今期の順位戦を全勝中!「はじめはイヤで逃げていた・・・」【注目の若手・稲葉八段インタビュー vol.1】

今期の順位戦を全勝中!「はじめはイヤで逃げていた・・・」【注目の若手・稲葉八段インタビュー vol.1】

ライター: 池田将之  更新: 2016年12月08日

現在活躍中の若手棋士・稲葉陽八段は、2013年の第21期銀河戦で優勝し、今期(第75期)A級順位戦でも5連勝するなど、ますますの活躍が期待されます。そんな稲葉八段にプライベートやライバルのことなどをインタビューしました。 初回は、将棋との出会い、少年時代について語っていただきました。

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 将棋を始められたきっかけは?

「父親と兄の聡がやっていたので、それを見て覚えました。幼稚園のときです。詳しい記憶は曖昧ですが、父と兄はまったく勝たせてくれませんでした。なので、指すのはあまり好きではなかったです。『将棋をやろう』 と2人から誘われても、イヤで逃げていましたね

 ーーどのような子供でしたか?

「運動が好きで、将棋を始めるまではサッカーなどをしていました」

 ーー地元の加古川市は多くの棋士を輩出しており「棋士のまち」として全国に発信しています。地元の「加古川将棋センター(現在は閉鎖)」に行くようになったのはいつ頃からでしょうか?

「小学2年生からです。市内の将棋大会に出たとき、将棋センターがあることを知りました。関西将棋会館の道場にも通っていたのですが、遠いので長続きしませんでした。自分は5級でスタート。兄は1級から始まり、すぐに初段に上がりました。そりゃ勝てないですよね。父は1、2級くらいでしたが、兄に勝てなくなると指さなくなりました(笑)」

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第5期加古川青流戦交流レセプションでの稲葉陽八段と兄の稲葉聡アマ

 ーー将棋が楽しくなったのはいつ頃からでしょうか?

「やはり、将棋センターに行くようになってからですね。同じレベルの人や、同年代の子供が多くいたので遊びに行くような感覚です。兄弟弟子の船江(恒平五段)君は兄貴といい勝負でした。休日になると100人以上のお客さんが来ていて相手には困りませんでした」

 ーーどんどん腕を磨かれたのですね。

「学校が終わったら家で詰将棋を解き、父の仕事が終わると将棋センターまで送ってもらいました。小学4年生の頃には道場で四段になっていました。加古川駅の近くに引っ越してからは自分で通えるようになり、閉店するまでずっと指していました」

稲葉八段の兄・聡氏は、元奨励会員で現在は、アマとして大会に参加しています。2015年の第5期加古川青流戦では、増田康宏四段を破って優勝した実績があります。幼少時代から兄弟で切磋琢磨し、その蓄積が今の稲葉八段を支えているのかもしれません。次回は、奨励会時代の話を聞いてみました。現在活躍中の稲葉八段でも奨励会時代には、悔しい思い出があったみたいです。お楽しみに!

取材協力稲葉陽八段

2000年に6級で井上九段に入門。2008年に四段。2016年に八段。2013年の第21期銀河戦で優勝。2017年の第75期名人戦でタイトル初挑戦。

稲葉八段インタビュー

池田将之

ライター池田将之

2010年からフリーライターとして活動開始。2015年まで将棋連盟モバイル中継記者。現在は新聞社に観戦記、将棋世界で「関西本部棋士室24時」などの記事を執筆している。

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