挑戦者が3連勝! 10月下旬の注目対局を格言で振り返る

竜王戦は挑戦者が一気の3連勝と追い込みました。また、女流棋戦では里見女流四冠が4タイトルを並行で戦っています。

第34期竜王戦七番勝負第2局

【第1図は▲7七歩まで】

 第1図は第34期竜王戦七番勝負第2局(▲豊島将之竜王△藤井聡太王位・叡王・棋聖)。相掛かりの指し手争いで後手がペースをつかみました。△7三桂が「攻めは飛角銀桂」の通りの活用で、後手の攻めに厚みが増しました。▲9三歩成に△9九歩成▲同銀△8五桂と攻め込んで後手好調です。 


写真:日本将棋連盟

第34期竜王戦七番勝負第3局

【第2図は△4七歩まで】

 第2図は竜王戦第3局(▲藤井王位・叡王・棋聖△豊島竜王)。後手がと金攻めを見せましたが、次の△4八歩成が詰めろにならないため、速度計算のしやすい局面です。「寄せは俗手で」と▲8四桂が素朴ながら厳しい攻め。△4八歩成▲7二桂成が詰めろで先手の一手勝ちコースです。藤井王位・叡王・棋聖が3連勝で史上最年少四冠まであと1勝としました。


写真:日本将棋連盟

第1期ヒューリック杯白玲戦七番勝負第4局

【第3図は▲7六歩まで】

 第3図は第1期ヒューリック杯白玲戦七番勝負第4局(▲渡部愛女流三段△西山朋佳女流三冠)。苦戦の先手が何とか玉頭戦に持ち込んでアヤを求めようとしている局面です。ふわりと△3六飛が先手の勝負手を許さない好手でした。「飛車は十字に使え」で、敵陣に成り込むよりも玉頭に利かせる方が働いています。以下▲7五歩△7六歩▲同金△同飛▲7四歩△同飛と局面をすっきりさせながら飛車を好位置に持っていくことに成功しました。本局を勝った西山女流三冠が初代白玲に就いています。


写真:日本将棋連盟

第3期大成建設杯清麗戦五番勝負第3局

【第4図は△1二玉まで】

 第4図は第3期大成建設杯清麗戦五番勝負第3局(▲里見香奈清麗△加藤桃子女流三段)。後手の猛攻を受け止め、反撃に転じた先手が勝勢の局面です。△1二玉は何とか手を稼ごうという狙いですが、▲1五歩が「端玉には端歩」の確実な寄せ。△6五角▲同銀△2六桂と暴れてきましたが、▲5六角と受けて先手玉は寄りません。2連敗で後のなかった里見清麗が1勝を返しました。


写真:日本将棋連盟

第11期リコー杯女流王座戦五番勝負第1局

【第5図は△7二金まで】

 第5図は第11期リコー杯女流王座戦五番勝負第1局(▲里見香奈女流四冠△西山朋佳女流王座)。四冠対決となった五番勝負です。金取りを受けずに▲5七桂が「桂は控えて打て」の強い踏み込みでした。単に▲6五桂は△同銀で寄せにくいのですが、▲5七桂△4九飛成▲6五桂打と重ね打てば△6二玉と下に落とすことができます。以下は一瞬後手にチャンスが訪れましたが、結果的には先手が制しています。


写真:日本将棋連盟

第43期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第2局

【第6図は▲9五歩まで】

 第6図は第43期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第2局(▲里見香奈女流四冠△西山朋佳女流王将)。相振り飛車から大さばきを決めた後手が優位に立ちました。攻めの足掛かりがなさそうですが、「歩切れの香は角以上」で△3二香が厳しい一手。歩があれば▲3六歩で受かるのですが......。実戦は▲4七玉と逃げましたが、△4四角▲同馬△同歩とさばき、香の威力を存分に発揮できる展開です。


写真:日本将棋連盟

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