里見、9連覇で四冠堅持

 里見香奈倉敷藤花への挑戦権を争う大山名人杯第31期倉敷藤花戦挑戦者決定戦は西山朋佳女流三冠と加藤結李愛女流初段の顔合わせとなった。

 西山の角交換型の中飛車に、加藤は玉頭位取りで対抗。西山が強いさばきで駒損ながら竜とと金で攻め込んでいった。

【第1図は▲4七銀右まで】

 △4五桂が攻め駒を足して調子良い。▲2二竜と金に当てたが、構わず△5七歩で攻めが切れない。以下▲1六角△2七歩▲4二竜△5八歩成で、瞬間大きな駒損だが、後手の美濃囲いが堅い。最後まで後手玉は手付かずのまま勝ち切った。
 西山は初参加から2期連続の挑戦。前期は2連勝で里見の防衛だった。開幕前に西山は里見から白玲を奪取し、女流四冠同士の対決となる

大山名人杯第31期倉敷藤花戦三番勝負第1局

 第1局は岡山県倉敷市「倉敷由加温泉ホテル 山桃花」にて。序盤に駆け引きがあり、西山の三間飛車に里見の居飛車急戦となった。仕掛けでうまくポイントを稼いだ里見が形勢をリードする。

【第2図は▲7一飛まで】

 両取りだが構わず△3七歩が急所の反撃。何で取っても△2五桂と跳ねて攻めが加速する。▲1一飛成と取って後手玉にプレッシャーを掛けたが、△3八歩成▲同金△5七とが詰めろで入り、後手の勝ち筋になった。里見が後手番で開幕局を制する。


写真:武蔵

大山名人杯第31期倉敷藤花戦三番勝負第2局

 第2局は岡山県倉敷市「倉敷芸文館」にて。毎年恒例になっている公開対局だ。相振り飛車から里見がペースをつかむが、西山もうまく勝負に持ち込んでいつしか形勢は逆転。はっきり優勢となり、翌日に行われる第3局が見えてきたかに思えたが......。

【第3図は▲3九金打まで】

 双方一分将棋に入っており、▲3九金打は根性の粘りだが駒割りは先手の銀損。後手は手駒が豊富で手番も握って色々手段がある。△7六竜と歩切れを解消しながら3六の地点をにらむなど、優位を拡大する手は色々あったが、実戦の△6五桂が疑問手。すかさず▲3七飛と好位置に逃げられて慌てることになった。次の△1二香も一手前に指しておきたかった手で、▲2五銀とされて使えていなかった飛車が急にさばけてしまった。こうなると後手は歩切れが痛く、混戦になっている。流れの悪い西山はこの後も踏み止まれず、里見が逆転勝ちを収めた。


写真:飛龍

 里見は2連勝で防衛。9連覇、通算14期目の倉敷藤花獲得となった。白玲に続く奪取を狙った西山だがここは跳ね返されて、女流棋界を二分する時代が続くこととなった。

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