福間、3連勝で圧倒 ~女流王座戦振り返り~

 福間香奈女流王座に西山朋佳女流三冠が挑戦したリコー杯第14期女流王座戦五番勝負。あらゆるタイトル戦で顔を合わせる両者だが、女流王座戦五番勝負では3年ぶりとなる。

リコー杯第14期女流王座戦五番勝負第1局

 第1局は東京都文京区「ホテル椿山荘東京」にて。角交換型の相振り飛車へ。先手が調子良く手を作り、ペースをつかむ。

【第1図は△3三同玉まで】

 ▲3七桂が気持ちの良い活用。△4二玉▲4五桂△5四金に構わず▲3五桂が厳しい攻めだ。△5五金と飛車を取られるが、▲3三角△5二玉▲4三桂成△6三玉▲5五角成と金を取り返し、玉形の差があって先手勝勢だ。  第1局は福間が快勝。なお、福間が出産による休場のため、第2局以降は延期。約4ヶ月開けて、年明けの2月半ばから再開することとなった。


写真:玉響

リコー杯第14期女流王座戦五番勝負第2局

 第2局は大阪府高槻市「関西将棋会館」にて。関西将棋会館が高槻に移転後、初のタイトル戦だ。先手の西山が▲2六歩と突いて居飛車を明示する意表の出だし。福間得意のゴキゲン中飛車を超速▲3七銀で迎え撃った。

【第2図は▲3四銀引成まで】

 先手が後手の大駒を押さえ込めるかの将棋となっているが、△7六銀が次の一手のようなさばき。▲3三成銀は△8七銀成で崩壊する。実戦は▲7六同歩だが、△8八角成▲同玉△5五角で王手飛車が決まった。こうなると先手は右辺の銀2枚が空ぶった格好だ。以下は奪った飛車を打ち下ろし、後手が攻め合い勝ち。休場明けの福間が快勝で2連勝。


写真:飛龍

リコー杯第14期女流王座戦五番勝負第3局

 第3局は東京都渋谷区「将棋会館」にて。こちらも移転後の初タイトル戦となる。第1局に続き角交換型の相振り飛車となった。軽快な攻めでリードした福間が勝勢を築くが、寄せで誤り入玉を見せられて混戦模様となる。

【第3図は△9三歩まで】

 ▲8三馬では持将棋を巡る戦いになるが、▲7六桂が決断の寄せ。△7五玉には▲9五飛打がある。実戦は△7六同と▲同馬△8六成香▲同馬△同桂▲7七金△8九歩成▲8六金と、駒をボロボロ取らせたが、入玉を阻止するのを最優先。これが好判断だったようで、玉を押し返して再び先手の勝ち筋に入った。


写真:琵琶

 福間は3連勝で防衛し、五冠を堅持。タイトルは通算60期目の獲得となった。秋の白玲戦、女流王将戦は不戦敗による不本意な結末となったが、このシリーズは休場のブランクを感じさせない、圧巻の強さでライバルを下した。シリーズが終わったばかりだが、両者はすぐに女流名人戦五番勝負でも激突する。

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