「3月のライオン」深くて優しい名言まとめ。

「3月のライオン」深くて優しい名言まとめ。"一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ ―――でないと実は誰もお前にも頼れないんだ"

ライター: 松谷一慶  更新: 2016年10月10日

将棋の世界を舞台に、人間の強さや優しさやを鋭く描く「3月のライオン」。作者は「ハチミツとクローバー」でも有名な羽海野チカさんで、マンガ大賞や手塚治虫文化賞マンガ大賞も受賞しています。複雑な心理描写がすごく繊細で、そこに紡がれる言葉はとても心に響きます。そこで、ここでは作中に出てくる名言を登場人物別にまとめてみました。

桐山零-孤独と向き合い、正しさと戦う、高校生プロ棋士

どうやら僕は「どこかに行きたかった」のではなく「どこかへ行ってしまいたかった」という事らしいのだ ―第2巻Chapter11

「どこかへ行きたい」ふと零が口にした言葉。それをうけて川本家のみんなは各々の行きたいところを楽しそうに話します。江の島、いもほり、お伊勢さん、などなど。そんな中、祖父がふと零に「お前はどこ行きてえんだ?」と問いかけたシーンでの零の回想。

頭では わかっているのに動けないのは何でだ「勝つ理由が無い」といいながら負けると苦しいのは何故だ中途半端だ 僕は何もかも... ―第2巻Chapter12

将棋で負けが続き、高校生活もうまくいかない。それでも周りからの期待は強く、自分でもどうにかしたいと思っているのに動けていない。諦めたふりをしながらも悔しさを感じる、そんな勝負師としての生き方を捨てられない零の台詞。

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<c羽海野チカ/白泉社>

「正しく戦った」とさっきの人たちは言ってたけれど自分の問題を克服せずに他人に背負わせる事を「正しい」と言うのなら僕の答えは――ただ一つふざけるな ―第6巻 Chapter62

新人戦トーナメントの準決勝。長時間の対局ができない病弱な二海堂相手に千日手に持ち込むことで勝った山崎順慶。充分指せたにも関わらず「決め手に欠けたから」という理由で正々堂々と戦わなかった山崎に対して、零が怒りを表したシーン。

「一寸先は闇」って言葉がメジャーだけど、その逆もまた充分起こりうるのだ「3分先は光」みたいに ―第10巻Chapter99

雨の六月町で、孤独のまま生きていく決意をした零。でもその後川本家のみんなと出会い、教師の林田や二海堂をはじめ、多くの人に囲まれて以前より幸せに過ごせていることに気づきます。環境なんてふとしたことでいくらでも変わることに気づいた零の名言。

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<c羽海野チカ/白泉社>

林田 高志-零のよき相談相手。時に熱く、時に冷静な将棋好きの高校教師。

「でも」が100個揃えば開く扉あればいーがはっきり言ってねーよそんなドア! ―第3巻chapter29

林田先生に棋士同士が集まって勉強をする研究会への参加を勧められる零。しかし、消極的な零は「でも...でも...」と繰り返します。そんな零の態度に対して林田先生が言った言葉。

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<c羽海野チカ/白泉社>

そうやって力をかりたら 次は相手が困ってる時 お前が力をかしてやればいい 世界って そうやってまわってるんだ一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ ―――でないと実は誰もお前にも頼れないんだ ―第3巻chapter32

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<c羽海野チカ/白泉社>

将棋の対局が忙しかっため出席日数が足りず、留年の危機に陥った零。最後のレポート課題を担任の林田先生や放科部の人たちの助けを借りることで何とか終わらせることができます。そのときの零に送った林田先生のアドバイス。

でも答えはどこにものってない いや「ここに居る人間の数だけ」の「答え」があるからこそのこの泥沼だ立場も性格も関係してくる人間の配置も違うだからどのケースにも効く「完璧な答え」なんてどうやったって出てこない――だからってあきらめる訳にはいかねんだ!!「答えが見つかんないから何もしませんでした」じゃ話は進まねえ ―第6巻 Chapter54

ひなちゃんが巻き込まれているいじめの問題をなんとか解決したくて零は林田先生に相談します。その時に「いじめ 解決法」をインターネットで検索し、そのヒット数の多さを示しながら林田先生が言った台詞。

結果は大事だけどな 桐山━━人に伝わるのは 結果だけじゃない世界は結果だけで回ってるんじゃないんだよ ―第7巻chapter72

ひなちゃんのいじめが解決したことを林田先生に告げる零。でも結局現実には何の役にも立てませんでしたと続ける零に、でもひなちゃんが「そんな事ない」と答えたことを林田先生は鋭く見抜きます。どうしてわかるのか驚いた顔をする零に対して林田先生の言葉。

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<c羽海野チカ/白泉社>

柳原朔太郎-若さには経験で立ち向かう、現役最年長のモンスター棋士

さぁて行こうか。「勝つ事」も――そして「負ける事」すらいつだってそう簡単に決まっちゃくれないもんなんだ ―第8巻Chapter80

現役最年長柳原の永年棋匠獲得をかけた対局。終盤、劣勢に陥ったときふと、リストラにあいこれからの人生を不安に思う友人の言葉を思い出します。しかし柳原は「俺もずっと同じ事考えてる――でもまだ答えはでてねんだ」と戦う姿勢を見せ、そのあとに続けた言葉。

わからんが これは俺が絶対に手離しちゃ いけねぇもんだ!!オレが担いで届けるものだ!!精一杯 頑張った人間が最後に 辿り着く場所が焼野ヶ原なんかで あってたまるものか!! ―第8巻Chapter81

棋士や記者を引退していった仲間の「俺達の分も頑張ってくれ」の言葉。そんな仲間の期待は幾百ものたすきとなって柳原に絡みつき、縛ります。先ほどの名言の対局の最後の場面、負けを意識した柳原は自らを縛っていたそのたすきから解放されるような感覚を味わいます。しかし、その瞬間、最後まで戦いたすきごと勝利をめざす覚悟を決めた柳原の言葉。

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<c羽海野チカ/白泉社> 

二海堂晴信、島田開、川本相米二

二海堂晴信

『潔い』のと『投げやり』なのは似ているけど違うんだ! ―第2巻chapter14

零の対局を解説する二海堂。最近調子が悪くうまく自分をコントロールできていない零はこの対局も相手の挑発に簡単に乗ってしまいます。そんな零の将棋への姿勢に対して、二海堂が感情を爆発させて零に語りかけた言葉。

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<c羽海野チカ/白泉社>

島田開

「縮まらないから」といってそれがオレが進まない理由にはならん「抜けない事があきらか」だからってオレが「努力しなくていい」って事にはならない ―第4巻chapter39

獅子王戦で将棋の天才・宗谷に挑戦することになった島田。輝かしい成績を残す同い年の宗谷になんとか追いつこうと努力を続けてきましたが結果はここまで3連敗。敗北のかかった第4局目を前に、零に対して語った言葉。

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<c羽海野チカ/白泉社>

川本相米二

恥なんてかいてナンボだ「失敗した」って事は「挑戦した」って事だからな何もやんねーで他人の事笑ってる人生よりずっとマトモだ<中略>そのうち大人になりゃあ いやでも気付くさどんなヤツでも一線でやっている人間で恥をかいた事 無いヤツなんていねぇってコトにな ―第3巻 Chapter31

「がんばります」と告げて向かった対局に負けたことを恥じて零は川本家に顔を出せていませんでした。そんな零を心配するひなたに対しての祖父の相米二の経験がにじみ出る名言。

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<c羽海野チカ/白泉社>

以上、「3月のライオン」にでてくる名言でした。お気に入りの名言はありましたか?ここでは紹介できなかった名シーンも名言もたくさんつまった「3月のライオン」。ストーリーを知っていればさらにその言葉に魅了されることでしょう。ぜひ、一度読んでみてください!

松谷一慶

ライター松谷一慶

2013年より世界一周に出発し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南米、北米を経て、2016年春に帰国。これまでに訪れた国は約100ヵ国。 自然と音楽とお酒とお祭りとトライアスロンとバンジージャンプと甘いものとキリンとぶり大根とが好き。将棋は祖父と何度が指したことがあるくらいだったが、最近また覚えはじめる。

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