最強の7人がしのぎを削る王将リーグ! 郷田王将への挑戦者を決める熾烈な戦いに注目

最強の7人がしのぎを削る王将リーグ! 郷田王将への挑戦者を決める熾烈な戦いに注目

ライター: 直江雨続  更新: 2016年10月28日

いよいよ今期の王将戦の挑戦者を決める、『第66期王将戦挑戦者決定リーグ戦』が開幕しました。通称『王将リーグ』または『王将戦リーグ』と呼ばれているこの挑戦者決定リーグ戦は将棋界の七大タイトルの中でも屈指の難関。今回はこの『王将リーグ』についてご紹介したいと思います。

osho_01.jpg

選ばれし7人による、究極のリーグ戦!

そもそもどうすれば王将のタイトルを取れるのでしょうか?将棋界の七大タイトルは、いずれもタイトルホルダーと挑戦者が番勝負を行い、勝ったほうがそのタイトルを獲得する(防衛する)という仕組みとなっています。王将のタイトルを取るためには、現在王将のタイトルを持つ郷田真隆王将と七番勝負を戦い、先に4勝する必要があるのです。

そして、その番勝負に出場するには、王将戦の場合は7人の棋士による『挑戦者決定リーグ戦』で優勝することが必要となります。この王将戦の『挑戦者決定リーグ戦』こそが、将棋界最高峰とも言われる屈指の難関リーグとして知られているのです。

王将リーグは前期の番勝負で敗れた棋士と、前期の成績が2位から4位だった3人の、合わせて4人がシード者として残留します。残る3人分の枠をかけて、一次予選、二次予選が行われます。シード者以外の全棋士が参加するこの一次予選と二次予選を勝ち抜いた3人だけが、その年の王将リーグに参加できるということで、非常に狭き門となっているのです。

また、7人中3人はリーグを陥落するため、そもそも王将リーグに長年残留し続けることも『至難の業』とも言えます。毎年3人しか入れず、成績が悪ければ即陥落、入るのも大変、残るのも大変、挑戦するのはもっと大変、それが王将リーグです。

前期王将リーグを振り返る

osho_02.jpg

それでは、今期王将リーグを見る前に、前期『第65期王将戦挑戦者決定リーグ戦』を振り返ってみたいと思います。この第65期王将リーグのメンバーは以下の通りでした。(段位は当時のもの)

1:渡辺 明棋王
2:羽生善治名人(王位・王座・棋聖)
3:佐藤康光九段
4:深浦康市九段
5:糸谷哲郎竜王
5:森内俊之九段
5:久保利明九段

数字はリーグ開幕時点での順位です。まず1位は第64期王将戦の番勝負で郷田九段に敗れ、王将のタイトルを奪われた渡辺棋王。そして第64期王将リーグで2位だった羽生名人、3位だった佐藤九段、4位深浦九段までが残留組。糸谷竜王、森内九段、久保九段は予選から勝ち上がり、リーグ入りした3人です。ご覧の通り、最強すぎる7人が集まりました。まさに地獄のリーグと呼ぶにふさわしい頂上決戦。そして総当たりでのリーグ戦を終えての最終結果がこちら。

【第65期王将戦挑戦者決定リーグ戦】

1:羽生善治名人 5勝1敗(挑戦者決定戦へ)
1:久保利明九段 5勝1敗(挑戦者決定戦へ)
3:糸谷哲郎竜王 4勝2敗(3位で残留)
4:深浦康市九段 3勝3敗(4位で残留)
5:森内俊之九段 2勝4敗(リーグ陥落)
6:渡辺 明棋王 1勝5敗(リーグ陥落)
6:佐藤康光九段 1勝5敗(リーグ陥落)

渡辺棋王、佐藤九段、森内九段の3人がリーグを陥落。そして羽生名人と久保九段による挑戦者決定戦が行われ、勝った羽生名人が郷田王将に挑戦しました。七番勝負の結果は郷田王将の防衛に終わりました。

今期の王将リーグの7人は?

osho_03.jpg

そして迎えた今期第66期王将リーグの7人をご覧いただきましょう。

【第66期王将戦挑戦者決定リーグ戦】

1:羽生善治三冠(※前期挑戦者)
2:久保利明九段
3:糸谷哲郎八段
4:深浦康市九段
5:渡辺 明竜王
5:豊島将之七段
5:近藤誠也四段

まず1位から4位までは前期からの残留組です。そして3人のリーグ入りメンバーはというと、まずは渡辺竜王。前期陥落の悔しさを晴らすべく、再び二次予選を突破して捲土重来のリーグ入り。豊島将之七段は一次予選、二次予選を勝ち上がってきました。豊島七段といえば、2010年度の第60期王将戦で王将戦史上最年少の20歳の若さで挑戦者となったことでも有名です。

そして最後の一人は近藤誠也四段。プロになったのは昨年10月、現在20歳の新鋭です。王将戦には今期初参加。一次予選、二次予選を7連勝で駆け抜けてリーグ入り! これはすごい快挙です。なにしろ四段のリーグ入りは、第39期王将戦(1989年度)での屋敷伸之四段(現九段)以来(!)。大棋士がずらりと並んだ今期リーグでの台風の目となるのでしょうか?

今期王将リーグがいよいよ始まりました。果たして郷田真隆王将に挑戦するのは誰になるのでしょうか?なお、今期王将リーグは将棋プレミアムで全局生中継されます。日本将棋連盟モバイルでの棋譜中継もあります。熾烈なリーグ戦をぜひリアルタイムで見届けてください!

直江雨続

ライター直江雨続

フォトグラファー/ライター。
2007年ごろよりカメラを片手に将棋イベントに参加してきた『撮る将棋ファン』。
この10年間で撮った棋士の写真は20万枚以上。
将棋を楽しみ、棋士を応援し、将棋ファンの輪を広げることが何よりの喜び。
『将棋対局 ~女流棋士の知と美~』や女子アマ団体戦『ショウギナデシコ』で公式カメラマンを務める。

このライターの記事一覧

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています