西山朋佳女王が初防衛。西山朋佳女王VS里見香奈女流四冠、第12期マイナビ女子オープン五番勝負を振り返る

西山朋佳女王里見香奈女流四冠が挑戦した第12期マイナビ女子オープン。現役奨励会三段と元奨励会三段の激突でもあり、女性の頂上決戦と言ってもいい組み合わせだ。タイトル戦番勝負での顔合わせは意外にも初めて。

西山は前期のマイナビ女子オープンで加藤桃子を下し初の女流タイトル獲得。現在は三段リーグも戦っている。

里見は女流四冠を保持しながら、マイナビ女子オープンと女流王位戦でダブル挑戦を決めている。自身初の六冠、そして新創設されたヒューリック杯清麗戦での女流七冠の期待も懸かる。

第12期マイナビ女子オープン五番勝負第1局

恒例の神奈川県秦野市「元湯 陣屋」でシリーズが開幕。相振り飛車から長い戦いとなった。

【第1図は△5四同銀上まで】

後手の里見が優位に戦いを進めていたが、西山も粘り強く指して食いついていく。図から▲9三桂△8三玉▲6六飛△5九角成▲6五飛△同銀▲6四銀と勝負手連発。里見の受け間違いもあり、最後は西山が逆転勝ちを収めた。


マイナビ女子オープン中継サイトより


西山朋佳女王 マイナビ女子オープン中継サイトより


里見香奈女流四冠 マイナビ女子オープン中継サイトより

第12期マイナビ女子オープン五番勝負第2局

第2局は東京都港区「明治記念館」にて開催。振り飛車党の両者だが、本局は先手の里見が居飛車を選択。西山の三間飛車里見の居飛車銀冠となった。

【第2図は▲2八歩まで】

本局も里見がペースを掴んだが、西山も玉頭から勝負に出て逆転した。第2図では8四の銀も当たっているし、▲3七玉から▲2六玉という脱出ルートも気になる。後手が焦りそうな局面だが、△1一桂が盤面を広く見た好手。▲2二竜に△2三香で、たちまち挟撃形を築き上げた。こうなると金を2枚持っている後手の攻めは切れず、後手勝勢がはっきりした。西山は初のタイトル防衛まであと1勝。


2連勝とした西山朋佳女王 マイナビ女子オープン中継サイトより

第12期マイナビ女子オープン五番勝負第3局

第3局は埼玉県さいたま市「桜茶屋」にて。本局は再び相振り飛車となった。西山の動きに自然に応じて、里見が形勢をリードする。

【第3図は▲6六桂まで】

図では△6三金と受けた方が安全だった。本譜の△5三金左は離れている金を寄せる自然な手だが、▲7四歩△8四銀に▲5五銀△同銀▲4二角の勝負手があった。実戦は▲5五銀で▲4二角としたため、△5二飛▲3一角成に△6六歩と桂を取りにこられてはっきりした。里見が初勝利をあげて第4局へ。


初勝利をあげた里見香奈女流四冠 マイナビ女子オープン中継サイトより

第12期マイナビ女子オープン五番勝負第4局

第4局は再び先手の里見が居飛車を選択。西山の三間飛車に対し、昔ながらの急戦を仕掛けた。

【第4図は▲2二歩まで】

本局も里見がリードしたが、勝負そのものは難しい。図の直前の▲9三歩△同香の利かしが先手にとっては微妙なところだったようだ。図で△2二同金となるようでは後手が勝てない。また、△3三桂も▲同桂成から▲9四歩△同香▲8六桂の筋が厳しい。実戦は△4五銀▲同歩△3三桂と反撃。以下▲6六角に△4五桂とさばいて勝負形に持ち込んだ。後手に形勢が傾いてからは差が広がり、最後は大差で後手の勝ちとなった。

西山は3勝1敗で初のタイトル防衛。一方の里見は初の11回目でタイトル挑戦失敗となった。


マイナビ女子オープン中継サイトより


初のタイトル防衛。インタビューに答える西山朋佳女王 マイナビ女子オープン中継サイトより

おすすめの記事

棋士・棋戦

2024.01.16

里見、2年連続の挑戦を跳ね返す