白瀧あゆみ杯争奪戦、創設の理由が深かった。白瀧呉服店にインタビュー、「女流棋士の地位を向上させたい」

お着物でお将棋は如何でしょうか

2017年酉年となったにも関わらず、わたくしの棋力は飛躍するどころかノソノソ牛歩状態。ならば別の角度から攻めてみては如何なものかと「白瀧あゆみ杯争奪戦」を開催しております「白瀧呉服店」にお邪魔してきました。

白瀧あゆみ杯
東京・練馬区の呉服店・白瀧が後援する、若手女流棋士の登竜門戦(※非公式戦)第6回大会では女流プロ、アマの参加で開催。

白瀧呉服店の創業はなんと江戸末期である嘉永六年。西暦で言うと1853年。そうです「人は込み合う黒船来航」と同じ年に創業された、東京で一番大きな呉服専門店。有楽町線、副都心線の「地下鉄赤塚駅」4番出口を出るとその目の前にどどん!と立派がすぎる看板がお出迎えしてくださいます。迷子になる暇もございません。

もはや旅館か酒蔵のようなお店構え。 お邪魔します。

白瀧呉服店内探索開始

お店に入ると、風呂敷、手ぬぐいなどの愛らしい和の小物や...

美しく生けられた季節のお花...

華やかなお振袖がお出迎えしてくれます。

まずは2階へ上がらせていただき、艶やかな振袖のお部屋へ。

ずらりと並ぶ心躍る美々しい反物たち...

上品な留袖、訪問着を見させていただき...
タケナカは現在猛烈に色留袖が欲しいので、ここでしばし足を止め凝視。
ちなみにこちらのお部屋は映画「3月のライオン」に出てきます。

白瀧専務にインタビュー

背後に美麗な色留袖が控えるこの幸せ空間で、 白瀧幹夫専務にお話しを聞かせていただきました。 ちなみに白瀧専務も映画「3月のライオン」のなかなか重要なシーンに出演されています。要チェックや!!

美しくお着物を着こなし、常ににこにこと優しい白瀧専務

 ーーそもそもなぜ「白瀧あゆみ杯争奪戦」が創設されることになったのですか?

「父でもある白瀧五良社長がとにかく無類の将棋好きでして...今でも土曜日には将棋会館の遊々将棋塾に通っているのですが、いつの日か白瀧呉服店で棋戦を持ちたいという野望を抱いていておりまして(笑)そんな中で、『女流棋士の棋戦は少ない。研鑽を積む場を提供し、女流棋士の地位や意識を向上させたい。そして若い人にも門戸を開きたい』という思いから2006年より『白瀧あゆみ杯争奪戦』を後援することとなりました。」

 ーーこの棋戦名の由来は?

「女流棋戦ということから、妻でもあります若女将の名前『あゆみ』と、駒の『歩』をかけて命名されました。」

 ーーご自身の名前が付けられると知った時の若女将の反応は?

「社長の名前がつくとばかり思っていた上に、『棋戦に個人名が付くのはなかなか無いですからねぇ~』と将棋連盟の方がおっしゃられ、とにかく恐縮していました(笑)」

 ーーお着物で将棋を指す女流棋士はやはり凛としていて素敵ですよね。

「やはり格好良いなと思いますね。一手目、二手目のピンッとした緊張感や迫力が増すと言いますか...」

 ーー昨年の相川春香女流初段と西山朋佳奨励会三段の決勝戦は、白瀧呉服店内で行われました。大盤解説は渡辺明竜王による解説でしたが、社長はお喜びだったのではないですか?

「嬉しそうでしたね(笑)。今後は将棋連盟での着付け教室など、より着物を着てくださる棋士の方が増えるような活動をしていきたいと思っています。そのために、通常の着物と微妙に仕様を変えるなど、将棋を指すための着物を研究しています」

こちらが「白瀧あゆみ杯争奪戦」決勝の開催されるお部屋。

樹齢100年を超える松や梅の木に見守られながらの真剣勝負が繰り広げられてきました。

女流棋士(仮)に!!!おれはなるっ!!!

そして1階へと戻り...
なんと実際に女流棋士の方々と同じようにお着物(袴)を選ばせていただけることに。

ずらりと並ぶ色とりどりのお着物たち

常時150着ほどのお着物が並ぶそうで、幸せな迷いのお時間が到来。
タケナカ喜びが隠しきれません。
女流棋士の方々はここから5局分、つまり5つの組み合わせを選ばれるそう。

「袴と言ったら矢絣なのだけど...ピンクかぁ...う~ん...う~ん...」

ちなみに女流棋士の方々はパシッ!パシっ!と決断が驚くほどに早いそうです。
ここでも早指しができないタケナカ。秒読みが聞こえてきそうです...
5秒~4秒~3、2...

『パシッ!!』これにします!!

白地に松竹梅が描かれた縁起の良いお着物。
タケナカという名前にもぴったりです。

ちなみにちなみに女流棋士の方々のお着物の選び方はさまざまで...
とにかく好きなお着物を選ぶ方、
勝負お着物が決まっている方、
他の方とかぶらないお着物を選ぶ方、
自分ルール(1局目は赤!)のある方、
戦いの地に合わせた色を選ぶ方(静岡なら名産のお茶から連想される緑色)、
後援企業のコーポレートカラーを選ぶ方(リコー杯なら赤色)、
中には相手の気が散るような色や柄を避けると言った対局相手のことまで考えて選ばれる方もいらっしゃるそう。

意外とタケナカのように「松竹梅はめでたい」などのゲン担ぎをされる方は少ないそうです。 (白瀧呉服店では、実際に女流棋士に貸し出したお着物の勝率をデータで保存しているそうです! 一番強いお着物がどれなのか気になる!!)

さてお着物が決まりましたら、さくさくさくさく手際よく試着をさせていただきます。
お洋服の上からその場ですぐに試着させていただけます。

お気づきになられましたでしょうか?
私にお着物を着せてくださっているのが『白瀧あゆみさん』!!

とても気さくで優しいステキな若女将さん。
いろいろなお話しを聞かせてくださいました。

なんだか竜宮城の小間使いのようないでたちに。
このように、こちらのお着物は袴用に切ってあるので、とても動きやすいのです。

そして更なる迷いのお時間が...
袴もこんなにあるのです...
かくなる上は...
『棋神降臨!!あゆみさん!お願い致します!』

サクサクっと選んでいただきました。
なんだか大人っぽい!
そして...なんだか強そう!!

エア指し。
今なら将棋ウォーズで連勝できそう...

通常ですと、このあと草履や巾着などを選ぶのですが、
こちらはお任せにされる方が多いそうです。

さてさて、一連のお着物選びの流れを体験させていただき、 やはりお着物を着るとテンションなどなどいろいろなものがあがり、 脳内物質がしゃぱしゃぱ出る気がいたしました。
お着物は日本人のDNAにしっかりと組み込まれているのやもしれません。

お着物を着た棋士が将棋盤を挟んで対座する...
その姿は完璧なように思えました。

今後、お着物を着用して将棋を指す人が増えると、
例えばそんな大会がもっと増えると、
それは素敵な光景だなと。

これよりは棋士のお着物にも注目しながら、観戦したいと思います。

いろいろと楽しいお話をしていただきまして、誠にありがとうございました。

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