【飛車の手筋】盤上を駆け回る将棋の花形!飛車の使い方をマスターしよう

【飛車の手筋】盤上を駆け回る将棋の花形!飛車の使い方をマスターしよう

ライター: 渡部壮大  更新: 2016年10月01日

盤上で最強の駒である飛車。「王より飛車をかわいがり」ということわざもあるように、飛車が最も好き、という方が多いのではないでしょうか。縦にも横にも利きが強く、まさに縦横無尽に盤上を駆け回る将棋の華です。攻めにも強力な駒ですが、受けに使ってももちろん強い駒。そんな飛車の手筋を見ていきましょう。

大技をかける持駒の飛車

【第1図】


飛車は両取りを掛けるチャンスが多々あります。第1図はそんな局面。後手の矢倉は堅いのですが、ここで▲3一銀が手筋です。△3一同金は▲8二飛、△3一同玉は▲8一飛でどちらも王手馬取り。△1二玉と寄るのも▲8二飛が馬金両取りになり、大成功です。このように無理やり飛車打ちが王手になる形を作るのは、終盤の手筋です。

浮き駒に手あり、十字飛車

【第2図は△5四銀まで】


中盤において飛車の威力を発揮する例が「十字飛車」と呼ばれる手筋です。第2図は相振り飛車の中盤戦。△5四銀では先に△6四歩と突かなくてはいけませんでした。 図から▲8四歩が平凡ながら厳しい一手。△同歩なら▲同飛△8三歩▲5四飛で銀をタダ取りすることに成功します。▲8四歩に△6四歩なら▲8三歩成△同銀▲8四歩で、玉頭に大きな拠点を作ることができ、これまた先手大満足です。十字飛車は相居飛車や相振り飛車で出る手筋。今回はシンプルな例でしたが、実戦では継ぎ歩などと組み合わせて実現することもあります。

強力な一間竜の寄せ

【第3図】


第3図は矢倉の終盤戦です。図は▲2四桂の歩頭桂の手筋から攻めている局面です。ここで▲2三歩成△同金に▲2一竜が寄せの好手で後手玉は即詰みです。以下は△2一同玉に▲2三飛成が一間竜の寄せで、どう応じても▲3二金までの詰み。このように1マス飛びで玉に対し竜で王手をかけるのは寄せの基本。合駒をしても竜の強さで持駒による追撃が利くので、少ない駒でたちまち寄り形となります。本問は縦の一間竜でしたが、横からの一間竜も実戦ではよく現れます。斜めに利かない飛車は接近戦に弱いのですが、竜となると話は別。馬と並んで最強の駒です。

飛車には飛車、合わせの手筋

【第4図は▲3一飛まで】


飛車は打ち込むと強力な駒ですが、相手も飛車を持っている場合には合わせて受けられてしまう場合です。第4図は中飛車の変化から。先に飛車を打ち込めると見て先手は飛車交換の決戦に応じたところです。 図で△4一飛が飛車を合わせる受けの手筋。▲同飛成△同金に▲4三飛と打っても、△4二飛と再度合わせの手筋が利きます。以下▲4二同飛成△同金▲3一飛は図の局面に戻って千日手模様となり、先手としては失敗です。

金のかわりに打つ受けの飛車

【第5図は▲8六桂まで】


飛車を金のかわりに受けに使う例もまれにあります。第5図はそんな例で、後手は受けの達人大山康晴十五世名人です。穴熊に食いつかれ、後手は大駒だけの持ち駒では受けにくいようにも見えますが......。 第5図から△7三飛が受けの妙手。▲同金△同金引は手順に桂の当たりをかわすことができます。また、▲7四桂は△6三飛で大丈夫。実戦は▲6二銀△8二玉▲7三金△同金引と攻めていきましたが、後手が攻めを余して勝ちきりました。駒得している局面なら、このように飛車を取らせる受けが成立する場合もあるのです。

以上、飛車の手筋を5つ見ていきました。飛車は寄せ合いの主役で、将棋の花形です。今回は紹介できませんでしたが、二枚飛車のような飛車を並べる攻めは迫力抜群。ただ、飛車を大事にするあまり、大局を見誤るような展開には注意をしましょう。飛車は最強の駒でも、最も大切な駒はもちろん玉ですからね。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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