女流棋界新記録の11連覇達成。里見女流名人VS谷口女流三段、第46期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負を振り返る

里見香奈女流名人に挑戦するのは谷口由紀女流三段。谷口は女流名人には初挑戦。一方の里見はここまで10連覇中で、今期防衛すれば女流棋界の新記録となる。谷口は4度目のタイトル挑戦で初のタイトル獲得を狙う。

第46期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第1局

第1局は棋戦名にもなっている箱根の「岡田美術館」で開催。先手が角道を止めて古くからあるオーソドックスな相振り飛車となった。美濃囲いから細かく動いた里見が徐々にペースをつかんでいく。

【第1図は▲5五歩まで】

2歩手持ちにしており、飛角銀桂を攻めに使えている後手が十分の局面だ。以下△3六歩▲同歩△同銀で先手陣に攻め掛かる。実戦は▲4九玉と引いたために△5五角▲4六歩△1六歩から大差になってしまった。△3六同銀には当然▲3七歩とするべきで、守勢にはなるが後手も簡単には決めるまではいかなかっただろう。里見が快勝で好スタート。

第46期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第2局

第2局は里見の出身地である出雲市「出雲文化伝承館」で開催。本局は里見が居飛車を選択肢、谷口の振り飛車を受ける展開となった。先手は穴熊に組み替え、後手が手待ちで千日手を含みにする。

【第2図は△5七銀成まで】

ここで4七銀の処置が難しいようだが、▲4四歩がこれぞ筋という突き出し。△4七成銀▲4三歩成は穴熊の深さが生きるし、△4四同歩も▲3二角~▲6五角成で手順に銀にヒモをつけることができる。実戦は△4一飛の辛抱だが、▲4六銀△5六成銀▲4九飛で駒をさばきやすくなっている。差が付いてからは一気に押し切って里見が快勝で2勝目。

第46期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第3局

第3局は岡山県真庭市の「湯原国際観光ホテル」にて。谷口が中飛車に振り、里見は相振り飛車で応じる。谷口に中盤見落としがあり、里見が一気に優勢となった。

【第3図は▲5一銀不成まで】

今シリーズは里見が力の差を見せつける展開となり、谷口にとっては厳しい結果となった。里見は3連勝で女流棋界新記録となる11連覇を達成。初の獲得から連覇を続けている状況だが、どこまで記録を伸ばすか楽しみである。

※画像は岡田美術館杯女流名人戦中継ブログより

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