藤井王将が3連勝 1月下旬の注目対局を格言で振り返る

 王将戦七番勝負は藤井聡太王将が圧巻の指し回しを見せて3連勝としました。順位戦A級は首位の豊島将之九段が連敗で、挑戦争いは混沌としています。

ALSOK杯第73期王将戦七番勝負第3局

【第1図は▲4八金左まで】

 第1図はALSOK杯第73期王将戦七番勝負第3局(▲菅井竜也八段△藤井聡太王将)。角交換振り飛車に対し居飛車が丁寧な指し回しから着実にリードを広げています。9六の銀取りは残っていますが、「終盤は駒の損得より速度」で△6五桂▲9六歩△5八と▲同金寄△5七歩成と「5七のと金に負けなし」を実現して後手勝勢。後手陣は手付かずで攻めに専念することができます。これで藤井王将は3連勝。


写真:武蔵

ALSOK杯第73期王将戦七番勝負第2局

【第2図は△6四銀まで】

 第2図はALSOK杯第73期王将戦七番勝負第2局(▲藤井王将△菅井八段)。三間飛車に対し居飛車穴熊の藤井王将が早い段階でリードを奪います。▲4二歩が「と金の遅早」の確実な攻め。先手は四枚穴熊の鉄壁が頼もしく、と金攻めが間に合います。この歩は最後に後手の金駒と交換になる活躍を見せました。


写真:翔

岡田美術館杯第50期女流名人戦五番勝負第2局

【第3図は△6五銀まで】

 第3図は岡田美術館杯第50期女流名人戦五番勝負第2局(▲福間香奈女流四冠△西山朋佳女流名人)。3筋の押し合いを制して飛車の働きに差を付けることに成功しました。▲3三飛成も見えますが、先手としては▲1一角成を狙うのに邪魔な駒にもなります。▲3五飛△5六銀▲5四成銀△3四歩▲8五飛が「飛車は十字に使え」の転換。▲1一角成を狙いつつ、玉頭ににらみを利かせています。以下も手厚い指し回しを続けた先手が制勝。復位まであと1勝としています。


写真:飛龍

第82期順位戦A級8回戦

【第4図は▲8六同歩まで】

 第4図は第82期順位戦A級8回戦(▲豊島将之九段△斎藤慎太郎八段)。1敗で首位を走る豊島九段と、2勝で降級のピンチにある斎藤八段の対戦です。図は△8六香と銀を取り、▲同歩と取ったところです。△8五歩が「3歩持ったら継ぎ歩と垂れ歩」とも言われる手筋で、仮に8七歩型なら△8六歩から入ることもできます。△8五歩以下は▲6二と△同角▲8五歩に△8六歩と垂らして先手玉にプレッシャーを掛けました。以下も際どい寄せ合いになりましたが、最後は後手が制しています。


写真:飛龍

第82期順位戦A級8回戦

【第5図は▲3三銀まで】

 第5図は第82期順位戦A級8回戦(▲佐々木勇気八段△永瀬拓矢九段)。▲3三銀は次に▲4二金や▲6二金からの詰めろです。駒を使って受けるのは先手玉に迫りにくくなってしまいますが、△5三玉が「玉の早逃げ八手の得」の節約する受け。▲4二金なら△6五金のように逃げ道を開けば大丈夫です。実戦は▲6七歩と受けましたが、△7六角が決め手になりました。勝った永瀬九段は名人挑戦権へ望みをつなぎます。


写真:牛蒡

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