西山朋佳女王に福間香奈女流五冠が挑戦した第18期マイナビ女子オープン五番勝負。
第18期マイナビ女子オープン五番勝負第1局
第1局は神奈川県秦野市「元湯 陣屋」にて。相振り飛車模様の出だしから、先手の福間が居玉、居飛車のまま9筋から仕掛けていく。うまく手を作って優位に立つが、西山もうまく局面を複雑化させて勝負に持ち込んだ。
【第1図は▲3四桂まで】
激しい局面で、どこに目を向けるか悩ましい。実戦は△7一香と壁を作り、▲9二飛に△5二玉がうまい早逃げ。▲7一成香と取られるが、△4三玉と逃げた形は後手玉が寄せにくい形になっている。▲8六飛成としたが、△5七角成で攻守逆転。西山が苦しい将棋を粘り、開幕戦を制した。
写真:琵琶
第18期マイナビ女子オープン五番勝負第2局
第2局は山梨県甲府市「常盤ホテル」にて。相振り飛車から後手の福間が攻勢を取って主導権を握る。
【第2図は▲3七同銀まで】
後手陣は破られたが、まだ危険なわけではなくチャンスを迎えている。△2七歩▲同玉△3七角成▲同桂△2六歩▲3八玉△5七金が厳しい寄せで、筋に入った。好機に△4五桂もあるため、受けきれる形ではない。以下先手も粘ったものの、後手が押し切った。福間が追い付いて1勝1敗に。
写真:八雲
第18期マイナビ女子オープン五番勝負第3局
第3局は神奈川県藤沢市「時宗総本山 遊行寺」にて。相振り飛車模様の出だしから、類型のない力戦となった。
【第3図は▲5六歩まで】
ここで△8四角が好打。5七に桂が利いているため意外に受けにくい。実戦は▲7五歩△同角▲4九歩と受けたが、△6六歩▲7六金△5五角▲同歩△5六歩と一気に決めにいった。こうなると玉の安全度が大きい。以下も押し切って、豪快なさばきで西山が2勝目をあげた。
写真:紋蛇
第18期マイナビ女子オープン五番勝負第4局
第4局は東京都渋谷区「将棋会館」にて。角交換型の相振り飛車から、軽く指して後手の福間がペースをつかむ。しかし西山も崩れずに指して混戦に持ち込んだ。
【第4図は▲5六歩まで】
一分将棋の中で激闘が続いている。ここは△7八銀なら後手の勝ち筋だったようだ。▲5七玉なら△7七角成で受けが難しく、▲6六玉も△7四桂と王手でスペースを埋めれば後手玉は安全だ。実戦は△4六金だったので、先手にもチャンスが来た。▲7四金△6二玉▲5二銀成△同角▲7二金と迫れば先手の攻めが続いていたようだ。以下△5一玉には▲6三金がある。本譜は▲8四金と一つ横に打ったが、△6二玉▲5二銀成△同角▲5三金△7二玉▲7四飛△7三銀で、後手の勝勢だ。女流名人戦に続き、またも決着は最終第5局へ。
写真:睡蓮
第18期マイナビ女子オープン五番勝負第5局
第5局は東京都渋谷区「将棋会館」にて。振り駒で西山が先手となり、相振り飛車へと進んだ。5筋の位が大きい展開になり、福間がペースをつかむ。
【第5図は▲6五歩まで】
攻めの桂香がさばけて形勢は後手良し。△2五歩▲同歩△2六歩が厳しい。▲同金は△2五香だし、このままでも△2五香だ。▲3九玉と粘りを見せたが、△1六歩▲同金△2五香から調子よく攻めが続き、福間が押し切っている。
写真:牛蒡
フルセットの激闘を制し、福間は第6期以来、12期ぶりに女王を奪還。そして女流六冠に復帰となった。