首都大学東京にて法学系特別講義 「将棋で学ぶ法的思考・文書作成」レポート

更新:2014年06月26日 14:00

平成26年度4月より開講した首都大学の授業を紹介いたします。
本講義は、首都大学東京の木村草太准教授(憲法学)および尾崎悠一准教授(商法学)が担当する、首都大学東京法学系の正規講座です。日本の伝統文化である「将棋」のルール・思考法を学びながら、「感想戦」や「自戦記レポート」を通じて、法的思考及び法的文書作成の基礎トレーニングを行うことをテーマとしています。
週1回で全15回の講義が行われます。

第5回の中村太地六段、第10回の片上大輔六段講義をレポートします。

★5/21の中村太地六段の講義

首都大学東京「法学系特別講義」01
(1) 玉1枚の盤面に3つの候補手を挙げて選んでもらう。
「なぜ選んだか、狙いや読み筋、迷った手を書く」

首都大学東京「法学系特別講義」02
(2) 前回も行った八枚落ちから対局。木村草太准教授と。
戦いのコツ、攻め・守りについて説明レポート作成のため、考えの分岐点となる局面を2つ選び、その局面で自分が何を考え、どう指したか、思考の流れをたどりながら指していく。

首都大学東京「法学系特別講義」03 首都大学東京「法学系特別講義」04
自分の考えがまとまり、指し手が決まったら挙手し、上手が指しに回ります。
上手は、中村六段、木村草太准教授(憲法学)、尾崎悠一准教授(商法学)

首都大学東京「法学系特別講義」05
対局終了の局面をレポート作成のためにスマホ・携帯電話で撮影する学生

首都大学東京「法学系特別講義」06
感想戦 分岐点となった指し手について、何を考えてか、
なぜ選んだか、選んでどう思ったかなど、中村六段の質問に答える学生

★6/18 片上大輔六段の講義

首都大学東京「法学系特別講義」07
前回、棋譜をつけながら指した学生同士の対戦を再現。
ここで何を考えて指したかを質問。

首都大学東京「法学系特別講義」08
指定局面から学生同士で対局。観戦する片上六段

首都大学東京「法学系特別講義」09
お互いに棋譜を照合

首都大学東京「法学系特別講義」10
指し手を質問しながら自分の考えをまとめていく。
感想戦は、反省、主張があって反論がある。
どちらが正しいか相手の意見を聞いて導き出していきます。
学生とディスカッションをしながら進めていく片上六段。

将棋の駒の動かし方から学んだ学生もいるようですが、考え方の基本が出来ているので、将棋初心者とは思えない感想戦の内容でした。
参加している学生から、「学ぶことが多い」「なんとなく指すことがなくなり相手のことを考えるようになった」との感想がありました。
これから憲法訴訟論や会社法学の論点を素材に、将棋を通じて身につけた思考を応用していく講義が行われていくとのこと。どのように将棋がこれからの学生の文書作成へ影響されていくか、興味のあるところです。

この講義を拝聴して、文章作成のみならず、ディベート、プレゼンテーションの基本練習にもつながると感じました。また、小学校、中学校では作文、論文が重要となってきています。将棋の考え方が文章作成へ良い影響を与える。教育への効果がまたひとつ、広がった気がします。

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