プロ入り1年後で王将リーグ入りの快挙!20歳の若手棋士、近藤誠也四段をご紹介

プロ入り1年後で王将リーグ入りの快挙!20歳の若手棋士、近藤誠也四段をご紹介

ライター: 直江雨続  更新: 2016年11月21日

今期の王将戦挑戦者を決める『第66期王将戦挑戦者決定リーグ戦』を戦う7人の棋士を紹介してきました。今回は7人目の近藤誠也四段です。昨年10月にプロデビュー、挑戦初年度でいきなり王将リーグ入りの快挙を達成した注目の若手、近藤四段のエピソードやこれまでの実績をご紹介します。

近藤誠也四段ってどんな棋士?

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近藤四段は1996年7月25日生まれの20歳。千葉県八千代市出身。所司和晴七段門下です。5歳の時に祖父に教わったことがきっかけで将棋を始め、小学5年生で奨励会に入会、奨励会には8年間在籍し、17歳の秋から三段リーグに参加。第57回奨励会三段リーグ戦(2015年4月~2015年9月)で13勝5敗の成績で2位となり、2015年10月1日付で四段プロデビュー。この時同時に四段昇段を決めたのは高野智史四段でした。棋風は矢倉を好む居飛車の本格派。角換わりも得意としており、攻め重視の切れ味鋭い指し回しに定評があります。

またデビュー以来高い勝率をあげており、2015年度は11戦して8勝3敗、今年度は11月10日時点で40戦して30勝10敗といずれも7割を超える勝率を誇っています。対局数ランキングでも40戦は棋士全体で1位の成績、勝ち数ランキングは2位、勝率ランキングは6位となっており、その活躍は目覚ましいものがあります。中学時代は卓球部に所属。現在の趣味は競馬で、これは兄弟子の渡辺竜王と同じですね。好きなプロ野球の球団は西武ライオンズとのことです。なお、近藤四段の目標とする棋士は谷川浩司九段で、『光速の寄せ』に憧れているそうです。

東の名門、所司門下

近藤四段の師匠は「定跡伝道師」とも呼ばれている名伯楽、所司和晴七段です。所司門下は西の森信雄七段の門下と並び、プロ棋士になった弟子の数が多いことでも有名です。所司門下の棋士は渡辺明竜王を筆頭に、松尾歩八段、宮田敦史六段、石田直裕四段、石井健太郎四段、そして近藤四段と、今年10月にプロデビューした大橋貴洸四段がいます。女流棋士では上川香織女流二段、伊奈川愛菓女流初段、渡辺弥生女流初段も所司門下です。

近藤四段もまた、同門の先輩たちに追い付き追い越せと小学生のころから所司七段の将棋教室で腕を磨いてきました。近藤四段のプロ入りが決まると、すぐに四段昇段記念の将棋大会やパーティーが所司一門で企画・開催され、地元のファンや所司門下を応援している将棋ファンが多数集まりました。ファンの期待、所司一門の期待を背負って近藤四段は王将リーグを戦っています。

屋敷伸之九段以来の快挙。プロ入り1年後に王将リーグ入り

近藤四段にとってはプロ入り後初参加となった今期の王将戦一次予選ですが、そこで周りを驚かせる快進撃がスタートしました。1回戦で中尾敏之五段、2回戦で中座真七段、3回戦では藤井猛九段に勝利し、決勝では村山慈明七段を倒して二次予選に進出! 二次予選では北浜健介八段、行方尚史八段に勝ってついに王将リーグ入りをかけた決勝戦に駒を進めました。

そこで待ち受けていたのは、同じく2015年10月にプロ入りを決めた高野智史四段でした。1年前、ともに三段リーグを抜け、報道陣の前で笑顔で握手をした相手が、大一番で待っていた。時として将棋界にはこんなドラマのようなストーリーが用意されていることもあるんです。将棋界の歴史上、王将リーグ入りの一番をプロデビュー1年後の同期昇段の二人が戦った例はなかったのではないでしょうか。同期のルーキー同士による大一番を制したのは近藤四段でした。四段の棋士が王将リーグ入りするのは第39期の屋敷伸之九段以来の記録ということで、またひとり注目の若手棋士が登場した、と将棋ファンの間でも話題になりました。

東竜門イベントデビューでいきなりコスプレ

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近藤四段がプロ入りして約1ヶ月後の2015年10月31日『秋の東竜門イベント2015~今年はハロウィン!?~』という将棋イベントが開催されました。関東若手棋士グループの『東竜門』が主催する将棋ファン向けのイベントで、近藤四段にとっても、東竜門メンバーとしてのお披露目の日となります。ファンの前に初めて姿を現したのは『おばけ』でした。そう、ハロウィンイベントということで、若手棋士はみんな変装(コスプレ)して登場したのです。

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こちらは「ハロウィンペアマッチ」の様子です。ピーターパン(三枚堂達也四段)とペアを組んだおばけ(近藤四段)が、ダースベーダ―(八代弥五段)とジャック・スパロウ(高野四段)のコンビとペア将棋で対決。この異色のペアマッチの様子は会場に集まった東竜門のファンをおおいに沸かせました。対局後、ようやくおばけの被り物を脱ぐことができた近藤四段。視界が悪いうえに暑くて大変だったようです。イベントデビューでいきなりのコスプレを披露した近藤四段、今後も東竜門の一員として、ファンを楽しませてくれることでしょう。

デビューして1年、7割を超える高勝率をあげてきた注目の若手、近藤四段。20歳の若手棋士のこれからの将棋にぜひご注目ください!

直江雨続

ライター直江雨続

フォトグラファー/ライター。
2007年ごろよりカメラを片手に将棋イベントに参加してきた『撮る将棋ファン』。
この10年間で撮った棋士の写真は20万枚以上。
将棋を楽しみ、棋士を応援し、将棋ファンの輪を広げることが何よりの喜び。
『将棋対局 ~女流棋士の知と美~』や女子アマ団体戦『ショウギナデシコ』で公式カメラマンを務める。

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