弦巻勝のWeb将棋写真館

二上先生との酒

更新: 2016年12月15日

若い頃お酒が呑めなかったと言うと呑み仲間達に笑われますが、二上先生に連れまわされ、何度吐いたか解らないです。

第33期棋聖戦五番勝負第2局での二上達也九段

居酒屋~カラオケ~スナックが定番でスナックの手前あたりでいつも僕はアウツ。道端でうずくまって吐いている僕の後ろで見守る先生。新宿で呑むと芹沢先生とたまに合流する事がある時代の話です。
ハンカチ差し出すなんて事は無いんですね。
「おい、まだか・・・次行くぞ・・・」
「はい、も、大丈夫です」
とは言うものの
「大丈夫じゃあね~よ・・・頭痛いし気持ちわる~・・・」
これが現実。棋士とは違い 先生はフリーの僕の方が気楽だったのだと思う。あと写真好きな先生でした。

第33期棋聖戦五番勝負第2局の二上達也九段

先生が会長時代になると僕の方も酒に麻痺して呑まれてしまい、吐く事は無くなりました。あれから何十年たったのだろうか、数年前頃には先生と呑むメンバーも4人に固定され佐藤義則八段、産経新聞の観戦記担当の星野崇さんと代々木上原に2軒有るどちらかの鮨屋が定番。夏でも冬でも燗酒でした。

新宿を歩く二上達也九段

星野さんと神田のアカシヤ書店で『魔法陣』買い求めサイン欲しいと電話した。
で、先生は
「筆と朱肉忘れないよう・・・」
「はぁ~い、では先生のちほど・・・」

聖蹟桜ヶ丘時代の二上家

鮨屋に着くと筆と朱肉を忘れたことに気がついた。
「君は絶対に忘れると思ったよ・・・」
と先生・・・・・・
鮨屋でしっかりと先生は筆、落款みせびらかすのね。普通なら大先生に、そんな言われたら胃が痛くて吐きそうになるよね。皆笑顔さ。

今僕は先生が将棋連盟の精霊だったのではと思っています。団鬼六先生、週刊ポストの斎藤さん、かなりの回数、お二人と旅に行きました。団先生とはカラオケ。斎藤宜郎さんとは囲碁を楽しむ先生。ふわ~っとした空気の気楽な仲間はもう居ない。

第43期名人戦昇降級リーグ1組で内藤國雄九段と二上達也九段の対局

将棋の写真まだまだ100回くらい掲載できると思いますが、この辺が潮時かと考えます。 後は写真本にでもまとめられたら良いなぁ~と思っています。

二上達也九段の叙勲をお祝いする会の模様
『週刊ポスト』の誌上企画で少年時代の鈴木大介現八段が二上達也九段と
鳩森神社での二上達也九段
書籍の表紙用として撮影した二上達也九段の対局写真
代々木上原の鮨屋で二上達也九段、佐藤義則八段、観戦記者の星野崇氏
団鬼六旅行会で。中央に二上達也九段、向かって左が団鬼六氏、右が弦巻氏

掲載写真についてのミニ解説(サイト編集部記)

写真上から順に(1、2):
第33期棋聖戦五番勝負(中原誠棋聖 対 二上達也九段)第2局(昭和53年12月22日 箱根湯本「天成園」)での写真。二上は、挑戦者決定戦で森安秀光七段に勝ち、7年ぶりの棋聖挑戦となった。この局で二上は、中原に対しヒネリ飛車を採用し、105手で快勝したが、番勝負は、3勝1敗で中原が棋聖を防衛した。
写真(3):
昭和50年頃に撮影。新宿のネオン街を歩く二上達也九段。
写真(4):
聖蹟桜ヶ丘に住んでいた頃のご家族との一枚。おそらく、どこかの飲食店で撮影されたものだろう。
写真(5):
ゴルフコース場でのカット。ゴルフも好きであった二上九段は、コンペにもよく参加していた。
写真(6):
昭和60年3月15日に関西将棋会館で行われた第43期名人戦昇降級リーグ1組(現在の順位戦B1)、内藤國雄九段戦での一枚。二上は、この対局にも勝ち、9勝3敗で2年ぶりにA級復活を決めた。真ん中にいるのが板谷進九段。
写真(7):
二上達也九段の叙勲をお祝いする会が東京・赤坂ホテルニューオータニで平成15年2月18日に催された。写真はその時の模様。奥に、弟子の羽生善治竜王(当時)の姿もある。二上は、前年の秋に、勲四等旭日小綬賞を受章した。壇上で乾杯をしているのが、作家の斎藤栄氏。
写真(8):
『週刊ポスト』の誌上企画での一枚。二上九段の対戦相手は、現在の鈴木大介八段だ。記録机に父親が、その奥で母親が見守っている。
写真(9):
東京・将棋会館前にある鳩森神社で撮影されたもの。撮影年月日など詳細は不明。
写真(10):
オールドファンであれば、どこか見覚えがある一枚かと思う。この写真は、日本将棋連盟出版の『攻めの妙手』(絶版)という書籍の表紙として使われた。
写真(11):
平成19年12月に代々木上原の鮨屋にて。二上九段の向かって左から佐藤義則八段、棋聖戦の観戦記者・星野崇氏。
写真(12):
平成15年12月に撮影された団鬼六旅行会での一枚。弦巻氏のカメラで中野隆義氏(元・『近代将棋』編集長)が撮影。写真中央が二上九段で、向かって左が作家・団鬼六氏、右が弦巻氏。

【サイト編集部より】
2年間、全36回にわたって掲載しておりました「弦巻勝のWeb将棋写真館」は、今回をもって最終回を迎えることとなりました。長らくご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。