棋聖に続いて王位を防衛。8月下旬の注目対局を格言で振り返る

藤井聡太王位が棋聖戦に続く防衛。竜王と名人と最強の挑戦者を迎えていましたが、どちらも退けました。竜王戦でも挑戦を決め、藤井─豊島戦はまだまだ続きます。

お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負第4局

【第1図は▲7五同歩まで】

第1図はお~いお茶杯第62期王位戦七番勝負第4局(▲豊島将之竜王△藤井聡太王位)。長い中盤戦の末に迎えた局面で、いま7筋に歩を合わせて桂頭にキズを作ったところ。さらに△9五歩▲同歩△6五歩▲同歩と突き捨てたのが「開戦は歩の突き捨てから」で総攻撃の開始です。△4五桂▲同角に△6六歩と叩き、早速突き捨ての効果が表れています。以下も激しく攻め立てて後手の快勝となりました。


写真:日本将棋連盟

お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負第5局

【第2図は△8六歩まで】

第2図は王位戦第5局(▲藤井王位△豊島竜王)。角頭に歩を垂らされたところですが、▲8四歩が覚えておきたい手筋。「大駒は近付けて受けよ」で、△8四同飛▲6六角△7五歩▲8八銀△3四歩▲8五歩△8二飛▲7五歩で8筋を収めることに成功しました。中盤で後手に誤算があり、藤井王位の快勝。4勝1敗で防衛を果たしています。


写真:日本将棋連盟

第6期叡王戦五番勝負第4局

【第3図は△8五歩まで】

第3図は第6期叡王戦五番勝負第4局(▲豊島将之叡王△藤井聡太王位・棋聖)。相掛かりから後が端に桂を跳ねて仕掛けてきたところです。しかしここで先手に好手がありました。▲7九金が「金は引く手に好手あり」で、△8六歩▲8五歩の時に△同桂▲8六飛△7七桂成▲8四飛△7八成桂のあたりをかわしています。実戦は▲8五歩に△4四飛と逃げましたが、▲8六飛△7一金▲9五歩と攻めて跳ねた桂が負担になっています。本局は豊島叡王の完勝で決着は最終第5局へと持ち越されました。


写真:日本将棋連盟

第34期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局

【第4図は△4六角まで】

第4図は第34期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局(▲藤井聡太王位・棋聖△永瀬拓矢王座)。相掛かりから乱戦模様となりましたが、先手がうまく立ち回って勝勢です。▲2一竜△3一金に▲4五桂が「玉は包むように寄せよ」で受けが難しくなりました。藤井王位・棋聖が2連勝で竜王戦でも挑戦権を獲得しました。


写真:日本将棋連盟

第71期ALSOK杯王将戦二次予選

【第5図は▲3四同飛成まで】

第5図は第71期ALSOK杯王将戦二次予選(▲八代弥七段△糸谷哲郎八段)。阪田流向かい飛車から派手な応酬が続いており形勢は難解です。ここから△6七銀成▲同銀に△6九飛が「玉は下段に落とせ」の強打。▲同玉に△6七角成が詰めろ竜取りで駒損を取り返すことができます。以下も熱戦が続きましたが剛腕を発揮した糸谷八段が王将リーグ入りを決めています。

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