勝ち進めばプロ棋戦に出場できる!過去最高の参加者が集まった加古川青流戦アマチュア選抜大会の様子をご紹介

毎年恒例となっている加古川青流戦のアマチュア選抜大会が、3月2日に兵庫県加古川市「加古川まちづくりセンター」で開催された。今年は定員一杯の128名の申込があり、過去最高の参加者となった。関東からも20人の参加があり、九州からの参加もありと、全国大会と変わらないレベルだ。各ブロックの優勝者2名が第9期加古川青流戦に出場できる。25分切れ負けのハードな叩き合いを制して、4人が決勝に進んだ。決勝は30分切れたら30秒と、一転して長い戦いになる。


会場の様子

Aブロック

Aブロックは天野啓吾さん(兵庫)と藤原結樹さん(大阪)の決勝に。天野さんはアマ名人で、兵庫県名人として度々加古川青流戦に参加している。藤原さんはアマ竜王の経験があり、奨励会三段時代に加古川青流戦に出場している。第3期加古川青流戦では藤原さんが三段枠、天野さんがアマ枠で対戦し、天野さんが勝っている。戦型は相振り飛車で藤原さんが作戦勝ちとなったが、天野さんも勝負に出て激戦となった。

【第1図は△4五桂まで】

第1図は先手優勢の終盤戦。図で▲4五同歩と取り、△5六角に▲4七銀△7四角▲4八香とガッチリ受けるのが天野流の勝ち方。後手の攻めを余し、最後は素早く寄せきった。
 天野さんは6回目の出場となるが、選抜大会を抜けたのは初めて。「切れ負けでも序盤を飛ばして指すなど、全体的に落ち着いて指せた。去年はあまり活躍できなかったので、一つ結果を出すことができてホッとしました」と振り返った。

Bブロック

Bブロックは小牧毅さん(埼玉)と星田雅弘さん(大阪)の決勝に。小牧さんは52歳のベテランで、アマ名人戦で優勝経験がある。この大会は初参加ながら決勝まで勝ち進んできた。星田さんは立命館の大学院生。学生選手権で優勝経験がある。ちなみに筆者も選手として参加していたが、準々決勝で星田さんに敗れた。

【第2図は▲6八飛まで】

角交換振り飛車から乱戦の出だしだが、第2図の▲6八飛が悪手。代えて▲1一角成△3二銀としてから▲6八飛と受けなくてはいけなかった。図で△3二金が意表の好手。▲1一角成に△2二金と受けて、駒損を防ぎながら馬を封じ込めることができた。星田さんはソフトで研究済みの将棋だったそうだ。以下△6四歩で桂を取ってから△4二玉~△3二玉~△3三桂~△2一金で馬を取りに行く順を実現させ、後手の大きな駒得に。大差のまま星田さんが押し切り、小牧さんは力の出ない一局になってしまった。
星田さんはプロ公式戦は初出場。「20歳の時まで奨励会に在籍していたので、当時の知り合いと当たるかもしれません。1回戦で折田翔吾さんに当たって厳しいと思ったが、そこを突破して波に乗れました」と話した。

加古川青流戦は例年5月ごろに開幕する。アマ選手の対局は携帯中継されることも多いので、ぜひご覧いただきたい。この2人と合わせて地元の兵庫県のアマ名人戦代表者の3人がアマチュア代表として第9期加古川青流戦に出場する。かつてはアマチュア選抜大会を抜けた稲葉聡さんが優勝したこともあり、今回もアマ勢の活躍を期待したい。

おすすめの記事

棋士・棋戦

2024.01.16

里見、2年連続の挑戦を跳ね返す