誘え」の手筋で、▲同金なら△8六歩が詰めろで入り、後手好調の攻めが続きます。▲4一角が「終盤は駒の損得より速度」の踏み込み。△4二金打にも▲2三角成△同玉▲2五歩と金取りを無視して踏み込み、際どい終盤戦に持ち込みました。


写真:八雲

大成建設杯第7期清麗戦五番勝負第1局

【第2図は▲6五桂まで】

 第2図は大成建設杯第7期清麗戦五番勝負第1局(▲渡部愛女流四段△福間香奈清麗)。白熱の終盤戦で、▲6五桂と王手を掛けたところ。後手は選択肢が広いところですが、△8四玉が「中段玉寄せにくし」で正解です。以下▲8一飛△8三歩▲8五歩△9四玉で、後手玉は寄りません。▲7三金としがみついたものの、△5七香▲同玉△7三角(▲同桂成は△6五桂以下詰み)と切り返し、後手勝勢がはっきりしました。


写真:文

第73期王座戦挑戦者決定戦

【第3図は▲7六金まで】

 第3図は第73期王座戦挑戦者決定戦(▲羽生善治九段△伊藤匠叡王)。激しい進行ですが、直前まで前例のあった戦いです。後手は△8四銀と決めました。▲7四玉なら△6五桂で、先手は受けの難しい形です。▲8六玉と下がりましたが、「玉は下段に落とせ」で、とりあえず入玉を防ぐことに成功しました。以下△6五銀とぶつけて激しい展開が続きましたが、伊藤叡王が抜け出して王座戦では初挑戦を決めました。


写真:牛蒡

ヒューリック杯第5期女流順位戦A級9回戦

【第4図は△4三銀まで】

 第4図はヒューリック杯第5期女流順位戦A級9回戦(▲福間香奈女流六冠△加藤桃子女流四段)。7勝1敗同士の直接対決です。ここで▲4四桂と直接王手をするのはかわされて効果が薄いです。▲2六桂が「桂は控えて打て」の好打。次の▲3四桂打が厳しく、△3三金と受けましたが、▲5四歩△同歩▲6八飛△同歩成▲5三角と、薄くなった側面から攻めて手が続きます。以下は先手が押し切りました。同じく7勝1敗だった鈴木環那女流三段が敗れたため、1敗を守った福間女流六冠が連続挑戦を決めました。


写真:夏芽

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