里見香奈が谷口由紀に勝って四冠維持。大逆転もあった、倉敷藤花戦三番勝負を振り返る

2年前と同じ顔合わせとなった倉敷藤花戦三番勝負。前回は谷口由紀女流二段が先勝したものの、第2、第3局を敗れて敗退。悲願の初タイトルを掛けて再び里見香奈倉敷藤花に挑むこととなった。

一瞬の隙から里見香奈が逆転、第1局


里見の4連覇か、谷口の初タイトル獲得か注目が集まった

お互いに振り飛車党ではあるが、里見は相手が振り飛車党の時は居飛車で対抗することもある。先手となった開幕局は初手に▲2六歩で居飛車を明示。里見の居飛車に谷口の振り飛車となるかと思われたが、先手の出方を見て谷口も居飛車に。意表の相居飛車戦となった。谷口の速攻が決まって大優勢となるが、速い寄せを逃して少しずつ混戦となった。

【第1図 104手目△5四金打まで】

一時を思えば先手も勝負形に持ち込んでいる。次に△5五金打からの詰めろだが、▲6七桂が自陣に使った桂を再活用する受け。こういった活用は実戦ではかなり見えにくい。対しては△8一竜と長期戦を目指せば後手に分があったようだが、本譜は△6七同銀不成▲同歩△4八竜としたため、▲5四竜△同金▲8四桂△8二玉▲8三歩から後手玉が即詰みに討ち取られてしまった。一瞬のチャンスをとらえて里見の大逆転勝ち。谷口にとっては痛恨の一敗となった。

恒例の倉敷芸文館での公開対局、倉敷藤花戦第2局

第2局からは恒例となっている倉敷芸文館での対局。午後からは公開対局となるのが特徴だ。1勝1敗になると翌日に第3局となる。

第2局は第1局とはうってかわってすんなりと相振り飛車となった。中央でポイントをあげた里見が作戦勝ちとなり、ペースをつかんだ。

【第2図 105手目▲6五金まで】

第2図から△4八成桂▲同銀△4九銀▲3七玉△4八馬▲同玉△3八金で先手投了。先手玉の上部脱出さえ防げれば難しいところはない。投了以下は▲5九玉なら△6七歩と押さえて受けなしだ。第2局は里見の快勝で、2連勝で防衛となった。


里見がストレートで4連覇を達成した

春の女流王位戦でこそタイトルを失ったが、秋の女流王将戦、女流王座戦、倉敷藤花戦は通算7勝無敗で防衛。安定した強さを見せた。次に里見の牙城を崩す棋士は誰になるのだろうか。

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