これを知れば、もっと将棋が楽しめる!対局で使用する「七つ道具」を紹介

これを知れば、もっと将棋が楽しめる!対局で使用する「七つ道具」を紹介

ライター: 佐藤友康  更新: 2016年12月19日

将棋で使う道具と言えば、将棋盤・将棋駒がすぐ思い浮かぶと思います。盤や駒は、同じように見えても実は細かなこだわりがあります。このコラムでは、盤や駒だけでなく、将棋で使う道具をお伝えしていきます。将棋の対局で使用する、「七つ道具」を知ることで、将棋をより深く楽しんでいきましょう。

1.将棋盤:すべてこの盤上で戦いが繰り広げられる

将棋盤は9×9の81マスで構成されており、この盤上で将棋駒を動かします。盤の標準的なサイズ(本寸)は縦1尺2寸(約36cm)、横1尺1寸(約33cm)、少し縦長の形です。卓上盤や折り畳み盤、プラスチック盤やビニル盤もこの標準サイズで作られています。

プロ棋戦で使用される将棋盤

プロ棋戦で使用される将棋盤は、脚付きの盤で厚みがある、高級なものです。多くは榧(かや)の材質によって作られており、盤の厚みは10~25cm程度まで、さまざまあります。

脚の形は「クチナシ」を象(かたど)る

脚付きの将棋盤の「脚」の部分をしっかり見たことはありますか? 気にして見てみると美しい形になっているのですが、実はこの脚の形はクチナシの実を象(かたど)っています。対局中は他言無用、口を出すなとの戒めとされています。

ひっくり返すと「音受け」が

脚付きの将棋盤をひっくり返して裏側を見てみると、中央部にへこみがあります。これは、駒を盤に打ち付けたときの音が良くなるようにするためで、「音受け」と呼ばれるものです。また、あくまで俗説ですが、別名「血溜まり」とも言い、対局中に口出しした人の首をはねて、このへこみの上にそれを乗せる・・・という戒めがその名前の由来であるとも言われます。

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2.将棋駒:将棋の主役、「駒」にも細かな違いがあった

将棋駒は、先を尖らせた五角形をしており、表面に文字が書かれています。駒は種類によって大きさが異なり、駒の価値が高いものほど大きく、価値が低くなるにつれて小さくなります。玉将が最も大きく、歩兵が最も小さいということです。黄楊(つげ)の木で作られたものが最高級品とされております。どの駒も同じように見えますが、書体や彫り方が微妙に異なるのも将棋駒の特徴の一つでしょう。

書体の違い

将棋の駒にも、「書体」があります。代表的な四大書体をご紹介します。

錦旗(きんき)
水無瀬(みなせ)
巻菱湖(まきのりょうこ)
源兵衛清安(げんべえきよやす)

彫り方による違い

将棋の駒は、将棋駒の大きさにした木に文字を彫って、漆を塗りこんで作ります。製法によって、書き駒・彫り駒・彫り埋め駒・盛り上げ駒に分けられます。盛り上げ駒が最も制作工程が多く、最高級品となります。

書き駒:整形した駒木地に漆で文字を書いて作成されます。唯一、木を彫らずに作成される駒です。
彫り駒:駒木地に文字を彫り、漆を入れて作られる駒です。
彫り埋め駒:駒木地に文字を彫り、漆を木地の高さまで埋め込んで作られる駒です。
盛り上げ駒:彫り埋め駒の文字の上に、漆を盛り上げて作られる駒です。

駒の作者の表記

玉将・王将の駒の底を見てみると、片方には先ほどの「書体」、もう片方には「○○作」と駒の作者が書かれています。

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3.駒台:持ち駒の保管場所

将棋には、相手の駒を自分の持ち駒として利用できるルールがあります。持ち駒を置いておく場所、それが駒台です。各々、将棋盤の右側、自分に近い場所に置きます。サイズはさまざまありますが、将棋盤よりも少しだけ低い駒台を使います。また、将棋盤よりも少し暗めの色の駒台を利用することが多いです。 駒台を利用しなくても将棋を指すことはできますが、持ち駒を同じ種類でまとめるなどキレイに並べ、相手にも自分にもわかりやすくしておくのも将棋のマナーのひとつです。

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4.駒箱・駒袋:将棋駒の安息の場所

駒を使わないときには、駒袋に入れて、駒袋ごと駒箱にしまいます。駒袋は、底が平たい巾着袋のような形状で、主に絹によって作られています。さまざまな色・柄の駒袋がありますが、和を感じる雰囲気のものが一般的です。駒箱は、駒袋がちょうど入るような大きさで、素材は榧(かや)・ヒノキなどがあります。

駒の片付け方

駒を片付けるときにも作法があります。駒袋を取り出し、駒の価値の高い方から同じ種類のものはまとめて入れていきます。最初に玉2枚、次に飛車2枚、次に角2枚、金4枚、銀4枚、桂4枚、香4枚、の順に入れていき、最後に歩を数えながら入れて片付けます。ひもを結んだ駒袋を駒箱にしまって片付け完了です。上位者が片付けるのが慣習となっています。

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5.脇息:熟慮するための必須アイテム

脚付きの将棋盤を使うときには、正座やあぐらで対局をします。プロ棋士の対局では、座ったときにもたれかかるひじ掛けを利用しています。このひじ掛けを脇息(きょうそく)と言い、自分の左側に置いて使います。 時代劇などでも見かけることがありますよね。もたれかかってじっくりと思考する姿もなかなかかっこよく、雰囲気が出ます。

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6.扇子:対局姿を彩る最強の小道具

扇子は、対局姿を彩るアイテムと言えるでしょう。プロ棋士の対局でも、必ずと言っていいほど扇子を使う様子が見られます。思考を重ねると頭も身体も熱くなりますから、あおいで風を送りたくなりますよね。また、開閉しつつ考えるリズムを刻んだり、考慮中に口元を隠したりするのに使うプロ棋士もいるようです。

プロ棋士揮毫入りの扇子

プロ棋士が揮毫した扇子を見かけたことがあることでしょう。揮毫される文字はプロ棋士によってさまざまで、棋士ごとの理念やこだわりが感じられます。お気に入りの扇子を探してみてはいかがでしょうか? 東京、大阪にある将棋会館の売店はもちろん、さまざまな将棋イベントで購入することができ、インターネット通販も行っています。お気に入りの扇子を使って対局すれば、気分も棋力もアップすることでしょう。

7.対局時計:持ち時間の確認用

持ち時間を測るために、対局時計を利用します。プロの対局では記録係がストップウォッチ、チェスクロックを使用して時間を測ります。 アマチュアの将棋大会などでは、チェスクロックが使われます。こちらは対局者が自分で指した後にボタンを押すことで、消費時間を測ることができます。

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道具にもこだわって将棋を楽しもう!

将棋に出てくる七つ道具を紹介してきました。プロ棋士の対局を見るときに、道具にも注目してみるとまた違った将棋の奥深さを楽しめるようになります。また、自分自身の将棋道具も、盤・駒はもちろん、駒袋や扇子などにもこだわってみてはいかがでしょうか。良い道具を大切に使うことで、将棋への愛着も深まり、一層楽しめるようになることでしょう。

*写真は竜王戦中継ブログより引用。

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

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