仕掛けに迷った時に思い出したい格言とは?【将棋の格言】

仕掛けの格言については今回が3回目です。

・取る手に悪手なし

・仕掛けの筋に飛車を振れ

いずれも仕掛けの歩がぶつかるあたりで参考になる考え方です。

取る手に悪手なし

「取る手に悪手なし」は自玉近くの歩がぶつかった場合には特に高い確率であてはまる格言です。同じような意味で「取れないようでは(既にまずい、作戦負け)」と解説で使われることもあります。

【第1図は△6五歩まで】

第1図はプロの実戦より。角換わり腰掛け銀において▲4五歩(△6五歩)は仕掛けの基本です。この場合基本的には▲6五同歩(△4五同歩)と応じるのが自然です。

一例ですが、ここで▲2五歩△6六歩となってしまうと歩損のため▲同銀と応じるしかありません。そうなると場合によっては△6五歩と位を確保される手、△8六歩から1歩交換する手など相手の攻め筋が多くなります。それならばまずは▲同歩と取っておいて相手の出方を見て対応していった方が良いでしょう。もし突かれて嫌なようであれば最初から▲6六歩(△4四歩)と突かない手も考えられるところです。

【第2図】

次は仕掛けに対して▲同歩と応じにくい場合です。第2図は部分図で、矢倉で△6五歩と突かれましたが、▲同歩は△同桂が両取りで駒損が確定してしまいます。駒損しないためには手を抜くしかありませんが、△6六歩~△6五歩と位を確保される手や、△6四銀と力を溜めて△7五歩と攻める手など、後手は攻め方を選べます。こうなると後手の攻めを受けきるのが大変で、「取れないようでは......」と言う局面です。玉側の歩がぶつかった時はなるべく▲同歩と応じられるような駒組みを意識しましょう。

仕掛けの筋に飛車を振れ

【第3図は▲2六銀まで】

第3図は四間飛車対棒銀の定跡です。ここから△1二香▲3五歩△同歩▲同銀となると、次の▲2四歩からの攻めがあり棒銀の成功です。「取る手に悪手なし」と言いましたが、玉側と攻め側で戦い方の分かれる居飛車対振り飛車ではあてはまらないこともあります。この場合も▲3五歩に△同歩と取ったために棒銀をさばかせてしまいました。

【第4図は△6二角まで】

第3図では△3二飛▲4六歩△1二香▲3五歩△5一角▲3八飛△6二角(第4図)と対応するのが定跡となっています。振り飛車では戦いの起こる筋に飛車を振るのが基本で、それが「仕掛けの筋に飛車を振れ」です。

この場合▲2六銀と出た先手はいずれ▲3五歩と攻めてくるのが見えているため、△3二飛と迎え撃つ考え方です。そして▲3五歩と突いたタイミングで△5一角と目標になっている角をかわし、飛車を戦いに参加させます。 振り飛車の場合は飛車側で歩がぶつかった場合、▲同歩ではなくその筋に飛車を振る手を考えてみましょう。

【第5図は▲3六飛まで】

第5図は女流棋戦のタイトル戦の将棋です。後手は中飛車でしたが、△4五歩~△4二飛と四間飛車に振り直して迎えた局面です。当然ここは△3二飛とさらに振り直して先手の飛車と合わせます。実戦は▲2四歩△同歩▲4六歩と動きましたが、△同歩▲同飛に△4二飛と戦いの起こりそうな筋に飛車を動かして後手は軽い形になりました。これが振り飛車のさばきの心得です。

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