新将棋会館での対局始まる 1月上旬の注目対局を格言で振り返る

2025年が始まり、東京でも新しい将棋会館での対局が始まりました。これからも数々の勝負が繰り広げられていくことでしょう。

ALSOK杯第74期王将戦七番勝負第1局

【第1図は▲8六歩まで】

 第1図はALSOK杯第74期王将戦七番勝負第1局(▲永瀬拓矢九段△藤井聡太王将)。先手ペースの戦いでしたが、後手も粘り強い指し回しで流れをつかみ、ここは完全に逆転しています。△7五桂が「玉は包むように寄せよ」の教科書通りの寄せ。▲5四桂△3二玉に▲7五歩と取りましたが、△7六金と押さえて8七への逃げ道さえふさいでしまえば先手玉は受けの難しい形です。


写真:琵琶

第83期順位戦A級

【第2図は▲3五角まで】

 第2図は第83期順位戦A級(▲中村太地八段△佐藤天彦九段)。2025年となり、東京の新将棋会館で対局が始まりました。記念すべき最初の日に行われた順位戦A級です。△3三馬▲5三角成△5一香が「馬は自陣に引け」「下段の香に力あり」の合わせ技となるような指し回し。これで後手陣は鉄壁となり、攻めに専念できる状態になりました。以下も熱戦が続きましたが、最後まで後手は美濃囲いの堅陣をキープして押し切っています。


写真:琵琶

第10期叡王戦本戦

【第3図は△3五竜まで】

 第3図は第10期叡王戦本戦(▲藤井聡太竜王・名人△増田康宏八段)。八冠復位を目指すトーナメントが始まりました。先手は手厚い形を作り上げ、あとはどう仕上げるか。▲3六歩△同竜▲4四桂が「要の金を狙え」の手堅い攻め。金をはがせば局面が分かりやすくなっていきます。実戦は△1三玉▲3二桂成△同飛▲6四馬寄と厳しい手が続き、先手の快勝となっています。


写真:睡蓮

ヒューリック杯第96期棋聖戦二次予選

【第4図は▲4六同歩まで】

 第4図はヒューリック杯第96期棋聖戦二次予選(▲佐藤康光九段△羽生善治九段)。現役最多の対局数を誇るゴールデンカードです。後手は3枚の桂を手にしていますが、△5四桂が「桂は控えて打て」の効果的な使い方。指し手の難しい先手は▲1五歩と伸ばしましたが、△6二竜と回って竜を攻めに活用。▲5五銀に△6六歩▲同歩△8五桂と調子の良い攻めが続き、持駒の桂をうまく使うことができました。


写真:銀杏

第83期順位戦B級2組

【第5図は△5四同歩まで】

 第5図は第83期順位戦B級2組(▲谷川浩司十七世名人△郷田真隆九段)。角を手放した先手は手を作っていきたいところです。▲6五歩△同歩▲6四歩△同銀▲6三銀が「金は斜めに誘え」の攻め。△同金はもちろん▲7二銀です。実戦は△8四飛に▲5二銀成△同玉▲7二銀で手の続く形になり、先手の攻勢が続く展開になりました。以下も難解な戦いでしたが先手が勝ち、谷川十七世名人は通算1400勝を達成しています。


写真:虹

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