棋聖戦挑戦者・斎藤七段による戦術書「常識破りの新戦法矢倉左美濃急戦 基本編」のご紹介【今月の新刊ちょい読み】

ここでは、今注目の新戦法「矢倉左美濃急戦」について解説した斎藤慎太郎七段の戦術書「常識破りの新戦法矢倉左美濃急戦 基本編」(マイナビ出版)の内容をちょい見せ。

今回紹介するのは矢倉左美濃急戦の攻撃力がよくわかる手順だ。

【基本図は▲6九玉まで】

(第1章駒組みと狙いより)

◇飛角銀桂の攻め
図以下の指し手△6五歩▲同歩△7五歩

基本図はプロの公式戦で現れた局面で、ここから後手が快勝して一気に注目を浴びる戦型となった。現在では基本図の局面が、既に後手ペースと考えられている。駒がぶつかっていない局面の結論で、現代将棋の進歩を感じる。

△6五歩から仕掛けていく。6?8筋が戦場になり、後手としては歩を駆使して飛角銀桂を活躍させていくイメージで指したい。

△7五歩の突き捨ては重要で、後に大きく生きてくる。手順を追って見ていきたい。

【図は△7五歩まで】

図以下の指し手
▲7五同歩△6五桂▲6八銀△8八角成▲同金△8六歩▲同歩

図での先手の対応は幾つかある。▲7五同歩は△6五桂から角交換をして攻めていく。

【図は8六歩まで】

図以下の指し手
△6六歩▲7六金△6七角

△6六歩が手筋の攻めで、▲同金には△8六飛が金の両取りになって後手大成功となる。注目したいのが△8六飛の横利きで、これは△7五歩の突き捨てが7六歩を7五に移動させたことで、金取りとなっているのだ。

【図は△6七角まで】

図以下の指し手
▲6七同銀△同歩成▲6八歩△5八銀▲7九玉

△6七角が強打で、▲6六金には△8六飛が金の両取りになる。他の受けでは△7六角成と△5六角成が受からず、▲6七同銀は仕方ない。

△6四銀▲6七歩△同銀不成▲6六金△7八歩

【図は△7八歩まで】

▲5五角を防ぎながら桂を支える△6四銀が好形になる。
図から▲6九玉なら△8六飛、▲7八同金も△同銀成?△8六飛で後手ペースとなる。△7五歩の突き捨てがよく生きる変化となった。

本戦法のより詳しい内容は、「常識破りの新戦法矢倉左美濃急戦 基本編」(マイナビ出版)で解説されている。

「常識破りの新戦法矢倉左美濃急戦 基本編」の商品紹介・購入ページ

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