リコー杯女流王座戦直前。里見香奈、五番勝負までの軌跡(里見女流四冠のコメントあり)

リコー杯女流王座戦直前。里見香奈、五番勝負までの軌跡(里見女流四冠のコメントあり)

ライター: 渡部壮大  更新: 2016年10月25日

実力者が勝ち上がる

今回は展望の続きをお送りする。里見は今期女流王座戦は本戦からの登場。1回戦で山根ことみ女流初段、2回戦で貞升南女流初段、準決勝で香川愛生女流三段を破り、挑戦者決定戦へ。2回戦の貞升戦は苦戦だったものの、他は差をつけて勝っている。

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挑戦者決定戦の相手は西山朋佳奨励会三段。両者はともに三段リーグを戦い、女性初の四段が期待されている。西山の不用意な駒組みを突き、里見が作戦勝ちとなる。

【第3図は52手目△5八歩まで】

第3図は嫌みな垂れ歩で手を渡されたところ。構わず▲6四歩△5九歩成▲6三歩成△同金▲3三桂成△同銀▲7五桂から攻めて先手勝ち。終わってみれば里見の快勝となっている。

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(奨励会三段同士の挑決を里見が制した)リコー杯女流王座戦中継ブログより

戦型予想の本命は里見の中飛車に加藤の居飛車だろう。ただし里見は何でも指すため、何が飛び出すかは分からない。お互いに比較的持久戦を好む印象があるので、じっくりした戦いが予想される。休場から復帰後、昨年は女流棋戦で21連勝の記録を打ち立てた里見。今期も女流王位戦、女流王将戦の防衛を含んで12戦全勝と圧巻の強さだ。今月開幕した三段リーグの初日は1勝1敗の結果になっている。

対する加藤は奨励会では苦戦しているが、昨年末から出場を始めた男性棋戦で2勝を挙げ、実力を見せている。マイナビ女子オープンでは室谷由紀女流二段に苦戦を強いられたが、終盤力を見せて3勝1敗で防衛した。ともにタイトルを防衛して、タイトル戦での連勝が続いている。勢いに乗れるのはどちらか。

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(今期女流王将戦第1局、華やかな着物だ)撮影・渡部

自分の力を出し切れるように

挑戦者の里見にも質問に答えてもらった。

 ――今期女流王座戦トーナメントの感想は。

里見「苦しい将棋もありましたが、一局一局を大切に指そうと心がけていました」

 ――加藤さんの印象はいかがでしょう。

里見「居飛車の本格派で、スキがあると踏み込む棋風だと思います」

 ――加藤さんとの対局で印象に残るものは。

里見「長手数になることが多い印象があります。一番初めの番勝負が長手数ばかりで、印象に残っています」

 ――今年度は女流棋戦で負けなしですが、ご自身の調子については。

里見「あまり良くも悪くも思いません。ただ、どんなときも淡々と過ごせるようにしたいなと」

 ――最後に、これを見ているファンへのメッセージをお願いします。

里見「番勝負を戦えることは嬉しいです。一生懸命考え、自分の力を出し切れるように頑張ります」

五番勝負は10月26日に広島市「シェラトングランドホテル広島」で開幕する。女流王座戦はアクセスの良い対局場で行われるので、現地に足を運んでイベントに参加してはいかがだろうか。加藤のクイーン王座獲得か、里見の女流五冠復帰か、女流棋界の頂上決戦から目が離せない。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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