藤井が八冠に迫る 9月下旬の注目対局を格言で振り返る

 注目の王座戦五番勝負は挑戦者の藤井聡太竜王・名人が2勝1敗とリードしました。そして白玲戦に続き、倉敷藤花戦も里見─西山戦となっています。

第71期王座戦五番勝負第3局

【第1図は▲2一飛まで】

 第1図は第71期王座戦五番勝負第3局(▲藤井聡太竜王・名人△永瀬拓矢王座)。1勝1敗で迎えた第3局は永瀬王座が後手番でうまい作戦からペースをつかみました。図の王手に△4一飛と受けたため、▲6五角△5四歩▲4一飛成△同玉▲5六角で急に先手の視界が開けてきました。代えて△3一歩と受けるのが自然ですが、▲4三銀が「金は斜めに誘え」の勝負手。△同金▲3二銀の局面は受けが難しいと永瀬王座は判断しました。水面下の勝負手で挑戦者が逆転勝ちを収め、八冠まであと1勝としました。


写真:将棋世界

ヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負第3局

【第2図は△5三銀上まで】

 第2図はヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負第3局(▲西山朋佳女流三冠△里見香奈白玲)。相振り飛車の駒組み段階です。▲4六歩が「歩越し銀には歩で対抗」の自然な一手。以下△3五歩に▲4五歩と強く反発できるのがその効果。難しい戦いですが、4五に呼び込んだ銀をうまく目標にして、先手がリードを奪いました。


写真:紋蛇

ヒューリック杯白玲戦第3期七番勝負第4局

【第3図は▲7五金まで】

 第3図はヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負第4局(▲里見白玲△西山女流三冠)。局面は後手優勢で先手必死の防戦が続いています。8五の銀取りですが、ここは強く決めに行きました。△5八金▲同歩△同成香が「終盤は駒の損得より速度」の強手。▲同金は△7九飛から簡単に寄るので▲5九歩ですが、△6九成香と取って寄り筋です。第3局、第4局と連勝して挑戦者が3勝1敗と追い込みました。


写真:翔

大山名人杯第31期倉敷藤花戦挑戦者決定戦

【第4図は▲3六銀まで】

 第4図は大山名人杯第31期倉敷藤花戦挑戦者決定戦(▲加藤結李愛女流初段△西山朋佳女流三冠)。これから終盤に入ろうという局面で、後手は銀損ながら竜を作ったのが主張です。△5八歩▲2三飛成△5九歩成が「と金の遅早」の攻め。▲4七銀右の受けに△4五桂▲2二竜△5七歩と2枚目のと金を作りにいって、後手の攻めは切れません。西山女流三冠が挑戦権を得て、ここでもライバル対決が実現です。


写真:銀杏

ABEMAトーナメント2023決勝第4局

【第5図は▲5六同玉まで】

 第5図はABEMAトーナメント2023決勝第4局(▲稲葉陽八段△永瀬拓矢王座)。決勝は予選リーグの再戦に。チーム永瀬が3連勝で迎えた第4局はリーダー対決です。局面は後手勝勢で、あとは中段玉をしっかり捕まえれば勝ちになります。△6四桂▲同成銀△5五金▲6七玉△6六金▲7八玉で「玉は下段に落とせ」が実現しました。以下は悠々と△4三金と払って安全勝ちです。リーダー対決を制したチーム永瀬は続く第5局も勝ち、5連勝で優勝となりました。


写真:ABEMAトーナメント2023

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